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短編『何も気にならなくなる薬』その182

屋敷

汚らしい

カミングアウト


「肝試しをしよう」
そう皆で集まって、懐中電灯やインスタントカメラを持ち寄って汚らしい幽霊屋敷へ足を踏み入れる。
「やっぱりやめとこう、怒られるから」
「今更怖くなったのか」
「誰に怒られるんだよ」
「お父さんとお母さん」
「どうして」
「だってここ、僕の家だもの」
「変なことを言うなよ、おい、走って逃げることないだろ」
一人が怖がってその場から走り出すと他の子達も蜘蛛の子を散らすように逃げ出してしまった。
「おはよう、昨日のって夢じゃないよな」
「たしかに皆で集まったよ」
「あれ、やっぱり高橋だよな」
「あいつ、幽霊屋敷の住人だったのか」
「まだ学校に来てないよな」
「もしかして、本当に幽霊」
「はい、じゃあホームルームを始めるぞ、高橋はまだ風邪が長引いて休みだから、田中代わりに日直やってくれ」

美味しいご飯を食べます。