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宇宙人の反省【毎週SS:復習Tシャツ】

「そんなところで何をしている108号」
「217号か。私は今、己の考えを改めているところだ」
「確か君は『青の星』の文化調査を担当していたな」
「そうだ」
「何があった」
108号は視線の先にあるものを指さす。

「これをみたまえ」
「なんだこれは。ただの布切れではないか」
「これは『青の星』の生命体が身に着けているもので
『Tシャツ』というらしい」

「ほぉ。見るからに文明が遅れているな。
我々の侵略もそう時間はかからないだろう……ん?
おいこれ、汚れているではないか」

「違う。それは私の失態だ」
「君が失態? 馬鹿な、我々調査団でも指折りの君がかね?」

「『カレーうどん』だ」

「なんだそれは?」
「彼らの星で食べられているものだ。
先日の調査中に、生命体の1体からこう教わったのだ。
『白いTシャツを着てカレーうどんを食べてはならぬ』と」

「で、お前は食べたのか? その、『カレーうどん』を」
「ああ、興味本位でそのシャツを着てな」
「それでその汚れか。それは失態だったな、さっさと捨てればいい」
「私も最初はそう思ったさ。だがその汚れが『Tシャツ』についた
己の姿を見た時、私はこれまで経験したことのない感覚を覚えた。
怒り、悲しみ、いやどれとも違う。我々のアーカイブにないものだ」

「217号。それは研究資料として記録しようと思う。
この未知の感覚が、いずれ我々の脅威になるとも限らないからな」
「分かった。ではこれを最優先伝達情報として、アーカイブに保存しよう」
(610文字)


宇宙人なんだから、カレーうどんくらい超文明の利器でなんとかなるとは
思いますが、今回は彼らなりに油断があったということで……。
こうしてカレーうどんの脅威は、
宇宙全体に広がっていくこととなるでしょう(適当)

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