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日々の記録

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虫の背中に乗るくらい小さい人が歩いても道はできる。
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カエル徘徊

カエル徘徊

 ランプの暖色の明かりで夜を過ごす。本棚の整理をしていると、怪しげな影に目がいく。本棚の角、よく見ると立派なカエルがいる。部屋中を動き回られ、落ち着かないので、捕獲せんと追いかけまわす。かえるがベットの下に入る。僕はあわててモップで行く手をふさぐ。僕の方へとびかかってきたときにはさすがに狼狽した。数分の追いかけっこを経てようやく段ボール箱に閉じ込める。外に出て、蓋を開いて驚いた。段ボールにペタペタ

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夏に

夏に

 植木を避けると日が差した。

烏

 カラスをよく見かける。隣のアパートを通り過ぎるときは、カラスが散らかしたゴミを避けて歩く。ゴミをつついているカラスも見た。用水路越しに間近にみたこともある。紫に艶めくハネを一度でいいから触れてみたいと思う。高校の校庭の上を無数のカラスが飛んでいく事もあった。みんな揃って城山に飛んでいくさまは、烏合の衆というほど無秩序には見えなかった。
 安部公房の『砂の女』(新潮文庫)の表紙にもカラスが描かれ、

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ちゃんと食べなさい

ちゃんと食べなさい

 食べなくても生きていけるとわかると、めんどくさくて食べなくなる。アフリカのひもじい思いをしている人が聞けばなんというか。私は罪人か。
 去年の冬、帰省した。久しぶりに帰って、お宅の金でせこせこ生きてまっせ、と言ったら、母は痩けた頬を見て心配そうな顔をした。「ちゃんと食べてるの」と。
 下宿に戻るとすぐに夏が来た。だるくてまともにご飯を食べていない。そうめんかそば、それか、コメとキムチ。食べている

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郷愁

郷愁

 たまに、いいなって思うこと。それは、娘さんに面倒見てもらっているおじいさん。頼んだ定食も食べきれず、娘さんとお店の人の前で黙って咀嚼している感じ。悲しそう。年を取るとにじみ出る、諦めというか、そんな表情。ゆっくりと立ち上がり先ゆく娘を追いかける。腰も膝も自由に曲がらないで、今にも転びそう。いつか自分も、と思うと同時に、親も、祖父母もと思う。自分はまだまだだ。そんなことを思いながら、向かいの席に座

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傘を日々持ち帰る。

傘を日々持ち帰る。

 雨は好きでも嫌いでもなく、ただ、止んでしまったときはなんだか不安になる。なぜなら、傘を置き忘れるから。どんなに意識しても、だ。いままで何本もの傘を置き忘れてきた。
 ある日、雨がダーダー降っていたが、講義室を出る頃には止んでいた。外から流入する湿気と人々の熱気が出口に立ち込めていた。雨の上がった異様な雰囲気に気を取られ、傘を忘れそうになりなったが、先行く人に導かれるように傘を取った。
 図書館で

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ココロココニアラズホリディ

ココロココニアラズホリディ

 鎌倉の円覚寺を訪ねる。坐禅修行のため舎利殿拝観は叶わず。そのままライブ会場へ向かうことになった。ライブである。誰のライブかというと、インドから来たタブラ奏者のライブ。といっても三日前に友人に知らされるまで、存在すら知らなかった。遠くに住んでいて忙しい友人Sは、関東付近に住む僕に羨望の眼差しを向けた。彼の言う音楽に間違いはないということで、行くことにした。

 歩いていた。目の前のベビーカーが段差

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筋トレをすると自己肯定感が上がる【日記】

筋トレをすると自己肯定感が上がる【日記】

昨日(2024/05/19)、朝起きてシャワー浴びずに、本を読んだ。集中できて一冊読んだ。それでも、まだ、11時。もう一冊読める!オレ意外とデキるな!なんてうつつを抜かしていると気がつけば16時。何をしたか覚えていない。つまり、何もしていない。動け!と思ってカメラを持って散歩にでかける。小降りの雨に打たれながら、カメラをいじってみた。

シャッタースピードとか、ISO感度とか、よくわからないないけ

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風邪

風邪

 おきると体がだるくて、それから5日間からだを自由に動かすことができなかった。実際は2日目や4日目は熱が下がって楽になったので、掃除やドラマ鑑賞にせっせと体を動かし、熱が入って寒いんだか熱いんだか。熱のときの悪夢には襲われなかった。熱は苦しくない。それは薬のおかげ。しかし、咳やくしゃみで体力は消耗され、頭や喉の痛みで食にありつけず、上がったり下がったりする熱に精神を疲弊させた。いよいよ神頼み。そう

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