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コーヒーを淹れる手間を省かない理由(センスの哲学の読書感想文)
店頭では、お客様に「気軽なドリップバックもいいですよね」と会話する。しかし、僕はコーヒーを抽出する手間や過程を省略したくない。そんなフワフワと形を変える雲のような言語化できない違和感を抱いていた。
「センスの哲学」(千葉雅也、2024)には、なぜコーヒーを丁寧に抽出することに没頭できるのか、ひとつの仮説が提示されていた。僕の場合、没頭できるというよりは、没頭してしまう。そういうどうしようもなさが
たった1人から始めるイノベーション入門、読書感想文
Q.何をどうすればいいのか。どうすれば動き出せるのか。
A.小さな「意志」から動き出し、勢いを増していく。
新しいやり方で、新しい価値を生み出せばイノベーション。どれだけ大きなインパクトを与えられるか、新しい軸で世の中に提案することが大切だと学んだ。
新しい軸を発想し、カタチにするために始めること
出かけたその場所で、
①自分ならどんな新しい企画を立てるか
➁どことコラボしたら面白そうか
③
四月になれば彼女は、読書感想文
1年以上前に、ブックオフで大量買いした中の1冊だった。日が延びて、暖かな風が吹く最近に「四月になれば彼女は」というタイトルに春を感じる。ふと、ページをめくり始めた。
「なぜ人を愛するのだろうか。なぜそれが失われていくことを止めることができないのか。あらゆる賢人が悩んできた未解決の難題。」
愛にこだわらなくなった精神科医の藤代は、婚約者で獣医の弥生と些細な気持ちを重ね合うことを怠っていた。面倒く
喫茶店のディスクール、読書感想文
われわれはいったい誰と契約しているのか?メディアの情報か。つくられた話題性か。そんな権威による価値づけから「いい店」を再生するキーが散りばめられていた。オオヤコーヒ焙煎所のオオヤミノルさんが、喫茶店の在り方や構造そのものをあらためて捉え直す。末期的消費社会で私たちが再生するヒントとなる本だ。この本を手に取ったのは、たまたまだった。夕方に偶然、見つけて手を取る。目次を見る。
第一考 職業意識の変化
飛行機を色々なものに例える
壊れた扇風機みたいな音で地面を走る。大きな飛行機は地面を漕ぐ。浮く瞬間に頭を押しつけられた。心臓が盗まれそうなヒヤッとした怖さは、ジェットコースターの落ちる寸前を思い起こした。上昇中は、押しつけられ浮くことを繰り返す。5年ぶりの飛行機は怖い。オーストラリアへホームステイいく以来だ。
空気の抜けるようなぽんっ。シートベルトの解除音の後、機体は青い空の雲の上を泳いでいた。快適。
下降中、機体は気流
スプートニクの恋人、読書感想文
村上春樹の小説は読み終わると、呼吸が深くなり、体が動かなくなるような余韻を残す。とくに「スプートニクの恋人」は、束の間の美しいものが不在であることを、語ってくれた。
「22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった」書き出しの流れるような言葉に、つかまれる。その記念碑的な恋の相手は、17歳上で、既婚者で、つけくわえると女性である。この恋を「僕
山と海で大きく息をつく
筑波山に登り始めるときは、決まって元気に、陽気に、なんだってできるような快活さを備えている。だけど、その日の岩は濡れたコンビニより滑るし、土は木の根と石で不安定だった。頂上に近づくにつれて、全能感はなくなっていき、自分の体の限界に気づいていく。登りきると、疲労感は体にのしかかる。自分は大きな自然と比べて、小さな存在だと知らされる。広く小さなまちを見て、疲れているのだけど、心は早朝の霧が次第に晴れる
もっとみる走ること、りせッとたいむ
3キロ、5キロ、8キロ...走ることは胸に穴が開き、足が崩れそうな苦痛の連続です。
しかし、です。運動することでSNSの海に漂っていた身体が現実に戻ってきます。
なぜなら、走ることは五感で苦痛を味わい「いる」ことを確かめられるからです。絶えず並ぶ街路樹。排気ガスと乾いたアスファルトのにおい。エンジン音とタイヤが地面を走る足音。舌に残る鉄のような味。地面をつかみ、蹴る、そして風を纏い、きる体
noteをはじめます。とにかく書く。ひたすら書く。書き続ける。
話しながらの言葉は整理されていなくて、うまく考えられません。
しかし、書くことで自分に取材を重ねる。すると、思考の範囲を確認できます。どこまで考えられているか、いないのか。なんとなくわかったつもりでいる書き始め前から、言語化された「わかる」が始まりと違うほどおもしろいです。
気づきを文章にして整理する。発見と学びを積み上げ、山にしていく。続けるために、楽しくなってきたころ合いで手を止める。