R.やまだ

毎週月曜日に必ず投稿します。

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マガジン

  • 日々の記録

    虫の背中に乗るくらい小さい人が歩いても道はできる。

  • ちょっと料理する

    丁寧な暮らしには程遠くても、テキトウな人には適当な彩りがある。そんな一品をどうぞ。

  • 読んだ本

    読んだ本を紹介します。

  • 旅行

    旅行の記録です。誰かの役に立てばいいですが、基本ぼくの友人向けて書いています。

  • ニュース

    ニュースのかんそうをまとめました。

最近の記事

くだらない空想の虫

 僕はそこらの下水から舞い上がった小さな虫ですから、遠くまで行こうなんて考えもしませんでした。ですがそこの家主、僕を下等生物のように扱うのでうんざりして家を出ることにしました。見せしめのように、小さな虫も大きな虫も殺していくのはみていられません。この小さな虫にできることはひとつ、未知の世界へ飛び出すことだけでした。もともと地下に張り巡らされたパイプを徘徊していた僕ですから、外へ出ることくらいは大した変化ではありません。  ふらふらと飛んでいたとき、暑さに弱い僕は漂う酸い臭い

    • ひとり暮らしの掟

      その1 食費はいとわず出すこと。  「健全なる精神は健全なる身体に宿る」(古代ローマの詩人デキムス・ユニウス・ユウェナリスの『風刺詩集』第10編に収録されているラテン語の一節「Orandum est, ut sit mens sana in corpore sano」)健全な体は、食事と運動と睡眠からなる。 その2 無理して自炊しないこと。  薬味は腐らせるから買わない。もやしは安いが腐らせるから買わない。一人暮らし自炊初心者にはベテラン主婦のような応用力はない。作るものと

      •  カラスをよく見かける。隣のアパートを通り過ぎるときは、カラスが散らかしたゴミを避けて歩く。ゴミをつついているカラスも見た。用水路越しに間近にみたこともある。紫に艶めくハネを一度でいいから触れてみたいと思う。高校の校庭の上を無数のカラスが飛んでいく事もあった。みんな揃って城山に飛んでいくさまは、烏合の衆というほど無秩序には見えなかった。  安部公房の『砂の女』(新潮文庫)の表紙にもカラスが描かれ、重松清の『見張り塔からずっと』の「カラス」という短編も印象的だった。とある講演で

        • ちゃんと食べなさい

           食べなくても生きていけるとわかると、めんどくさくて食べなくなる。アフリカのひもじい思いをしている人が聞けばなんというか。私は罪人か。  去年の冬、帰省した。久しぶりに帰って、お宅の金でせこせこ生きてまっせ、と言ったら、母は痩けた頬を見て心配そうな顔をした。「ちゃんと食べてるの」と。  下宿に戻るとすぐに夏が来た。だるくてまともにご飯を食べていない。そうめんかそば、それか、コメとキムチ。食べている方かもしれない。それでも「また、痩せたんじゃない」と心配されるだろう。これ、母親

        くだらない空想の虫

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          郷愁

           たまに、いいなって思うこと。それは、娘さんに面倒見てもらっているおじいさん。頼んだ定食も食べきれず、娘さんとお店の人の前で黙って咀嚼している感じ。悲しそう。年を取るとにじみ出る、諦めというか、そんな表情。ゆっくりと立ち上がり先ゆく娘を追いかける。腰も膝も自由に曲がらないで、今にも転びそう。いつか自分も、と思うと同時に、親も、祖父母もと思う。自分はまだまだだ。そんなことを思いながら、向かいの席に座って見ていた。目は開いているのかわからない。  「血の通った話がしたい」。岡崎体

          これ性癖か

           実は「性癖」という言葉、性的嗜好を言うのではない、と、最近知ってから、あえてこの言葉を連発している。大半が眉をひそめるが、当然だ。本当はこんな意味なんだよ~と知識と性的嗜好をひけらかして、よく思う人なんていない。  性癖は、「その人のパーソナリティに根ざし、生活スタイルを方向づけるような行動傾向を指して用いられるのが本来の用法(Wikipedia 性癖)」だ。人にいうと、この説明が上手くできなくて、ただ性的嗜好を暴露した人になるので、noteに書くことにした。そう、ただの行

          これ性癖か

          復興はいったい何をしている?

           旅行が好きだ。2024年の3月、東北に一人で旅にでた。一人旅は初めてのことで、初日や2日目は、帰りたいばかりと思っていた。盛岡市のゲストハウスに泊まったとき、オーナーや宿泊客と話したことで、心が和み、そこで得た情報を頼りに、ネットでは見つけられなかった朝市にも行くことが出来た。一人旅のコツを掴んだ感じがした。南下しつつ、震災遺構をめぐった。東日本大震災が起きてから13年、やっと海と大地をこの目でみることができた。復興は終わったのか、否。進んでいるのか、否。このまま、自然発生

          復興はいったい何をしている?

