#海外文学
『アトランティスのこころ』 スティーヴン・キング
1960年から現代までのアメリカを、いくつかの人生に乗せて描いた長編大作。読書の高揚感をかき立てる、上下巻組の大型本だ。
物語の幕開けは1960年、コネティカット州郊外の住宅地。11歳の少年ボビーは、母親と二人でつましく暮らしている。
ボビーには毎日つるんで遊ぶ気の合う友人がいて、恋人になりそうな女の子もいる。目下の関心事は、どうしても欲しい自転車を購入するために、お金を貯めること。
そしてもう
『階段を下りる女』 ベルンハルト・シュリンク
美しい女性の登場するラブストーリーと思いきや、消化不良になりそうな難易度の高い内容だった。ストーリー自体はシンプルなのだが。
語り手の「ぼく」は、フランクフルトで駆け出しの弁護士だった頃、忘れられない恋をした。
発端は奇妙な依頼だった。
依頼主はシュヴィントという画家。彼はグントラッハという金持ちの注文で、グントラッハの妻イレーネをモデルにした絵を描いたのだが、その後イレーネと恋仲になり駆け落ち
『われら闇より天を見る』 クリス・ウィタカー
15歳の彼らは完璧な4人組だった。
不良のヴィンセントと美しいスター。ヴィンセントの親友ウォークと、その恋人マーサ。
しかし4人の輝かしい日々は、ヴィンセントが酔ったあげくの自動車事故でスターの妹を殺めてしまった事件を機に、永遠に失われてしまう。
物語はその30年後、刑期を終えたヴィンセントが地元に戻ってくるところから始まる。
15歳という年齢にも関わらず刑務所送りになったヴィンセントは、刑務所
『ウィトゲンシュタインの愛人』 デイヴィッド・マークソン
謎めいた題名の本書は、一人の女性がタイプライターで書き綴る手記、という体裁の小説だ。
何が起きたのかは明かされないが、世界から人間と動物が消滅し、この女性は、唯一の生き残りのようである。
最初は他の生き残りを探し、やがて諦め、何年もただ一人世界中を移動しながら生きてきた彼女が、その孤独な移動生活や、事が起こるより前の生活について、と同時に、ランダムに頭の中に浮かんでくる様々な文化的知識を正誤ない
『一九八四年』 ジョージ・オーウェル
言わずと知れたディストピア小説の金字塔『1984』を、遅ればせながら読んだ。
特に興味を持つことなく、いつか読もうとも思っていなかったのだが、本屋で何とはなしに手に取った新訳版の文面に興味をそそられて、そのまま購入した。
無骨で理屈くさい小説だとなんとなく思い込んでいたが、想像以上に小説として面白かった。
無骨と言うより情緒的で、ロマンチックですらあった。
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ユーラシア、オセアニア