『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』 風野春樹
表紙は一人の青年の写真。神経質な感じはあるが、頭の良さそうなしっかりした顔である。
この青年がなぜにして「誰にも愛されなかった」とまで言い切られているのか。気になって読んでみた。
私と同様、その名前を見てもピンとこない方がほとんどではないだろうか。
島田清次郎は、大正8年(1919年)に発表した小説『地上』で一躍文学界のカリスマになるも、その傲岸不遜な言動から文壇で疎まれ、数々のスキャンダルを起こした挙句、精神に不調をきたして精神病院に収容されたという、波乱の生涯を送った作