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記事の小説まとめ

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記事で書かれた小説をすべてまとめています。
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2023年4月の記事一覧

空白小説を自作つぶやき小説「真昼の夜道」(3559日)でやってみた。

空白小説を自作つぶやき小説「真昼の夜道」(3559日)でやってみた。

みんなのフォトギャラリーより、あずき*m様からイラストをお借りしました。ありがとうございます。枠の内と外で色が違うので、枠の外の世界と枠の内の世界。別々の世界があるというのが、今回の空白小説の内容とマッチしていましたので、使わせていただきました。世界はいっぱいありますが、つくられている最中の物語は、世界が壊れることが日常茶飯事なのでしょうか。そういう空白小説を書きました。メタフィクションですね。

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【ショートショート】 怪我しませんように

「もうキスはいいよ。加護だらけになる」
白い翼をもつ人間が、ぎろりと私をにらむ。
扉の前に立たれては、外へ出かけられない。

魔女である私がこの白い翼の人間をひろったのは、ずいぶん前だ。

こいつは空から落ちてきた。
昔から、翼をもつ人間は空で暮らしている。
空に王国があるのだ。
空は神聖なものだ。
その神聖なものから、こぼれ出てきたもの。
人間の形をした人間ではないものたちは、王国の者がみつけれ

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《記事小説》小川未明読書感想文通 6通目

私は手紙セットにこだわりがある。

たくさんたくさん便箋を書くから、なじみのお店があって、そこで便箋をいっぱい買うのだ。

海ちゃんが便箋一枚の手紙を私に送ってきていたとき、私は返信で便箋を二十枚も送った。

私としては、これで手紙が途切れるなら文通なんてしなくていいやって、傲慢に思っていたのよね。

でも、海ちゃんは律義に手紙を送ってくれて、私はとってもうれしかったの。

小川未明の私は姉さんを

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【毎週ショートショートnote】ラーメン部骨伝導

「ごめんなさい幸次さん。ボディビル連れてきちゃって」
「いや、俺の方こそごめん」
「へー、可愛い子だね」
「ずりぃぞ、尾出」
「素直によろこびましょうよー」
「注文していい?」
「自由すぎるやつら連れてきて、本当にごめん」

ラーメン屋にて、バディと尾出幸次のデートに5人ついてきていた。
バディには、名探偵ボディビル。
尾出幸次には、猫屋敷、小番、狩田、川井いな。
計7名が食卓を囲んでいる。

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【毎週ショートショートnote】ブーメラン発言道

探偵事務所にて、男に関しては迷鑑定のバディが私にはなしかけてきた。

「ボディビル。聞いて! アタシ、彼氏ができたの!」
「へー」
「興味ないの!」
「ない」
「ひどい!」

結婚詐欺にひっかかっているかもしれないわね。一応、聞こうかしら。

「どんな人なの」
「この人!」

バディが指差したのは音楽雑誌のあるバンド特集の記事だった。
嫌な予感しかしないわね。

「そっくりさんかしら」
「違うよ。

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【インスタントフィクション】 飛ぶ以外の箒の用途

そうじができない。
そうじを習っていないからではなく、物が多すぎるのだ。
物置にはなにが入っているか、わからない。
もう家が物置になってしまっている。

さあ、どうするか。
物を捨てるしかないだろう。
でも、どれが必要なもので、どれが不必要なものかわからない。

もしかしたら、あとで必要になるかもしれないと考えると、なにも捨てれなくなってしまう。

そして、そうじとは全く別のことをして目をそらしつ

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【インスタントフィクション】 嵐のような日々    

覚えられない。

一日なにをしていたのかが、思い出せないから覚えようとしたが、思い出せない。

朝食をなに食べたか忘れるならまだしも、さっき食べた夕食を思い出せない。デザートにアイス食べたのは思い出せる。

このまま、なにもかも思い出せなくなるのか。
それは嫌だ。

でも、一日一日を記録してもなあ。
一日一日の積み重ねが大事なのはわかるが、そんなに書くことなどない。
スケジュールには、仕事の〆切ぐ

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【毎週ショートショートnote】建設の頓珍漢

好きという気持ちが家なら、きっと私は建てかたを間違えた可能性が高い。

「こっちが好きなタイプ教えたんだから、林檎ちゃんだって答える義務がある。だから、教えてくださいお願いします」
「必死か」
「僕だけ教えて不公平だもん」

家を建てる前にすることは、間取りを決めることだと思う。
部屋はどのくらいとか、キッチンはここ、風呂はここでトイレはここ。外装を先に決めるという手もあるかもしれないが、それは立

