「流行っているものは読まない」と意地をはってきた、ひねくれ者(偏食もち)が、本を読み、世界を広げて行く過程の記録もろもろ。
他にも、読書や本に関するエッセイ・コラムを集めています
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2019年6月の記事一覧
甘い毒~米沢穂信さん、『儚い羊たちの祝宴』読了(ネタバレなし)
果物を盛り付けた籠か。
それとも、美しい石を連ねたネックレスかブレスレットか。
米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』を、例えるならば後者の方が良いかもしれない。
連作短編という形式を持つのが一つ。
個々の話は独立して読むこともできるが、「バベルの会」という読書会が透明な糸(テグス)となって、緩やかに繋がっている。
「バベルの会」とは、夢想家のお嬢様たちが集まる読書サークルだ。
就活中に読みたかった本
就活中に、あるいは、就活をすると決めた時に、この本に出会えていたならなあ。
そう思えるのは、それが既に過ぎ去った事だからだ。
蛙の腹を切り開いて、内臓の位置を確かめるように、「過去」についてなら、心構えさえちゃんと整っていれば、冷静に向き合って、分析することは不可能ではない。
社会に出て「働く」、ということの意味は何だろう。
お金のためもあるかもしれない。
生きていれば、楽し
気になる本~向田邦子さんのエッセイと、平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』と
向田邦子さんのエッセイ(確か、『父の詫び状』に入っていたと思う)に、こんな話があった。
向田さんが幼い頃、何かの記念で写真を撮ることになった時、横に紙幣が落ちているのに気づいてしまった。
拾いたいが、動いてはいけない。この時代は、すました顔で写っていなければならない。だが、どうしても気になって仕方ない。
結果、大人になってからその写真を見直すと、一応正面は向いているけれど、眼はひたす