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『形而上学  <私>は0と1の<狭間>で不断に振動している』(Metaphysics: The <I> is in constant oscillation between 0 and 1) 「序文」 登場する & 登場予定の固有名 適宜更新

『形而上学 <私>は0と1の<狭間>で不断に振動している』(Metaphysics: The <I> is in constant oscillation between 0 and 1) 「序文」 登場する & 登場予定の固有名 適宜更新



『本論』 序文 <私>と現実性へと向かって

 『序論』での探究を前提とした以後の記述においては、この<私>の無内包性を、同様に無内包の現実性とともにさらに探究していくことにしたい。なお、ここで無内包性とは、その無内包性自体については、否定性=ゼロを含む内包量が対応するいかなる実在性も記述できないという事態を言う。『序論』においては、①ここで<私>によって想定されている内包量の非存在の経験は

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母のエッセイ 『戦争、そして今ーーあの日々を、一人の女性が生きぬいた』 「まえがき」  &  「あとがき」

母のエッセイ 『戦争、そして今ーーあの日々を、一人の女性が生きぬいた』 「まえがき」 & 「あとがき」

まえがき(編者 永澤 護)

 本書は私の母、永澤春栄が書いた数多くのエッセイのなかから、戦前、戦中、戦後にかけての経験、今は閉山した九州や北海道の産炭地での生活、母の両親の記憶といったテーマに絞って編者の私がセレクトし、まとめたものである。

 戦中、戦後の時期、長兄の戦死の公報(後に帰還)、父親の死、結核療養中の妹や幼い弟を抱えながら、母は東京女子医専を中退し、戦後は立川米軍基地勤務の英文タイ

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Archives ポエトリー・リーディング Script  2004.11.21 嘗ての高田馬場『Ben's Cafe』にて

Archives ポエトリー・リーディング Script 2004.11.21 嘗ての高田馬場『Ben's Cafe』にて

いつもの公園を抜けて、ふと、俺は舗道に立ち止まった。雨上がりの朝。透き通った爽やかさが、雨に濡れた舗道の寂しさを静かに湛えている。その時、確かに俺は、そこに佇んでいた。そこには、誰かが立っているような気がした。誰かだって?  俺は、呼び止めようとしたんだ。その時、確かに俺は……。俺の眼の前に佇んでいるこの俺の顔が、この俺の眼の前でぐにゃりと歪み、ゆっくりと溶けて、どろっと、崩れ落ちていった。音もな

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