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【毎週ショートショートnote】伝説の安心感

「鎌犬って、どんな女の子がタイプなんだ」
「なんでそんなこと聞くの」
「フラれまくってるのに、よくもまあ、告白しまくれるなと思ったから」
「林檎ちゃん、なんでも素直に言って許されるわけじゃないんだよ」
「鎌犬と私の仲じゃん」

どういう仲なのかは、僕にもわからないが、好きな女の子のタイプを聞かれているのだろう。
面倒くさいけど、後々のことも考えて渋々答えることにした。

「お母さんみたいな安心感の

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【毎週ショートショートnote】無理無理童話88

「おじいちゃん! ATMにあずけたのは、ヘンゼルとグレーテルの魔女のおばあちゃんがお鍋におちそうなところだよね。あと、ラプンツェルの塔からおちそうになる魔女のおばあちゃんもあずけたよね。それで、おばあちゃんが二人になっちゃうから、違うおはなしに出すの! ラプンツェルのおばあちゃんはシンデレラの魔法使いのおばあちゃんにしたら、空を飛べるから大丈夫でしょ! 羽がぱたぱたしてたし。 そこに出すの!  そ

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【毎週ショートショートnote】グリム童話ATM

「やだ! 今日は赤ずきんがいい! 赤ずきんになって、おおかみのおなかの中で遊ぶの!」
「それじゃあ、おばあちゃんはおおかみに食べられちゃうよ」
「嫌! だったら、ヘンゼルとグレーテルがいい! お菓子いっぱい食べれるもん」
「おばあちゃんは魔女かい?」
「楽しく遊びたいのにい…」

妻が孫が、昔話のキャラクターになりきって遊んでいるらしい。
配役が決まらず、困っているようだ。

「おばあちゃんが、い

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【インスタントフィクション】 旧友との再会     

入学式で、私は顔見知りと会った。

「ひさしぶりだね。元気?」
「うん。まあまあだよ」

前に会ったときよりも、顔つきも身体つきも変わっていて、びっくりした。

「その服、にあってるね」
「ありがとう。そっちこそ、ズボンと靴下の組み合わせがいいね」
「本当は、もっと丈の長いズボンがよかったんだけどさ。親が短い方がにあうって、きかなくって。ねえ、変じゃないかな」
「にあってるよ。今しか着れないからい

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【毎週ショートショートnote】メガネ冠婚葬祭

眼鏡屋の二階は居住スペースになっている。
吸い寄せられるように一階のシャッターに手をかける相方を急いで止めた。

「俺から眼鏡を奪うな!」
「深夜にシャッターがらがら開けたら、目立つだろ。裏手に勝手口があるから、そっから入るぞ」

だだをこねる相方をひきずりながら、眼鏡屋の一階に入る。
相方が真っ先に入ろうとしたので止めた。

「なんで!」
「防犯センサー解除すんのが先だ」

さっさともろもろの防

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【毎週ショートショートnote】メガネ初恋

「なあなあ、あの子の眼鏡みたか?」
「みてねえよ」
「初恋した眼鏡に似てたよ」
「人をみろ」
「顔面と眼鏡のコントラストを論じてるのさ」
「知るか」

またか。
人ん家でもゲームをする相方は、眼鏡に目がない。
人ん家を漁るときは、パソコンとゲーム機の次に眼鏡を重視する。

「次に行く旅行中の家はどこなんだ?」
きたか、答えたくないが言うしかないだろう。
どうせ、家に着いてからテンションマックスで大

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