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散文

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#ひとりごと

傷心と秋の光

傷心と秋の光

秋は光が和らぐ。空気も和らぐ。

心の痛みが和らぐか…というと、そんなことはない。むしろ秋は悲しみが増す。

でも、つらいときには悲しげな曲が聞きたくなるように、わたしの心には秋の寂しさがしっくりくるみたい。秋は心の世界に少し近い。

むかし、ある人が「秋は空白の期間だね」とわたしに言った。そのときは意味がよくわからなかったけど、今はわかる。わかるけど、言葉にならない。言葉にならない空白そのものが

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かっこ悪くていいからかっこつけない

かっこ悪くていいからかっこつけない

休日のいちばんの楽しみは朝食だあ。平日の朝はごはんを味噌汁やお茶漬けの素でチャーッとかき込んで終わりだけど、休日はラジオを聞いたり映画を見たりしながら、前日に買っておいた美味しいパンを食べる。

今日はレーズンとくるみ、紅芋と鳴門金時のブレッド。昨日の残りのシチュー。

で、わたしには先延ばし癖があるので、休日の朝はやりたいことややらなければいけないことを紙に箇条書きにしておくことが多い。

猫の

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愛はいつも

愛はいつも

恋や夢に破れても

愛に破れることはない

愛はいつも叶うもの

わたしが信じているかぎり

決して裏切られはしない

愛はただ

独りでにほほ笑むものだから

わたしからあなたを憎むことは

永遠になく

わたしからあなたを失うことも

永遠にない

そう思うとこわくなかった

愛することも 孤独な日々も

ほほ笑んでいればこわくなかった

孤独な天使

2012年5月7日に、ぼくは自殺しました。そして目が覚めたら、ぼくは天使になっていたのです。いま、ぼくの背中には翼が生え、指の先まで内側から美しく光り輝いています。どうやらここは天国のようです。青空があり、心地のよい風があり、透明な太陽の輝きに満ち満ちています。朝があり、夜があり、もちろん美しい夕暮れもあります。ここにはみんながいます。両親や兄弟、友人や、大好きだったペットたち、あるいは、目も当て

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真実の嘘

真実の嘘

一日に一度、なぜか決まって入浴中に、かならず思い出す言葉があります。

それは小池一夫さんの著書「人生の結論」に書かれてあった、「死ぬまで吐き通した嘘は、ある意味真実であると思いました」という言葉。

どういう場面で語られたものなのかというと、小池さんの友人のひとりに、皆から「粋な通人」と呼ばれる男性がいたのだそうです。彼は骨董や葉巻を嗜み、お酒に詳しく食通で、家には古書が集められていたり、チェロ

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映画「ガタカ」の感想をちょっと真面目に書いてみる

映画「ガタカ」の感想をちょっと真面目に書いてみる

先日、夢から目が覚める瞬間に「ガタカ」という声が頭の中ではっきりと聞こえた。そういえば、そんなタイトルの映画があったような気がする。ということで、その日の午後にさっそく観てみることにした。

ざっくりとあらすじ。

遺伝子操作により優れた才能を持って生まれた「適正者」と、自然妊娠によって生まれた「不適正者」に分けられた世界。不適正者として誕生したビンセントは、生まれながらに大きなハンデを負いながら

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わたしよりもたくさんの

わたしよりもたくさんの

月に二度、精神科病院に行く。今年の夏で通い始めて十年になるけれど、病院にいると、世の中にはじつにいろいろな人がいるものだと深く考え込んでしまうことがある。

たとえば、いつも同じ時間に同じ場所で目を瞑ってぴょんぴょんと飛び跳ねているおじいさんがいる。きっとおじいさんにとってそれは一種の大切な儀式なんだろうな。一生に一度の願いをこめるみたいにぎゅっと目を閉じて、それはもう一心に飛び跳ねている。そのお

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幽霊

幽霊

こんな姿になってやっと気づいた

むなしさは

愛されることじゃなく

愛することで消えるのだと

✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

ためしに絵を描いてみました。詩は筆を洗っているときにふと浮かんできたものです。

どんな事情があって幽霊になったかはわたしにもわかりませんが、所在なさげで悲しそうな後ろ姿になりました。幽霊にも夢と居場所があるといいなと思います。

関係ないですが、色々

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