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読んだ本

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#読書感想文

4月の読書感想文

4月の読書感想文

 3月末、体調を崩したが、せっせと動き回った。小田実『何でも見てやろう』の効果が残っている。効果抜群だ。3分の1も読んでないし、ずっと小田“みのる”だと思っていたのだが。
 回復しつつあると、大学が始まるというのに、またあちこち旅を始めた。穴水町にも行った。父親くらいの年の集団にまじり、彼らの頼もしいこと、自分のか弱いこと、いやほど知らされた。なんだ、復興なんて、何も進んでないじゃないか。悶々とし

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冷たい出来事の温かい本

冷たい出来事の温かい本

辻村深月『朝が来る』

 本の重要なキーワードを抜き取って綴るので、まっしろな頭で読みたいという方は本を手に取り読んだ後、戻ってきてください。
 退屈しない展開が望まれる分厚さですが、期待は裏切りませんでした。あっという間に読み終えました。読書メモを取る間も惜しんで没頭しました。これからの人生、他人事と思っていたことが自分に降りかかるかもしれないと考えさせられました。

 この本のキーワードは不妊

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3月の読書感想文

3月の読書感想文

 去年の冬より雪が降った。たまに訪れる暖かい日には蚊柱がたった。茶柱と違って、縁起もくそもない。大量の虫が網戸に張り付くので気持ちが悪い。誰か暖冬と言ったか、そんなことは山奥では関係ない。0度に近づく夕暮れ、雪が降り、寒さに耐えかねたユスリカが部屋の電気にたむろする。室内灯のカバー裏には死骸の影が映る。どうやって入ったのだろうか。彼らを除いて他のユスリカたちは下に落ち、それらを拭い去ったティッシュ

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【読書2】思考の整理学

【読書2】思考の整理学

外山滋比古(1986)「思考の整理学」ちくま文庫、を読んだ。この本は大学生になったばかりでどういう勉強をしたらいいかわからないという人におすすめだ。著者が述べることは必ずしも正しいわけでは無く、読者の解釈に多少の信頼を置いているわけだ。このあらゆる本に通ずる考え方を再考させる本でもあり、抽象的な観念から実践的な手法があげられ、僕たちの思考の整理にそれぞれ合うものが見つかる。この本から、または別の本

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【読書3】カカシの夏休み

【読書3】カカシの夏休み

重松清の大ファンである僕は教本や雑誌を買うついでに新潮社の本棚から重松清の本をかごに入れる。たまたま見つけたこの本、「カカシの夏休み」(2003)は文藝春秋出版だからふと見つけて買っていたのか家の本棚を整理していたら出てきた。いつ買ったのか分からないが、いま僕は教職養成課程の真っ只中であるため学校・先生を主題にした本書に惹かれた。

重松清の本は主に学校が舞台である。子ども、親、先生と複数の視点で

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【読書4】手仕事を学校へ

【読書4】手仕事を学校へ

新装版「手仕事を学校へ」フレネ・宮ヶ谷徳三訳 
黎明書房(2010)

この本から教育のすすめを得ようとも、すべてまたは一部においても日本の教育に適応させることは難しい。しかし考え方はあらゆるものに適応可能である。フレネもきっとそれを望んでいる。

一方で、フレネが反対する伝統的・官僚的または、スコラ的な学校を読みとることができ、そこから日本教育の姿の客観的な分析のための材料をもたらすに違いない。

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【読書5】ナイフ

【読書5】ナイフ

読んでも読んでも出てくる重松清。難しめの新書のあとに読むといい感じに休憩が取れる。コーヒーブレイクをともにするには少し重めな話ばかりだけど。

今回読んだ本は「ナイフ」。名作らしいと知ってはいたが「エイジ」に圧巻されてこれを超えるものがあるのかと敬遠した。今は両者はまた違う良さがあるとおもう。

教師を目指す身として常に完璧を求める自分を省みる良いきっかけとなった。重松清の学校のリアルを読むたび、

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【読書6】死ぬ瞬間の5つの後悔

【読書6】死ぬ瞬間の5つの後悔

メンタリストDaiGoのおすすめの本から選んだ。買ったきっかけやどんな内容の本か忘れるほど買ってから時間がたった。

難しい本ではないが翻訳されているので違和感がある。僕だけかもしれないが、原本のニュアンスをそのまま日本語にすると言葉と文化の相違が歯ぎしりしているみたいで気持ち悪い。海外の本だなぁなんて思いながら読むのだから、早く英語で読めるようにならないとと考えるが、一向に勉強しない。

それは

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【読書7】正義を振りかざす「極端な人」の正体

【読書7】正義を振りかざす「極端な人」の正体

山口真一氏(光文社新書)

ネット炎上に加担する人の正体やその原因、対策法などが書かれている。ネットに限ったことでなくて、その原因や影響がさまざまな分野にも及んでいることに気がついた。

ネットリテラシーを身につける上で読むべき一冊。

「死なないでいる理由」を読んで

「死なないでいる理由」を読んで

 鷲田清一の「死なないでいる理由」を読んだ。今日はその評論ではく感想だ。読んでいて思い出すことがあった。

 感情が切羽詰まって逃げ出す、その表現に受験のころの自分を思い出だす。塾に通っていた僕は、先生の優しさのあまり自分の無知さがさまよう、その場所が嫌になるときがあった。家を出て塾とは反対方向の道を進む。勉強から逃げたその先は、何も満たされない空白の時間があった。当然会う人もいないので、話す相手

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