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我が家にとうとう電気がつきました

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この度全盲夫婦の暮らす我が家に新しい家族が加わりましたので、合理的配慮として電気をつけることにいたしました。 同時に我が子との成長の記録もつけることにいたしました。 ごゆるりとお… もっと読む
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記事一覧

ひなちゃんの言葉の引き出し

 ひなちゃんの言葉の引き出しが少しずつ増えてきた。
これまでは、泣き方やタイミングでなんとなく伝えたいことを想像し、当たったり外れたりする中で手探りで通じ合ってきたという感触だったが、ひなちゃんの言葉が少しずつ増え、これまでとは比べ物にならないぐらい意思疎通ができるようになってきた。
 我々にとって言葉のコミュニケーションは最も重要だ。特に、目で追っているものや指差しているものが何かわからない我々

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「ほんまいろいろあったんじゃけー!」広島への全盲子連れ旅!1日目(後編)

 宮島に着くとたくさんの観光客に紛れ、シカが蠢いていた。読み通りひなちゃんは通りすがるシカに、
「にゃんにゃーん。」
と呼びかけ手を振り、笑顔を振りまきいわゆる「ファンサ(ファンサービス)」を送っていた。
シカは「にゃんにゃん」でもなければ、ひなちゃんのファンでもないはずだが。
ひなちゃんは今、ネコに限らずシカも含め、人間以外の生き物を「にゃんにゃん」と呼ぶことにしているようだ。
 宮島に着くと、

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「ほんまいろいろあったんじゃけー!」広島への全盲子連れ旅!1日目(前編)

広島旅行一日目は、三人で新幹線に乗り込むところから始まった。
 車内は週末とあって混雑していた。新神戸に差し掛かるまでに、ひなちゃんは持ち駒の一つ「クッキー」を食べつくし、ぐずり始めていた。どうにか岡山まではねばったが、ひなちゃんお気に入りの木の車を用いた「おもちゃ作戦」も通用しなくなった。
私はひなちゃんをだっこひもに入れ、新幹線のデッキに立つことにした。人通りはあるがひなちゃんの泣き声も大きな

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ひなちゃんの保育園生活

 ひなちゃんの保育園生活が始まってから早くも3週間が過ぎた。最初の1週間は、登園時別れ際に泣いていたが、2週目からはずっと笑顔で手を振ってくれている。
保育園の先生からも、順調に園にも慣れてきているようですとのお墨付きをもらった。
きっと保育園がひなちゃんにとって「楽しい場所」になってきたのだろう。嬉しい限りである。
ひなちゃんのみならず我々も、子供を保育園に通わせるという生活に慣れてきた。
 ひ

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備えあれば憂いなし?広島への全盲子連れ旅 準備編2

 全盲子連れ旅の準備二つ目は持ち物の用意だ。
 私たちの持ち物には必須アイテムが三つある。
 一つ目はジップロックだ。私たちは旅行の荷物を、大きなリュック一つにまとめている。泊りがけかつ三人分荷物ともなれば、もっとバッグを増やしたいところだが、私たちは多くの荷物を持ち運べないのだ。
 まず10キロを超えたひなちゃんの抱っこ担当に一人人員が割かれるため、全員分の荷物運びは残りの一人に委ねられることに

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ひなちゃん保育園初日!

 この4月からひなちゃんの保育園が始まった。
ひなちゃんが生まれてから1年と6ケ月。これまでのひなちゃんの人生の大半の時間、ママかパパのどちらかは必ず傍にいた。ママのほうが圧倒的に一緒にいる時間は長い、と書いておかないと後から怒られそうだが、二人が同時にひなちゃんの傍を離れた時間をトータルしても、2日に満たないのではないだろうか。
それぐらい一緒にいた。家にいる時も外出している時も。
 これからは

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備えあれば憂いなし?広島への全盲子連れ旅  準備編1

 全盲でも子連れでも行きたいのが旅行だ。
 ということで私たち3人で広島旅行を決行した。
 今回は旅行の準備の1つ旅程作りについて書き残しておきたい。
 広島を選んだ理由は、中学生の時私を担任してくださった恩師と会えることになったからだ。
 当時先生は、熱心で授業も面白かったが、私は厳しいことをよく言われていた。その時は私も今以上にあほで、無駄にエネルギーもあったため、
(負けてなるものか!)

