co-師@建築士の塾 by archicom

企業内一級建築士資格取得研修の26年間の実績。設計製図試験の与条件に対しそうであるよう…

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企業内一級建築士資格取得研修の26年間の実績。設計製図試験の与条件に対しそうであるように、「やらなければならないこと」、他「やったほうがいいこと」、「どっちでもいいこと」を見極める力が大切……勉強をしていく中で何事においても。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信。

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反射的に出した答えは間違っていることが多い

 フリードリヒ・ニーチェ 曰く、 一段深く考える人は、自分がどんな行動をしどんな判断をしようと、いつも間違っているということを知っている。  ヘッダー画像とした船…

令和5年一級建築士設計製図試験|「図書館」本試験の講評と解答例の閲覧

1.計「自習室」の「計100㎡以上」と「ワークルーム」の「100㎡以上」、違いは「計」にありますが、そもそも「計」が意図することは何なのでしょうか?…… 令和元年「美術館の分館」…

令和5年一級建築士設計製図試験|身近なようで距離を感じる『図書館』という課題名

やはり今年も、ざっくり用途だけを示し、含みを持たせる課題名の公表となりました。 平成24年「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」以来、11年ぶ…

一級建築士設計製図試験における要求室の床面積の不適合……「以上」は「異常」にあらず

令和元年以降、合格発表時に「受験者の答案の解答状況」が公表されてきています。この中にある「設計条件に関する基礎的な不適合」のうち、「要求している主要な室等の床面…

一級建築士設計製図試験|エスキース等のやり方・考え方の違いとAIの学習方法

チャットGPTの勢いにあやかるわけではありませんが、一級建築士設計製図試験対策における学習のあり方を、AIの学習方法に照らして考察してみようと思います。AI用語…

一級建築士学科試験と設計製図試験から見た2方向避難における家具の配置と歩行距離の測り方

合格発表時に公表されている通り、設計製図試験において「法令への重大な不適合」と判断されかねないのが、「直通階段に至る重複区間の長さ」や「避難経路」になりますので…

一級建築士設計製図試験で求める「延焼ライン」記入の変遷と基礎的な不適合

建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の記入を求めるようになったのは、平成30年の本試験からになります。 5年目となる令和4…

令和4年一級建築士設計製図試験|「事務所ビル」本試験の講評と解答例の閲覧

1.設計の自由度を高める出題⎯ 試験内容の見直し時の言葉その①⎯平成21年試験内容の見直し時の公表内容にあった「設計の自由度を高める出題」という言葉に、改めて注目し…

令和4年一級建築士設計製図試験|事務所ビルの計画で、法令への不適合を炙り出す用途地域の指定は?

設計条件における用途地域の指定により、建築できる用途が制限され、道路斜線の勾配や指定建蔽率などが決まってきます。 試験問題とはいえ、建築基準法上、事務所ビルが建…

令和4年一級建築士設計製図試験|掴みどころがないようでありそうな『事務所ビル』

ポンっと単純に用途だけを示す課題名の公表の仕方は、今年が3年目になりますが、今しばらく続くものと予想します。 「今しばらく」というのは、設計課題になり得る用途が…

一級建築士学科試験|免許申請等に係る都道府県経由事務を廃止する建築士法改正

「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第11次地方分権一括法)が令和3年8月26日から施行されています。 第11次…

一級建築士学科試験|公立小学校等を特別特定建築物に追加したバリアフリー法の術

公立小学校等のバリアフリー化を進めるため、「建築物移動等円滑化基準」への適合義務がある「特別特定建築物」に、公立小学校等を追加する「高齢者、障害者等の移動等の円…

一級建築士学科試験|令和3年4月1日施行まで2年がかりの改正建築物省エネ法

令和元年5月17日に公布されていた「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律」のうち、6か月以内施行の部分は令和元年11月16日から施行されて…

一級建築士学科試験|デジタル社会の形成に伴う建築士法改正による押印義務の廃止

デジタル社会の形成に伴い、押印等に係る制度が見直され、建築士法や宅地建物取引業法が改正されています。 改正建築士法については、「デジタル社会の形成を図るための関…

令和3年一級建築士設計製図試験|「集合住宅」本試験の講評と解答例の閲覧

1.予想を裏切っていく問題文の非定型化路線あるはずのものがなくなった!! 平成29年、問題用紙から突然敷地図が消えたときも(敷地図兼下書用紙に図示)、受験者は戸惑い…

