あるバリスタの生煮え日記

都内でバリスタをしています。言葉と写真と花、コーヒーが好きです。 毎日、自分の中の煮え…

あるバリスタの生煮え日記

都内でバリスタをしています。言葉と写真と花、コーヒーが好きです。 毎日、自分の中の煮え切らないどうとでも解釈できる言葉を残していきます。できるだけ、毎日日記📖☡✍

記事一覧

コーヒーを淹れる手間を省かない理由(センスの哲学の読書感想文)

店頭では、お客様に「気軽なドリップバックもいいですよね」と会話する。しかし、僕はコーヒーを抽出する手間や過程を省略したくない。そんなフワフワと形を変える雲のよう…

たった一人の熱狂、読書感想文

争いの絶えない場所を修羅場という。阿修羅という永遠に戦いつづける神から名付けられた。三城徹さんの生き方はまさに阿修羅のような正面突破だった。常に自分を修羅場に置…

たった1人から始めるイノベーション入門、読書感想文

Q.何をどうすればいいのか。どうすれば動き出せるのか。 A.小さな「意志」から動き出し、勢いを増していく。 新しいやり方で、新しい価値を生み出せばイノベーション。ど…

四月になれば彼女は、読書感想文

1年以上前に、ブックオフで大量買いした中の1冊だった。日が延びて、暖かな風が吹く最近に「四月になれば彼女は」というタイトルに春を感じる。ふと、ページをめくり始めた…

喫茶店のディスクール、読書感想文

われわれはいったい誰と契約しているのか?メディアの情報か。つくられた話題性か。そんな権威による価値づけから「いい店」を再生するキーが散りばめられていた。オオヤコ…

飛行機を色々なものに例える

壊れた扇風機みたいな音で地面を走る。大きな飛行機は地面を漕ぐ。浮く瞬間に頭を押しつけられた。心臓が盗まれそうなヒヤッとした怖さは、ジェットコースターの落ちる寸前…

スプートニクの恋人、読書感想文

村上春樹の小説は読み終わると、呼吸が深くなり、体が動かなくなるような余韻を残す。とくに「スプートニクの恋人」は、束の間の美しいものが不在であることを、語ってくれ…

緩く速く速く、文章のリズム感

文の出し入れ文章は短文と長文を狙って出し入れすることで、気持ちのいいリズムがうまれる。長文のみだとスピード感を削ぐ。短文のみだと単調になってしまう。どちらも読み…

+6

上を向くと、青い空と木がきれいだ!

山と海で大きく息をつく

筑波山に登り始めるときは、決まって元気に、陽気に、なんだってできるような快活さを備えている。だけど、その日の岩は濡れたコンビニより滑るし、土は木の根と石で不安定…

カラオケ、料理、文章

大通り沿いから夕日の差し込む窓。平成の遺産のようなカラオケ館に行きました。カラオケでは、聴くのみでは気づけない面白さを改めて曲の中から発見できます。映し出される…

珈琲、経験、人間関係

「上辺だけの関係みたいだね」と主任。何を言っているんだ、と僕。珈琲の味は人間関係と似ているらしい。よく聞いてみる。すると、過去の記憶が溢れ出るほど共感した。 サ…

走ること、りせッとたいむ

 3キロ、5キロ、8キロ...走ることは胸に穴が開き、足が崩れそうな苦痛の連続です。 しかし、です。運動することでSNSの海に漂っていた身体が現実に戻ってきます。  な…

noteをはじめます。とにかく書く。ひたすら書く。書き続ける。

 話しながらの言葉は整理されていなくて、うまく考えられません。  しかし、書くことで自分に取材を重ねる。すると、思考の範囲を確認できます。どこまで考えられている…

コーヒーを淹れる手間を省かない理由(センスの哲学の読書感想文)

コーヒーを淹れる手間を省かない理由(センスの哲学の読書感想文)

店頭では、お客様に「気軽なドリップバックもいいですよね」と会話する。しかし、僕はコーヒーを抽出する手間や過程を省略したくない。そんなフワフワと形を変える雲のような言語化できない違和感を抱いていた。

「センスの哲学」(千葉雅也、2024)には、なぜコーヒーを丁寧に抽出することに没頭できるのか、ひとつの仮説が提示されていた。僕の場合、没頭できるというよりは、没頭してしまう。そういうどうしようもなさが

もっとみる
たった一人の熱狂、読書感想文

たった一人の熱狂、読書感想文

争いの絶えない場所を修羅場という。阿修羅という永遠に戦いつづける神から名付けられた。三城徹さんの生き方はまさに阿修羅のような正面突破だった。常に自分を修羅場に置きつづけている。

僕はもっと、もっと、もっと熱狂しなければいけないと感じた。自分の修羅場となる仕事で熱狂するために、圧倒的な努力を怠らない。他者への想像力をはたらかせる。この二つを大事にして、残りの学生生活、社会を生きていきたい。

「多

もっとみる
たった1人から始めるイノベーション入門、読書感想文

たった1人から始めるイノベーション入門、読書感想文

Q.何をどうすればいいのか。どうすれば動き出せるのか。
A.小さな「意志」から動き出し、勢いを増していく。

新しいやり方で、新しい価値を生み出せばイノベーション。どれだけ大きなインパクトを与えられるか、新しい軸で世の中に提案することが大切だと学んだ。

新しい軸を発想し、カタチにするために始めること

出かけたその場所で、
①自分ならどんな新しい企画を立てるか
➁どことコラボしたら面白そうか

もっとみる
四月になれば彼女は、読書感想文

四月になれば彼女は、読書感想文

1年以上前に、ブックオフで大量買いした中の1冊だった。日が延びて、暖かな風が吹く最近に「四月になれば彼女は」というタイトルに春を感じる。ふと、ページをめくり始めた。

