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長編自己啓発ギャグ小説

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#夫婦二人三脚

夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】14(ラスト)

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

部屋に入ると柴田は冷えたコーヒーを二人に差し出した。
火照った身体に冷えたコーヒーは格別だった。

啓太と京子は柴田にありがとうと伝えた。
だが柴田は制止して代わりに、口にくわえた葉巻に火を点けろと言わんばかりに、大きなチャッカマンをテーブルの上に置いてせがんできた。

京子が火を点けた。
『ありがとう、京子さん。やはり葉巻は米国産に限

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】13

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

旅館最終日の朝。

思わぬ男の出現から京子の出版に向けた取り組みが始まった。

結局、啓太は今回の旅行に関しては疲れに来たようなものだった。

京子は今日までこれといったものがなかった。
魅力は充分にあるものの、持てる力を発揮する機会に恵まれなかった。

柴田の存在と京子の一言が、今のありのままの京子であらたな挑戦の場所へと導き出した。

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】12

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

京子は赤面した。

『あなた、困ったわ。私、本を出したくて出したくて仕方ないの』

啓太はいきなりすぎて返答に困った。
その様子を見ていた柴田が間髪入れずに割ってはいった。

『なんなら私が協力しましょう。私は夢を叶える男ですから』

京子は嬉しかったが、それなら夫が居ると自信に満ちて返答した。

『それなら昨夜にお伝え申したように主人

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】10

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

扉を叩いても声を張り上げても啓太は部屋から出てこない。

うっすらとした意識の状態ではあるものの、無意識がなにやら騒がしいという感覚だけを捉えていた。

しかしながらもまだ睡眠の最中にいた。
取材陣は強行突破を試みた。

もはやその場に顔を合わせた一同には、ベストセラー作家・高木啓太に対する尊厳やマナーなど微塵の欠片や素振りさえなかった

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】9

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

混浴でも男女、人のいりは絶えない。

それはひとえにごもく旅館の実績はもちろん、広告手段に能力が長けていたし、何よりも顧客のニーズを汲み取っていたからでもあった。

そのもっともに口コミ効果やメディアの活用だった。

最近の若者は大胆なのか、モラルに欠けているのか、ごもく旅館の混浴温泉の効能も後押しして利用客は後を絶たない。

ふと声の

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】4

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

翌日、出版社に原稿脱稿の連絡を入れた。

妻でもあり、秘書でもある彼女の役割で、少しでも夫の力になりたいと協力を申し出たことを、啓太が承諾したのだった。

最初は随分と戸惑ったものの、京子の執拗な気持ちに負けて、加筆修正や誤字脱字チェックまで今では一緒にやってくれるまでになっていた。

現在の京子は三役を買ってでていた。
妻であり秘書で

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】3

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

玄関の扉がガチャリと開く。
コツコツとハイヒールの音が壁伝いに鳴り響く。

すっかり部屋着に着替えた京子は、買ったばかりの食材で啓太の好物のカレーを作った。
書斎から一歩も出ていないようだ。

京子はカレーが煮込むまでの時間、洗濯を済ませ一段落をつけた。
出来上がったカレーを吟味して、二階の書斎へと続く階段をあがった。

『あなた、食事

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】2

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

翌朝になり、外は快晴。
まだ眠っている啓太を起こさずにひとり、寝室を出る。

庭の観葉植物に如雨露を使って水を撒く。
今年の夏もまた温暖化の影響で、例年にも増してうだる暑さだった。

一通り、花の水撒きを終えると、額の汗を拭ってキッチンへと移動した。

サンドイッチと卵焼きをこしらえる。
サンドに挟む食材は、ハムとレタスとシーチキンだっ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】1

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

高木京子は作家である高木啓太の妻であり、結婚して十年の月日が経過する。

幼少の頃から日記を欠かさず綴っている。
そんな京子は高校を卒業と同時に、住まい近郊に構えるフィットネスジムでレッスン生として通っていた。

現在の夫と出会い、引っ越してからも一年のブランクはあるものの新しい環境にも慣れ、再びフィットネスジムに通い始め三十年にもなる

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