          適当な人間に適当な料理「きゅうりと鶏肉のサラダ」

           レシピを見ずに、フィーリングで料理することがかっこいいと思っている人がいるが、そういう人に限って創る料理は不味い。ごま油をかければ何でもうまくなると思っているし、とにかく味が濃い。揚げ物や味が濃いものが美味いのは確かだ。スムーズに料理するあの手際の良さは、鍛錬の結果、思考より体が勝手に動いているだけなのだ。その前提にはぜったいに丁寧な調理方法がある。適当に美味いご飯は作れない。  そうとはいっても、冷蔵庫にある素材で適当にうまいもの作れたら良いなと思う。テキトウな生活に適当

          適当な人間に適当な料理「きゅうりと鶏肉のサラダ」

          傘を日々持ち帰る。

           雨は好きでも嫌いでもなく、ただ、止んでしまったときはなんだか不安になる。なぜなら、傘を置き忘れるから。どんなに意識しても、だ。いままで何本もの傘を置き忘れてきた。  ある日、雨がダーダー降っていたが、講義室を出る頃には止んでいた。外から流入する湿気と人々の熱気が出口に立ち込めていた。雨の上がった異様な雰囲気に気を取られ、傘を忘れそうになりなったが、先行く人に導かれるように傘を取った。  図書館で新聞に目を通し、横山光輝「三国志」を読んで、新書や英語の本や専門書なんかを物色し

          傘を日々持ち帰る。

          6月中にしたいこと2つ

           「今年中にしたいこと10」をコツコツと達成していくnoteを傍からみていて、いいなと思ったので、僕もやる。  まず、僕の新年の目標といえば漠然としていて達成したのかしたのかよくわからなかった。多分、筋トレと英語と読書みたいなことだったと思う。したいことを具体的に設定しておくと定期的に達成感が得られていいと思う。それで、2024も半年過ぎてしまったが、やってみようと思い、とりあえず今月のしたいことを2つ挙げることにした。 やりたいこと2つ  単刀直入にいうと「本を読むこと

          6月中にしたいこと2つ

          ココロココニアラズホリディ

           鎌倉の円覚寺を訪ねる。坐禅修行のため舎利殿拝観は叶わず。そのままライブ会場へ向かうことになった。ライブである。誰のライブかというと、インドから来たタブラ奏者のライブ。といっても三日前に友人に知らされるまで、存在すら知らなかった。遠くに住んでいて忙しい友人Sは、関東付近に住む僕に羨望の眼差しを向けた。彼の言う音楽に間違いはないということで、行くことにした。  歩いていた。目の前のベビーカーが段差を乗り越えるとき、衝撃でバキバキとタイヤのあたりが破損した。子供は無事なようだが

          ココロココニアラズホリディ

          そこの虫、部屋から出ず頭から出ず。

           困った。今日は何もする気になれない。そんな日があってもいいと思えられたのなら、それでいいのだが、決してそんな日はあってはいけない。何かしなくてはと思いつつ、暑いのか寒いのか分からず、毛布を抱いてベッドに横になっている。薄茶色の気味悪い天井に、口髭をはやしたおっさんが張り付いている。今日は何を食べようかと言って去っていった。足を天井に向けて伸ばし、その勢いで跳ね起きる。その勢いに紛れて、ベッドの足がガシガシと床を削り食らう。俺もおなかすいたな。冷蔵庫の横に御当地のマグネットが

          そこの虫、部屋から出ず頭から出ず。

          見返りを求めないのがなぜ美徳になるのか

           極端な話、死んだら名声が得られるとしても、だれも死を選ばないだろうと思う。死ぬなら、天国で幸せに暮らせられればいいが、そんな保障はない。現実的にいえば、働いたらその分お金がもらえる。もらえなかったら不満。お金を払えば相当のサービスが得られる。コスパが悪いと不満。話を聞いてやったから、おれの話を聞かなければ、不満。  このように、ある行為に見返りを求めるのはどうしてだろうか。資本主義ゆえか。しかし資本主義をよく知らない。人間、ひいては動物の習性のためなのかも、実際、僕には全く

          見返りを求めないのがなぜ美徳になるのか

          筋トレをすると自己肯定感が上がる【日記】

          昨日(2024/05/19)、朝起きてシャワー浴びずに、本を読んだ。集中できて一冊読んだ。それでも、まだ、11時。もう一冊読める!オレ意外とデキるな!なんてうつつを抜かしていると気がつけば16時。何をしたか覚えていない。つまり、何もしていない。動け!と思ってカメラを持って散歩にでかける。小降りの雨に打たれながら、カメラをいじってみた。 シャッタースピードとか、ISO感度とか、よくわからないないけどカリカリいじりながら、撮ってみた。奥まった道を歩いて、すこし陰鬱な場所にいった

          筋トレをすると自己肯定感が上がる【日記】

          アートと生きる

           僕は自分が他者の考えの受け売りでできていることを知っていながら、さも自分が生み出したかのように思索して語りだす、その性格が嫌だ。しかし、人間が、無から何かを生み出すことはできるのだろうか、とも思う。それは芸術家の所業だ。僕は、それから、程遠く、俗的でまだまだ成熟していないと思う。  旅を振り返って、復興について考えていると、アイデアが浮かんだ。津波を恐れて築き上げた無機質な防波堤。それにカラフルな絵を描けば面白いかもしれない。そう教授に言うと、「おれは何にでも絵を描けばいい

          アートと生きる

          4月の読書感想文

           3月末、体調を崩したが、せっせと動き回った。小田実『何でも見てやろう』の効果が残っている。効果抜群だ。3分の1も読んでないし、ずっと小田“みのる”だと思っていたのだが。  回復しつつあると、大学が始まるというのに、またあちこち旅を始めた。穴水町にも行った。父親くらいの年の集団にまじり、彼らの頼もしいこと、自分のか弱いこと、いやほど知らされた。なんだ、復興なんて、何も進んでないじゃないか。悶々とした。  悶々としたので、ガザについての本(宮田律『ガザ紛争の正体』)を買った。し

          4月の読書感想文