「なぜ人を愛するのだろうか。なぜそれが失われていくことを止めることができないのか。あらゆる賢人が悩んできた未解決の難題。」

愛にこだわらなくなった精神科医の藤代は、婚約者で獣医の弥生と些細な気持ちを重ね合うことを怠っていた。面倒く

もっとみる
喫茶店のディスクール、読書感想文

喫茶店のディスクール、読書感想文

われわれはいったい誰と契約しているのか?メディアの情報か。つくられた話題性か。そんな権威による価値づけから「いい店」を再生するキーが散りばめられていた。オオヤコーヒ焙煎所のオオヤミノルさんが、喫茶店の在り方や構造そのものをあらためて捉え直す。末期的消費社会で私たちが再生するヒントとなる本だ。この本を手に取ったのは、たまたまだった。夕方に偶然、見つけて手を取る。目次を見る。

第一考 職業意識の変化

もっとみる
飛行機を色々なものに例える

飛行機を色々なものに例える

壊れた扇風機みたいな音で地面を走る。大きな飛行機は地面を漕ぐ。浮く瞬間に頭を押しつけられた。心臓が盗まれそうなヒヤッとした怖さは、ジェットコースターの落ちる寸前を思い起こした。上昇中は、押しつけられ浮くことを繰り返す。5年ぶりの飛行機は怖い。オーストラリアへホームステイいく以来だ。

空気の抜けるようなぽんっ。シートベルトの解除音の後、機体は青い空の雲の上を泳いでいた。快適。

下降中、機体は気流

もっとみる
スプートニクの恋人、読書感想文

スプートニクの恋人、読書感想文

村上春樹の小説は読み終わると、呼吸が深くなり、体が動かなくなるような余韻を残す。とくに「スプートニクの恋人」は、束の間の美しいものが不在であることを、語ってくれた。

「22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった」書き出しの流れるような言葉に、つかまれる。その記念碑的な恋の相手は、17歳上で、既婚者で、つけくわえると女性である。この恋を「僕

もっとみる
緩く速く速く、文章のリズム感

緩く速く速く、文章のリズム感

文の出し入れ文章は短文と長文を狙って出し入れすることで、気持ちのいいリズムがうまれる。長文のみだとスピード感を削ぐ。短文のみだと単調になってしまう。どちらも読みずらい。原則として2文に分けられるときは、すべて2文にする。ここぞというときに変拍子をいれて、リズムチェンジする。いい音楽はリズムと変化が楽しいように、文章も同じなのだ。さあ、書きだそう。

「緩急急急緩緩緩、超速球の文の配列がのりやすい文

もっとみる
山と海で大きく息をつく

山と海で大きく息をつく

筑波山に登り始めるときは、決まって元気に、陽気に、なんだってできるような快活さを備えている。だけど、その日の岩は濡れたコンビニより滑るし、土は木の根と石で不安定だった。頂上に近づくにつれて、全能感はなくなっていき、自分の体の限界に気づいていく。登りきると、疲労感は体にのしかかる。自分は大きな自然と比べて、小さな存在だと知らされる。広く小さなまちを見て、疲れているのだけど、心は早朝の霧が次第に晴れる

もっとみる
カラオケ、料理、文章

カラオケ、料理、文章

大通り沿いから夕日の差し込む窓。平成の遺産のようなカラオケ館に行きました。カラオケでは、聴くのみでは気づけない面白さを改めて曲の中から発見できます。映し出される歌詞を追うことで、言葉の意味を考える、歌詞のつながりに気づく、心情の変化を読み取る。音程をとろうとすることで、抑揚で伝えたいことを感じる。

好きな料理は、自分でつくることで必要な材料を知り、過程を知り、片づけ方を知る。理解が深まるほどに、

もっとみる
珈琲、経験、人間関係

珈琲、経験、人間関係

「上辺だけの関係みたいだね」と主任。何を言っているんだ、と僕。珈琲の味は人間関係と似ているらしい。よく聞いてみる。すると、過去の記憶が溢れ出るほど共感した。

サイフォンで珈琲を抽出する「とむとむ つくば店」に、今日は2回目の勤務日だった。一通りホールのことを教わる。土曜日の騒がしさが落ち着く夕方に、次は抽出を教わった。初めての挑戦、慎重な手つきで臨んだ結果、主任に言われた。薄い。

僕の淹れたコ

もっとみる
走ること、りせッとたいむ

走ること、りせッとたいむ

 3キロ、5キロ、8キロ...走ることは胸に穴が開き、足が崩れそうな苦痛の連続です。

しかし、です。運動することでSNSの海に漂っていた身体が現実に戻ってきます。

 なぜなら、走ることは五感で苦痛を味わい「いる」ことを確かめられるからです。絶えず並ぶ街路樹。排気ガスと乾いたアスファルトのにおい。エンジン音とタイヤが地面を走る足音。舌に残る鉄のような味。地面をつかみ、蹴る、そして風を纏い、きる体

もっとみる
noteをはじめます。とにかく書く。ひたすら書く。書き続ける。

noteをはじめます。とにかく書く。ひたすら書く。書き続ける。

 話しながらの言葉は整理されていなくて、うまく考えられません。
 しかし、書くことで自分に取材を重ねる。すると、思考の範囲を確認できます。どこまで考えられているか、いないのか。なんとなくわかったつもりでいる書き始め前から、言語化された「わかる」が始まりと違うほどおもしろいです。

 気づきを文章にして整理する。発見と学びを積み上げ、山にしていく。続けるために、楽しくなってきたころ合いで手を止める。

もっとみる