カエル徘徊
ランプの暖色の明かりで夜を過ごす。本棚の整理をしていると、怪しげな影に目がいく。本棚の角、よく見ると立派なカエルがいる。部屋中を動き回られ、落ち着かないので、捕獲せんと追いかけまわす。かえるがベットの下に入る。僕はあわててモップで行く手をふさぐ。僕の方へとびかかってきたときにはさすがに狼狽した。数分の追いかけっこを経てようやく段ボール箱に閉じ込める。外に出て、蓋を開いて驚いた。段ボールにペタペタと跡をつけている。得体のしれない液体をまとって服や本の上をぴょこぴょこしていたということだ。そうとなれば小さくてかわいい生き物でも不愉快極まりない。「鳥にでもつつかれろ」とそこらの田んぼに放り投げ帰る。ドアを閉め、言い過ぎたかもと思ったが、どうでもよくなる。部屋にカエルが居た。それだけ。それから汗をまとった体でベッドに横たわり、死んだように寝る。
ここから先は
0字
¥ 300
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?