記事一覧
短編『何も気にならなくなる薬』その194
墓場
怠る
鼻毛
「やっぱり墓荒らしは良くないよ」
「墓荒らしは重罪。そんなことはよくよくわかっている。
しかし、どうしても確かめておきたいんだよ。金目のものがあるかもしれないからな」
「オレも確かめたいことがある」
「なんだ」
「鼻毛はどのくらいの頻度で手入れする」
「今はそんなことはどうでもいいだろう。ほら仕事を怠るな、手を止めるな」
「墓守に見つかるよ」
「騒がなければ見つからない。ほ
短編『何も気にならなくなる薬』その193
瓦割り
バスドラム
エイムズの部屋
エイムズの部屋というのは、いわゆる錯視、目の錯覚の起きる部屋のこと。
一人の大男が大きなドラムを叩いている。
そうかと思うと、その反対でドラムに合わせて小人が瓦割りをしている。
この二人が入れ替わると大男は小人になり、また小人は大男になる。
バスドラムと瓦の位置を変えると途端にバスドラムは小さくなり、瓦は大きくなる。
部屋の大きさは同じに見えるの
短編『何も気にならなくなる薬』その192
人体自然発火現象
スポンジ
インサイダー
とあるバーにて。
「君、インサイダー取引って知っているかい」
「アレですよね、未公開情報を持っている内部者が有利な形で取引をすることですよね」
「世間一般ではそうだな。マスター」
マスターは頷いて男の持っていたウイスキーのグラスに炭酸水を注ぐ。
「これもインサイダーだ」
「何を真面目な顔してくだらないことを言っているんですか」
「たまにはこういうくだ
短編『何も気にならなくなる薬』その188
連続殺人事件
拘束
殺戮衝動
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物騒な世の中だ。当たり前のように人が人を殺してしまう。
けれどもそんな歴史はずっと昔からあって、それが表沙汰になっているかいないかの違いしかない。
戦争で多くの人を殺した事実は消えない。
誰かが、誰かを攻撃することは何も大人の世界だけじゃない。
子供の世界でも当たり前のようにある。
子供が元気に仲良く遊んでいる。そんな幻想は都合のいい人たちの妄想でしか