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短編『何も気にならなくなる薬』その193

瓦割り

バスドラム

エイムズの部屋


エイムズの部屋というのは、いわゆる錯視、目の錯覚の起きる部屋のこと。

一人の大男が大きなドラムを叩いている。

そうかと思うと、その反対でドラムに合わせて小人が瓦割りをしている。

この二人が入れ替わると大男は小人になり、また小人は大男になる。

バスドラムと瓦の位置を変えると途端にバスドラムは小さくなり、瓦は大きくなる。

部屋の大きさは同じに見えるのに、立つ場所によってその大きさが変化する。

大男と小人が部屋を出ると二人の背丈に対した差はない。

その部屋だから小さく見えたのか、それとも普段の世の中が、人を平等に見せるために、世の中がそのように見せているのか。
私達が正しいと思うものには何ら根拠がない。

美味しいご飯を食べます。