マガジンのカバー画像

あれこれ

9
運営しているクリエイター

記事一覧

新詩集について

新詩集について

詩集を、8月に発行しました。

この詩集がどんなものか説明しようとすると、なんともいいようのない気持ちになります。
「喪失・死についての詩集です」といえば、多くの人は目を伏せるか、沈黙するかといった反応になります。日常会話の延長線上では、それは自然な反応でしょう。
こちらもそれ以上なにをいっていいのか分からなくなり、申し訳ない気持ちになります。実のところ、ぜひ読んでくださいとも言い難い。もしかした

もっとみる
プロフィール鉛筆画

プロフィール鉛筆画

新たにプロフィール画を鉛筆で描きました 。

自分の住んでいる土地を代表する生き物の邂逅図。
鹿 (奈良県) × 金魚 (大和郡山市)

歌集『汀の時』

歌集『汀の時』

紙の本のよさは、人生をともにできるということ。
つくづくとそう思える、素晴らしい一冊をご紹介したいと思います。



遠く降る雨の匂いと思うほど静かにそろう前髪がある

木をはなれ地につくまでの数秒の祈りの坂をぼくは下りぬ

窪田政男  歌集『汀の時』  月光文庫(2017)

どの頁をひらいてもよい。驚くほど美しい引力を持つ歌を目にすることになる。短歌について難しいことは分からなくともよい。瞬

もっとみる
失敗が許されている

失敗が許されている

ライフワークとして素描画を描き始めて、今年でちようど10年になりました。

素描画を描くことの魅力とはなんでしょうか。

ひと言でいえば、「失敗が許されている」ということではないかと思っています。

もちろん、どこでも手軽に描ける楽しさや、画力・観察力が向上するなど、その魅力というのは多々ありますが、自分がこの10年をふり返ってみていちばん大きな点は、その「失敗が許されている」ことだと思うのです。

もっとみる
宙づりのまま

宙づりのまま

 曖昧な状態を保ち続ける能力。

 なにかを解決したり成し遂げたりするのではなく、これまで「能力」とすら認められることのなかったネガティブな能力……
このことを「ネガティブ・ケイパビリティ」というらしい。

・どうにも答えの出ない、対処しようのない事態に耐える能力
・性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力



 作家で精神科医でもある帚木蓬生氏が、このこ

もっとみる
nao

nao

 パートナーのnaoは、10年ほど前に免疫系の難病を発症しました。

 難病というのは、現在の医学では原因が分からず、根本的な治療方法がないということで、できることは対症療法となります。薬を飲んだから手術をしたから、すべて解決というわけにはいきません。手探りで日々進んでいくしかありません。

 発症した当初は悪化し入退院を繰り返しましたが、今では日常生活を送れるようになっています。とはいっても調子

もっとみる
素描画、コロナ禍で変わったこと

素描画、コロナ禍で変わったこと

2013年からライフワークとして素描画(クロッキー)を描いてきました。いつしか描く対象として、街の通りゆく匿名の人々、誰でもない誰かに惹かれていきます。大半が人物、特に路上で行き交う人々でした。

それがコロナによって状況は大きく変わり、不特定な人々のいる雑踏や観光地へ行くことのハードルは上がりました。

それでも、と緊急事態宣言前に、街へ繰り出したことがあります。

通りの人々はマスクで顔を隠し

もっとみる
白い箱

白い箱

普段は紙器を扱う小さな印刷会社で、パッケージデザインの仕事をしています。

紙箱の場合、オーダーメイドがほとんどで、中に入る製品は千差万別です。外面のグラフィックも考えてはいきますが、なによりも土台となる無地の白い箱を作るところから始まります。
様々な紙や形状の選定、中身の保護や流通・販売上の確認、紙面展開での経済性、内職作業のコスト…、多角的に練って最終段階へと絞り込む。そうして試行錯誤している

もっとみる
自己紹介|浮かぶ埃(ほこり)

自己紹介|浮かぶ埃(ほこり)

ある日突然「フルフラ」という言葉を思いつきました。なんの意味もないけれど、その音節が妙に気になって頭から離れません。とりあえずその勢いでWEBサイト用の「furufura.com」ドメインを取得しました。

わたしはなにかを始めたかった。

そしてその音の響きから「古井フラ」と名のることにしました。

誰に見せるでもなく10年ほど前から絵や詩を創作していましたが、それらは弱々しい断片であり、日常に

もっとみる