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かをりのよろこび

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日本の伝統的な香りについていろいろコラムを書いています。
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#香道

キラメキパラダイスについて。

キラメキパラダイスについて。

私がいつも素敵な方との出会いと多くの勉強をさせてもらっているコミュニティ、開華道の文化祭がありますよ~

あいだの時間はランチのお手伝いもしちゃいますよ。
私が何を手伝えるのかって?さあ?

ハードルをさげる

香道って楽しいんだよ!と言ってもなかなか「じゃあやってみる!」って友だちは少ない。そもそも私は友人や知り合いに「香道楽しいよ」って言ってみるのは嫌だなーと思う時代が長かったのです。
なんで

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お正月の香りと香りの語彙力

お正月の香りと香りの語彙力

あけましておめでとうございます。
今年も香りと古典の話をしていきたいと思います。
人間の嗅覚というのは、もともととても軽視されていました。というのは、ギリシアの哲学者がいうように、「ほかの感覚(味覚や聴覚、視覚、触覚)よりも原始的」と思われていたからなのかもしれません。
じじつ、動物は(人間ももちろん含めて)脳より先に鼻の器官が出来上がるので、確かに原始的ではあるのでした。

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香りの物語 香あそび~薫物の始まり~

香りの物語 香あそび~薫物の始まり~

香りをご案内するのに、読み物があったほうがいいのかな、と思って「香りの物語」シリーズを始めます。

1.楽しみとしての香

香りを調香する技術は奈良時代、鑑真和上とともに日本に来ました。鑑真和上についてはまたどこかでご紹介しますが、唐招提寺の薬師所が最初の調香所となりました。最初は薬の一つとして。また香りは、宗教儀式のために使用していました。そんな香りを貴族たちは自分の楽しみとして調香し、部屋にた

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新春に古今和歌集の春の巻を開いてみる

新春に古今和歌集の春の巻を開いてみる

新年あけましておめでとうございます。今年も楽しくうきうきするような香りの話や古典やアートのお話をして行けたらいいなと思っています。

新年のことを新春と言い表すように、かつては新年というのは春の訪れをあらわすことでもありました。(今年なら2月1日です)そんな新年の最初にぜひ見ていただきたいのが古今和歌集。

古今和歌集は醍醐天皇の命で作られた最初の勅撰和歌集です。紀貫之、紀友則、凡河内躬恒、壬生忠

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夢中になるということ

夢中になるということ

夢中になるものはありますか?

私は30年くらい香道に夢中です。毎回、毎月新しいことに出会えるのが楽しくてなりません。よく考えると30年毎月新しい学びを感じる、というのはなかなかあるものではないのではと思います。香道では組香といういくつかの種類(匂いが少し違う)香木を用意し、テーマに合わせて打ちまぜてたくことでそのテーマをよりよく表現する遊びがあります。組香に参加してお香を聞いている時間、私はいつ

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行きて帰りし物語

行きて帰りし物語

子どもが久しぶりに『かいじゅうたちのいるところ』を本棚から持ってきて熟読していました。この作品はモーリス・センダックによる絵本で、絵本のアカデミー賞といわれるコールデコット賞を受賞している作品です。主人公のマックスはおおかみの着ぐるみを着て、やらかしたいたずらのせいで夕食抜きで部屋に閉じ込められてしまいます。すると、不思議なことに部屋から木がにょきにょき生えてきて、ジャングルになってしまいました!

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ツーブロックとばさら大名

ツーブロックとばさら大名

「これって、ツーブロックだよね」
帰宅したムスコ氏が言いました。ツーブロックとは男子のヘアスタイルで、一般に頭部の耳より上を残して下を刈り上げるスタイルのことです。一般紙などでもブラック校則のひとつとして話題になっていたことがある、あのツーブロックです。整容検査では男子の頭髪は耳にかかるといけないという校則があるそうで、ずぼらで面倒くさがり屋のムスコ氏は、まったくだらけた感じのもっさり頭だったわけ

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憧れのあのひとは何色の香りですか

憧れのあのひとは何色の香りですか

「こんなおとなになりたい」という憧れをもって成長することができるのは幸せです。

2020年、小学生が選ぶ憧れの人物ランキングでは1位が『鬼滅の刃』の竈門炭次郎でした。ちなみに3位が胡蝶しのぶで10位までのなかに7人が入るという『鬼滅の刃』の独占具合でした。
『鬼滅の刃』は主人公が鬼になってしまった妹を助けるために鬼と戦う姿を描いた作品です。主人公の竈門炭次郎は緑と黒の市松模様着物を着て戦い、妹の

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日本初の推し活

日本初の推し活

「源氏物語が読みたい」と1000年前に等身大の薬師仏を作らせて、一日中一心不乱に祈っていた女の子がいます。菅原孝標娘です。

沼にはまった女の子父親の仕事の都合により東国で暮らすことになった菅原孝標娘さんは、義母から聞く宮仕えのキラキラした話、とりわけ当時大人気だった『源氏物語』の話を聞いて即のめりこみました。日本史上初の沼にはまった、という人で有名です。寝ても覚めても源氏物語のことばかり。当時は

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さざれ石の香りが忘れられないとそのひとは言った

さざれ石の香りが忘れられないとそのひとは言った

「さざれ石の香りが忘れられない」と初めて香を聞いた男性は言いました。
パリのとある美術館にしつらえられた香席でのことです。私たちはここで香道をするために招かれて来ていました。ちなみにさざれ石というのは当日行われた渚香、という組香で使用した香木の銘(名前)のことです。

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源氏香の仕組みを知ると街歩きが楽しくなります

源氏香の仕組みを知ると街歩きが楽しくなります

根津にある、弥生美術館をご存じでしょうか。

弥生美術館の源氏香柄弥生美術館は、東京都文京区にある私立美術館で、高畠華宵と竹久夢二の作品を収蔵、展示しています。併設に竹久夢二美術館があります。この美術館を設立したのは鹿野琢見さんという弁護士さんです。鹿野さんは、9歳の時に高畠華宵が描く「さらば故郷」というイラストを見て大変影響を受けて出征するまで部屋に大切に保管していました。その絵は失われてしまっ

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香りはひとの記憶を刺激する

香りはひとの記憶を刺激する

夕方、仕事の帰り道にどこからともなくカレーの匂いが漂ってきました。
夕方のカレーは小学生の頃のことを思い出します。あのころはなんにも考えず、夕方になるまで思いっきり遊んでいたなあ。一日が長かった。家に帰るときにカレーの匂いがすると、うれしくなって走って帰ったものだなあ。

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七夕に寄せて

七夕に寄せて

もうすぐ七夕です。

七夕は本来旧暦7月7日ですから、現在の暦ではだいたい8月中旬頃。立秋の後になります。ちなみに今年は8月14日が7月7日に該当します。

万葉集にはこのような歌が残っています。

天の川安の渡りに舟浮けて秋立つ待つと妹に告げこそ(万・2000)

天の川に船を浮かべてあなたを待っているとあの人(織女)に告げておくれ、という意味の歌。秋の風が水面に吹いている、という表現になるのは

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