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エッセイ

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#世界史

ヘルシンキの図書館で1939年に貸し出された本が返却されたそうです。

 ヘルシンキ中央図書館という公共の図書館で、1939年に貸し出されたコナン・ドイル「亡命者」のフィンランド版が先月に返却されたそうです。

 1939年12月の返却期限を80年以上超過しているとのこと。
 最初は、正直「世界の珍ニュース」的な話題と思っていたんですが、この本が返却されなかったのは1939年11月にソ連がフィンランドに侵攻したからではないかと書かれており、途端に歴史に翻弄される人々の

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邪魔してごめん

 上の子がアニメ「ヘタリア」を見ていました。で、口を出したくなっちゃうじゃないですか。例えばドイツがアメリカ軍に潜入して、苦労してアメリカ人らしく振舞っている、なんてシーンを観ちゃうと「ドイツ軍のアルデンヌ攻勢いわゆる「バルジの戦い」では、実際にドイツ兵がアメリカ軍の軍服を着て潜入して後方を攪乱しようとしたんだ。これに対抗するためにアメリカ軍では、アメリカ人にはわかるけど英語を勉強した外国人には分

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古代ローマのタコ焼き器

古代ローマのタコ焼き器

 先日、色々な方の博物館について書いたnoteを見て回っておりますと、記事の下に出てくる「こちらもおすすめ」欄で、妙な物が目に留まりました。

 これはどう見ても・・・。詳しく知りたくて本文を読みました。一昨年に九州国立博物館で行われたという「ポンペイ展」の素晴らしいレビューで、大変面白く読ませていただいたのですが、ヘッダー画像の展示物についての言及は無し。
 そこで恐る恐る「古代ローマ タコ焼き

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シマウマを家畜化する試み

シマウマを家畜化する試み

 前回、ウマの家畜化に関する記事を書きました。ナショジオに載った記事を絡めて、コンパクトにまとめることができた反面、大ネタの割にボリュームが不足かとも思える出来でした。

 前回の記事はこちら。

 例えば同じ題材を扱ったnoteでも、こちらの記事などはかなりの大ボリュームです。

 さてその記事をまとめている途中、ふと思い出したのは手元にある書籍にシマウマの家畜化についても書かれていたはず、とい

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牡牛跳び・ポルトガル式闘牛・牛追い祭り

牡牛跳び・ポルトガル式闘牛・牛追い祭り

 ご注意・この記事には記事に関連する動画が埋め込まれています。直接牛を傷つけるシーンはありませんが、闘牛の動画ではありますので、ご了承の上ご覧ください。

 以前、ミノア文明についてまとめていた時のこと、参考にした本の中に「牡牛跳び」の画像についての説明がありました。牡牛跳びとはミノア文明の遺跡で絵画や彫刻に描かれるスポーツまたは見世物または神事で、その名の通りジャンプして牛を飛び越しすもの。その

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ケチャップの源流は中国の調味料「ケチアプ」!・・・、え?民明書房?

 ご注意、この記事は漫画「魁‼男塾」を知らない方には、全く意味不明かもしれません。

 先日、いつも楽しませていただいている歴ログさんの過去記事を遡って読んでいたところ、気になる記述がありました。「ケチャップの歴史」という記事の中に、ケチャップの名前は福建語の「ケチアプ」に由来するとあったのです。この「ケチャップ」→「ケチアプ」の語感(時系列的には矢印が逆ですが)がどうにも「男塾」っぽく感じてしま

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羊のなる木(スキタイの羊)

 スキタイの羊をご存じでしょうか?スキタイは古代の遊牧民族ですが、スキタイの羊とは直接には関係ありません。タタールの羊という別名があることからも、正確さにこだわった名称ではないことがわかります。日本で外国から来た物品に、原産地が中国でなくてもとりあえず「唐」という言葉をつけていたのと同じ感じなのでしょう。要は自分たちの知る世界・文明圏の外側のエキゾチックな事象であることを示しているわけです。

 

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古代ギリシア 女性だけのオリンピック

 たった今知ってビックリしたこと。古代ギリシアで女性だけの競技大会があった。

 古代オリンピックと言えば、女人禁制、男だけで行われる体育競技会。女性は観戦すら許されないわけで。オリンピアで行われた所謂古代オリンピック以外に各地で行われた競技会も同じようなものだと思っていたので、大変驚いた。
 そういうものあると知って、慌てて検索しただけなので、まともな参考文献があるわけではない。Wikipedi

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世界史を彩る宝物 聖イシュトヴァーンの王冠

世界史を彩る宝物 聖イシュトヴァーンの王冠

 聖イシュトヴァーンの王冠は歴代のハンガリー王が戴冠式に使用していた王冠。戴冠式にのみ使用され、普段は使用されないとのことである。
 聖イシュトヴァーンとはハンガリーの初代国王イシュトヴァーン1世のことで、ハンガリーをキリスト教化した功績で聖人とされている。王冠はこのイシュトヴァーン1世の時代、またはもっと前からハンガリーに伝わっている宝物だ。
 この王冠の一番上には十字架が少し斜めに取り付けられ

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倭寇と海禁

別のブログに書いた記事の転載です。

「中国の歴史を知るための60章」という本を読んだ。この程度の本を図書館の貸し出し期限までに読みきれないとは、読書能力の衰えと時間の足りなさに絶望的な気分になる。が、途中で長年の疑問に対する答えと、新たな疑問が出てきたので纏めてみる。

明代の海禁政策というのが、昔からよくわからなかった。
江戸時代の鎖国政策(最近では所謂をつけないと、歴史好きに叩かれそうだけど

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