マガジンのカバー画像

カフェ開業小説 『凡人のカフェ開業』

11
この小説はフィクションです。 でてくる人名・店名・団体は架空のものです。 ただ仕事上の体験をもとに作成していますので カフェを開業する際のリアルを感じでいただければな、と思いま…
運営しているクリエイター

#カフェ開業

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前2-①

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前2-①

前記事はこちら

2015/12/10 Thu 14:20 

『搬入された厨房機器の動作確認OKです

製氷機、冷蔵庫、温水器等問題なく作動しています

もし香山さんが動作確認して不備不調があれば連絡してください

それと』

店舗デザイン設計と施行を
担当してくれた『海城堂』の『十和田幹彦』
は事務報告の後に

『オープニングレセプション、楽しみにしてますよ』

そう付け加えてお店を後にしてい

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑧

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑧

前記事はこちら

『鳥飼 真知子』の後ろの通路は
すぐに左に曲がっていて
店内を伺うことはできない

真っ白なフロアと鉄製の扉から
どんなに突飛な内装なのかと
期待半分、警戒半分で鳥飼に案内される紗季を
壁以外は全てウッドテイストで統一された空間が出迎える

厨房に面した6名座れるカウンターも
背を伸ばせばさわれそうな高さの天井も
テーブルソファーでさえクッション部分以外は木製である
よく見ると使

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑦

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑦

前記事はこちら

2015/7/2 Thu. pm9:40 

方南町交差点を環七通りを南へ
神田川を渡ってすぐの路地を入ると
竹林が壁代わりの5階建てのマンションがある。
竹の伸びたら5階建てのマンションでも
外から見えなくなりそうだが
竹が2m以上下から生えているため
竹の壁の向こうにワインレッドの壁に
大きな屋根がついた建影が見ることができる。
地域の住民から『竹館(たけやかた)』
と呼ばれ

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑥

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑥

前記事はこちら

2015/6/18 Thu. pm7:00

高円寺で紗季が『山下文七』と出会い
Cafe064で『樺山城平』がカフェラテをいれていた頃
文京区千駄木の『鮨 岸佐和』の
木目がきいたカウンターに2人の男が座っていた。

2人の間には
長野の地酒『松乃尾』がたっぷりと入った
冷やのガラスのとっくりが一本におちょこが2つ。

互いのちょこに酒を注ぎあい
小さく乾杯したばかりだ。
まだ

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑤

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~開業前1-⑤

前記事はこちら

2015/6/18 Thu. pm7:00

紗季が『宮畑ありす』に『山下文七』を紹介してもらう少し前

cafe064で『樺山城平』はエスプレッソマシンの前にいた。

ホルダーに挽いた粉を丁寧に馴らしいれてボタンを押すと
蒸気を合図にしてエスプレッソが下のカップへ注がれる。

同時にミルクをスチーマーで温める

コォォォォォォ・・・・ブクブクククク・・

音が低くなったところで

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-4

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-4

開業前①-4前記事はこちら

紗季が物件をだそうと考えていた場所

代々木上原、中目黒、そして高円寺

の3か所。

それぞれの駅から5分くらいで考えていた。

理由は新宿か渋谷から
それほど時間がかからないことと。
そして駅からそれほど離れていないこと。
それなりに土地勘があること。

第一希望は新宿からでも渋谷からでも
すぐいける代々木上原だったのだが
飲食店物件サイトを調べてみる

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-3

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-3

前記事はこちら

開業前①-32015/6/12 Fri

申請していた杉並区商工会議所の
中小企業資金融資の創業支援融資制度を通して
東京信用保証協会の審査が通ったと連絡がきた。

信用保証協会とは
融資を受けたいけど
保証人や担保がいない人や企業の保証人になることで
金融機関から融資を受けることを可能にする公的機関である。
各地にある商工会議所と連携していることが多い

つまりあくまで東京信用

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-2

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-2

前記事はこちら

開業前①-2『てらみやサロン』は現在会社勤めの20代を中心とした
パラレルキャリアや独立起業を目的としたオンラインサロンだ。
この手のサロンにしては珍しく主催が2人いる。

1人は25歳の働く男女をターゲットにしたWEBマガジン
『After25』のCEO兼編集長の『寺林瑠衣』

2012年に大手WEBマガジン『GORIATE』に勤めていたころに
内部企画で『After25』を立

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-1

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ 開業前①-1

前記事はこちら

開業前①-12015/3/27 Fri

『紗季さんがここに来るのも今日が最後なんですねー』

コーヒーサーバーからカップに直接注ぎながら『加賀 彩』は話し出す

『あれ?あたしコーヒーお替りなんて言ってないけど』

『餞別ですよ、餞別。あー寂しいー』

麻布十番4番出口を出て商店街抜けていき
『きみちゃん像』先の十字路を左に曲がって1分ほど
淡いグレーのビルの4階に
紗季が4年

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ プロローグ

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ プロローグ

プロローグ前編はこちら

プロローグ 後編『Wi-Fiさん』と名付けたのは
SAKIcafeのアルバイト『徳山菜美恵』
紗季はナミちゃんと呼んでいる。

『Wi-Fiさん』はお店に来るといつもPCを開くのだが
Wi-Fiの感度がSAKIcafeの入り口近くだといいらしく
入り口横の棚にお店の景観を壊さないように
そっと携帯型Wi-Fiルーターをおくのだ

まだ来店して初めのころは
『ここにWi-

もっとみる
凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ プロローグ

凡人のカフェ開業 ~天才のカフェ経営を真似てはいけない~ プロローグ

プロローグ 前編2018年10月22日 14:38

『2回お店を潰したみたい』

コンクリートがむき出しの店舗『だった』空間の前で女性が呟いた

名前は香山紗季
今でこそ殺風景なこの場所にあった『SAKIcafe』の店主兼オーナーだった

高円寺駅北口をでるとゴイステの『佳代』歌詞にもでてくることで有名な『純情商店街』が見える。
その純情商店街のアーチをくぐり賑やかな通りを抜けて
路地をいく

もっとみる