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私たちの保育園準備

○○保育園 園長先生

拝啓  桜の便りが次々聞かれるようになりました。
私たち家族も春の暖かな陽気の中で、4月からの保育園生活を楽しみにしている今日この頃です。
(中略)
 先日の事前説明会では大変お世話になりました。
資料が読めない私たちのために代読や代筆をしていただいたり、子供が遊んでいる状況を言葉で説明していただいたりと、入園前の緊張がほぐれ、私たちまで楽しみになりました。
 さて、4月

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言葉じゃなくたっていい

 私たち特に全盲の視覚障碍者にとって言葉は重要なコミュニケーション手段だ。
 これまで私自身、正直寡黙な人とはどう関わればよいか悩んできたし、言葉こそ正義だと言わんばかりに大切にしてきた。しかし、ひなちゃんが生まれそんな自分自身の価値観も少し変わった。
 なにしろ非言語コミュニケーションの中で生きる者の最たる例が赤ちゃんであり、言葉が全然通じないからだ。顔の表情やしぐさからこちらが読み取らなければ

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もし目が見えたら何を見たいか

 先日家族3人でデパートに出かけた。現在神戸の阪急百貨店で、全国のバウムクーヘンが集まる博覧会が行われているらしいという情報を妻が仕入れてきて、それに行ってみようという話になったのだ。
 視覚障害のある我々だけでデパート内を歩くのは難しいため、目的が決まっている時はいつもスタッフの方の案内をお願いしている。インフォメーションで申し出ると、行きたいお店まで案内してくれるのだ。
阪急百貨店はどこもとて

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食べムラの脅威

 「食べむら」というのは、多くの赤ちゃんが成長の中で通過儀礼的に差し掛かるフェーズなのかもしれないが、我々親にとってはハードなメンタルトレーニングでしかないということに最近気づいた。
 ひなちゃんも1歳になり、出てくるものは何でも気持ちよくぱくぱく食べてくれていた期間を卒業し、
「まさか食いしん坊のうちのひなちゃんがね…」
と予想すらしていなかった、あの「食べむら気」に突入してしまった。
 ひなち

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家族で外を歩くために

 いよいよひなちゃんが外を歩けるようになった。家の中ではだいぶ前から走り回っていたのだが、靴を履いて公園を歩き回るようになったと思ったらもうあっという間だ。
 初めての外出は家から近所のスーパーまで歩いたらしい。らしい、というのも僕が出張中の出来事で、残念ながらそれに立ち会えなかったからだ。電話越しにそれを聞いたときはびっくりしたものだ。
その時はヘルパーさんと3人で外出したそうだが、これからずっ

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ひなちゃんの四方山話 『趣味あれこれ』

 ひなちゃん:
 ひなちゃんです。私もだいぶ成長し、2足歩行で歩き回れるようになりました。
 去年の今頃なんてようやく首が座ったというところで、ハイローチェアに寝転がり手足をばたばたしているだけでした。1年で劇的に変化したんじゃないかと自分では思っています。
 ただ、なにかとストレスの多い現代社会です。生き抜くためにはやはり自分でストレスを解消できるような趣味的なものをいくつか持っておいたほうがい

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自分の子供がいつでもかわいいわけがない

 年が明けて間もなく、我が家は突然ピンチに見舞われた。
 正月三が日を僕の神戸の実家でゆっくり過ごし、大阪に戻ってきてそろそろ本格的にエンジンをかけていくか…と思っていた矢先の出来事だった。
 異変は僕の倦怠感から始まった。余談だが、我が家に風邪などを持ち込むのはだいたい僕の役目だ。一昨年の我が家のコロナ騒動もそうだった。えらい迷惑な話である。
一方昨年は家族全員大きな体調不良もなく過ごせたとちょ

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