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#意味
1項に8項を幻視する叡智 −レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(18)
クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第18回目です。
これまでの記事を読まなくても大丈夫。
今回だけでお楽しみ(?)いただけるはずです。
前の記事で、人間とAIがハイブリッドになっていく中で、近い将来「ことば」ということがどのようになっていくのか、その可能性をどのように考えることができるのか、といったことを考えてみた。
この「人間の」
ことば / ことのは / 事の端 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(17)
クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第17回目である。前回はこちらですが、これまでの記事を読まなくても、今回だけでお楽しみ(?)いただけるはずです。
本記事は1万6000字ほどあり、じっくり読むと何時間もかかりますので、「長い」と思われる方は一番最後まで飛ばしていただけると幸いです。
前回の記事では、人間とAIがハイブリッドになっていく
深層意味論的神話分析「タバコの起源」にみる”未分離”と”分離”の「分離」 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(15)
クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試み。
* *
今回も前回に引き続き「鳥の羽根で葺いた小屋」が登場する神話である。
『神話論理I 生のものと火を通したもの』から、「文化財の起源」の神話を引いてみよう。この神話も、時系列で次のように展開している。
α未分離 →β分離 →Γ分離したものの結合 →Δ第二の分離
内容を詳しくみてみよう。
人間の起源とは? -神話にみる”心”の存在分節・意識分節と、空海の『吽字義』の世界 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(14)
区別されたものについての知能と
区別することについての智慧見えるとか、見えないとか
感覚できるとか、できないとか
あるとか、ないとか
そういうことを言えることを可能にしている、構造というか、アルゴリズムというか、流れというか、システムというか、なんとも言えないようなこと
”それ”を外から分節すると、もう”それ”ではなくなってしまうなにか
それに惹かれながらも、この感覚世界を”それ”の象徴
深層意味論的神話分析「料理の火の起源」神話と理趣経における「平等」の概念 -区別されたもの/区別すること を区別する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(12)
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生のものと火を通したもの、新鮮なものと腐ったもの。こういった「経験的区別」が「概念の道具となり、さまざまな抽象的観念の抽出に使われ」る様を、さらにはその抽象的観念がつなぎ合わされて「命題」になる様を観察しようというのが、レヴィ=ストロース氏の『神話論理』の試みである。
生のもの / 火を通したもの
新鮮なもの / 腐ったもの
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<<経験的区別>>
↓
<<抽象的観念を抽出す
深層意味論的神話分析「病の起源」神話 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(11) --媒介項の活動を八極への分節として言語化する
前回までの記事はこちら↓
人間が動物に変身する?”媒介項”こそ、クロード・レヴィ=ストロース氏が『神話論理』で描き出す神話の論理の世界を読み解く鍵である。
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神話では互いに異なり対立関係にあるはずの二極のあいだで、一方から他方への移動や、一方から他方への変身が語られる。ここで二項は対立関係の両極にあるものとして分離され区別・分節されながらも、同時に一つに結びつけられる。一つに結ばれるといっ
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(10) ”変身する媒介者”が世界を出現させる-空海の「心」と神話論理
クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第10回目。
前回の記事はこちらです。
一連の記事はこちらでまとめて読むことができます。これまでの記事を続けて読まなくても、今回だけでもお楽しみいただけます。
前回、前々回と『神話論理』の冒頭に置かれた”基準神話”「コンゴウインコとその巣」から、いくつもの二項対立関係が付かず離れず、分かれつつ結ばれ
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(5) 人類の思考の”底”〜ニ段重ねの四項関係としての「構造」
(前回の記事(第四回)はこちら↓)
前回は『神話論理I 生のものと火を通したもの』の「序曲」「I」を読みながら「神話は果てしなく続く」ということについて論じました。
「神話は果てしなく続く」というのはつまり、神話論理がとらえようとしている「構造」が、「始まり」と「終わり」の二項対立や、他のあれこれの二項対立の”どちらか”に振り分けられて止まってしまうような代物ではない、ということであり、神話論
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(4) 分けつつつなぎ、つなぎつつ分ける。完全に分離するでもなく、完全に一つになるのでもなく
(前回の記事はこちら↓)
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眠ることは、夢をみることである。
目覚めた世界での、お金の交換を加速する生産的な活動と比べると、眠っている時間は何も生産していない、いかにも「無駄」な時間に思えるかもしれない。
目覚めている時間 / 眠っている時間
生産的 / 非生産的?!
たしかに、目覚めている世界の側から見れば、眠っている時間は意識的に体を動かしたり言葉を喋ったり書いた
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(2) 経験的区別を概念の道具とする
クロード・レヴィ=ストロース著『神話論理I 生のものと火を通したもの』(原題:Mythologiques - Le Cru et le cuit)は、「序曲」と銘打たれた文章から始まる。
この本については以前にも他の記事で取り上げたことがあるが、今回は細かく精読してみようということで、何年かかるかわからないが最初から順番に読んでみよう。
序曲の冒頭、私が個人的にも非常に気に入っており、ほとんど