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詩の真似事

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憧憬する詩人達の、詩の真似事です。
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記事一覧

詩の真似事「混沌」

詩の真似事「混沌」

(不条理な幸せで、雁字搦めだ)

この世を疑っている
憧憬に侵されている
無垢より純粋な欲望
空より果てしない人波

"俺らは動物"
思い出させやがるニュース
あの人を攫う濁流が
俺にも流れているのか

時代の付けを払い痩せては
時代の恩恵を浴び太っていく
ボーダーラインはグラデーション
その上を彷徨っている

端から正常な人生なんて無かったんだ、
いかれた連中を眺めている。
誰かからしたら俺もそ

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詩の真似事「愛する人」

詩の真似事「愛する人」

水溜まりにもなれない場所に零れ落ちた
一雫のような
愛する人

照らされる筈の光に焼かれ続け
蒸発してしまいそうな
愛する人…

雨よ、雨のような事象よ
しめやかにそっと、
愛する人に降り注いでくれ。

孤独をうたう人がいたら、どう思うの。
訴ふことも出来ない
愛する人。

詩の真似事「愛する人」

詩の真似事「愛する人」

水溜まりにも成れない場所に零れ落ちた
一雫のような
愛する人

照らされるべき光に焼かれ続け
蒸発してしまいそうな
愛する人

孤独を歌う人がいたら、どう思うの
訴ふことも出来ない
愛する人

雨よ、雨のような事象よ
しめやかにそっと、
愛する人に降り注いでくれ。

詩の真似事「秤2」

詩の真似事「秤2」

思い切りのしかかった現実に
針が振り切れてしまった古びた秤を
いくつも抱えて過ごして

美しい必然に憧れて
書き写した詩句の数々も
注いだ熱情が手に負えず
人々を困らせた日々も

僕を僕たらしめる理由も
あなたがそこにいた重大さも

測れなくなってしまった

詩の真似事「春」

詩の真似事「春」

蒼穹を見たら
外に出よう
散歩するくらいでいいんだ
人を見ていようよ

明日には
いない人が
どこかで笑っているから
どこかに散りゆくように

吹き降りの日は
本でも読もう
芽吹いた知恵に耳を澄まして
雨を感じようとドアを開けたんだ。

剥がれ落ちて撒き散った
花弁を踏み潰さずには
どこも歩けない
自分の行く末に目をこすったよ

詩の真似事「秤」

詩の真似事「秤」

思い切りのしかかった現実に
針が振り切れてしまった古びた秤を
いくつも抱えて

己の価値も
貴方の意味も
測れなくなってしまった

詩の真似事「風」

詩の真似事「風」

罪を知らない風は
まだ何処かに吹いている
雨も罰なんて受けないで
ただ乾いたら消えていくだけ

詩の真似事「夜の裂け目」

詩の真似事「夜の裂け目」

窓を叩く答えがうるさくて眠れない
削れた言葉が歪に意味を散らす眩しい夜
イメージを抱かせた筈の言葉が
いつの間にか別の意味を孕んでいる

あの人の笑顔がちらつけば
もんどりをうつよ
どうか幸せでいて

夜の裂け目を探すように真夜中の風を喰らう
燃やし続けたハートは殼になって
焦げ付いた感性で失せた感覚を思う

心底震えているよ
波打つ胸中で
沈殿していた思いや記憶が翻る

詩の真似事「あの、夏の日」

詩の真似事「あの、夏の日」

昼下がりの多幸感
団地の階段を駆け下りて行く
帽子を被り直して

飛行機が低く飛んでいる
もう何も聞こえなくなりそうな
あの夏の日

(胸に湛えた全てで世界に痕を残していく、あの頃はそうだった)

焼け付くようなアスファルトに
バケツをひっくり返すように生きた
あの、夏の日

詩の真似事「綺麗な顔になって」

詩の真似事「綺麗な顔になって」

鮮やかな感情を纏う
手毬のようなハート
大切に転がして来たのに

どこからか破けてしまって
いつからかほつれてしまうんだ
残酷な世界で

鑢を掛けられたように表情を失くしていくんだ、綺麗な顔になって
なんにも感じなくなって踏み荒らしているのさ、ボーダーラインなんて

彩りの剥がれ落ちていく
手毬のようなハート
抱き寄せることも出来ずに

白々しい人波の中で
闇にキスして抱かれていく
夕焼けを見たん

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詩の真似事「渾渾沌沌」

詩の真似事「渾渾沌沌」

(不条理な幸せで、雁字搦めだ)

この世を疑っている
憧憬に冒されている
無垢より純粋な欲望
空より果てしない人波

"俺らは動物"
思い出させやがるニュース
あの人を攫う濁流が
俺にも流れているのか

時代の付けを払い痩せては
時代の恩恵を浴び太っていく
ボーダーラインはグラデーション
その上を彷徨っている

端から正常な人生なんて無かったんだ、
いかれた連中を眺めている。
誰かからしたら俺もそ

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詩の真似事「夕焼け」

詩の真似事「夕焼け」

"美しいもの程、脆く儚いんだね"
どこかで聞いた気障な科白を
ふと思い出していたんだ

あの人の笑顔が夕焼けみたいだったから
赤く燃え上がりながら
闇にじゅっ、と抱かれていく

端から正常な 人生なんてなかったんだ
夕焼け 沈んだ
あの人は笑っていた
あの人は笑っていたんだ

詩の真似事「Something ain't quite right」

人間、属することからは逃れられない
死んでも数えられてしまう
数えられてしまうんだ

何かが完全に間違っていた夜
立ち並ぶ街路樹を横目に帰路に着く
綺麗に植えられて整えられて
いつからそこに居たんだ?

"明るく振る舞えば気付かれないさ"
何かが完全に間違っている
それが俺とは思わなかった
いつまで繰り返すつもりだ?

雑巾のように絞られる胸から滴る感受性の泉。
もう二度と出会うことはない。

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詩の真似事「人波」

詩の真似事「人波」

行き交う人波に溺れることもなくなった
昨日に取り残された人が居たとしても
明日にはいない人が居たとしても
毎日綺麗に泳いでいける

街を突き抜ける電車にいくつもの生活が溢れ返る端っこで知らない顔をしていても
見逃してはくれない
絶対に
責任を負うんだ

ふやけてしまったハートを
いくら擦っても発火せずに黒ずんでいくだけ
繊細な感性ほど
自分の鈍感さに気付いているもの

押し殺した感情の返り血がこび

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