令和3年一級建築士設計製図試験|建築基準法が求める採光が試される集合住宅の敷地の周辺条件

今回の課題名公表時の唯一の(注)書きは以下になり、昨年はなかったのに、今年はあるのが「採光」ということになります。 (注)建築基準法令等に適合した建築物の計画(…

反射的に出した答えは間違っていることが多い

反射的に出した答えは間違っていることが多い

 フリードリヒ・ニーチェ 曰く、
一段深く考える人は、自分がどんな行動をしどんな判断をしようと、いつも間違っているということを知っている。

 ヘッダー画像とした船の羅針盤の写真に『一段深く考えてみる』と刻んでいますが、ニーチェの言葉から引用したnote題名となります。
 ここで哲学について深く語ることはできませんが、「そうそう、わかります!」と簡単に共感してしまうのは、いささかニーチェに失礼では

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令和5年一級建築士設計製図試験|「図書館」本試験の講評と解答例の閲覧

令和5年一級建築士設計製図試験|「図書館」本試験の講評と解答例の閲覧


1.計「自習室」の「計100㎡以上」と「ワークルーム」の「100㎡以上」、違いは「計」にありますが、そもそも「計」が意図することは何なのでしょうか?……

令和元年「美術館の分館」では、「創作アトリエ」に専用の「準備室」及び「倉庫」を設けるとし「計150㎡以上」と要求しています。平成29年「小規模なリゾートホテル」でも、「大浴場」について、男性用、女性用として、それぞれ下足箱、脱衣室(洗面コーナ

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令和5年一級建築士設計製図試験|身近なようで距離を感じる『図書館』という課題名

令和5年一級建築士設計製図試験|身近なようで距離を感じる『図書館』という課題名


やはり今年も、ざっくり用途だけを示し、含みを持たせる課題名の公表となりました。

平成24年「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」以来、11年ぶりの図書館の出題です。
平成元年以降の35年間を見てみますと、他に、平成4年「アトリウムと小ホールをもつ地域図書館」と平成9年「緑豊かな吹抜け空間のある地域図書館」があり、今年が4回目の「図書館」ということになります。
ちなみに、令和元年

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一級建築士設計製図試験における要求室の床面積の不適合……「以上」は「異常」にあらず

一級建築士設計製図試験における要求室の床面積の不適合……「以上」は「異常」にあらず

令和元年以降、合格発表時に「受験者の答案の解答状況」が公表されてきています。この中にある「設計条件に関する基礎的な不適合」のうち、「要求している主要な室等の床面積の不適合」に着目してみようと思います。

「不適合」という以上、採点する際に「適合」と判断するための基準があるはずですので、標準解答例からそれを探ってみます。ただし、標準解答例は全てが模範的であるという前提のものではないと思われますので、

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一級建築士設計製図試験|エスキース等のやり方・考え方の違いとAIの学習方法

一級建築士設計製図試験|エスキース等のやり方・考え方の違いとAIの学習方法

チャットGPTの勢いにあやかるわけではありませんが、一級建築士設計製図試験対策における学習のあり方を、AIの学習方法に照らして考察してみようと思います。AI用語の用法の的確性については、多少ご容赦下さい。

1.AIの教師あり学習と教師なし学習エスキース等の「やり方」(問題と解答方法)を覚えていくことはAIの「教師あり学習」に、エスキース等における「考え方」を確立していくことは「教師なし学習」に、

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一級建築士学科試験と設計製図試験から見た2方向避難における家具の配置と歩行距離の測り方

一級建築士学科試験と設計製図試験から見た2方向避難における家具の配置と歩行距離の測り方

合格発表時に公表されている通り、設計製図試験において「法令への重大な不適合」と判断されかねないのが、「直通階段に至る重複区間の長さ」や「避難経路」になりますので、歩行距離に関する考え方をよく理解しておくことは重要です。
勿論、令和3年に出題されていますので、学科試験においてもです。

まず、令和3年一級建築士学科試験での出題になりますが、以下の記述を「最も不適当なもの」としています。

次に、「見

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一級建築士設計製図試験で求める「延焼ライン」記入の変遷と基礎的な不適合

一級建築士設計製図試験で求める「延焼ライン」記入の変遷と基礎的な不適合

建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の記入を求めるようになったのは、平成30年の本試験からになります。

5年目となる令和4年、「延焼ライン」の記入に対する記載内容を、言葉を濁すことなく改めてきましたので、与条件で求めてきたことの変遷を整理しておきます。

また、延焼ラインが未記入であれば、明らかに与条件に反することになりますので、採点上、どう扱われるのか考察

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令和4年一級建築士設計製図試験|「事務所ビル」本試験の講評と解答例の閲覧

令和4年一級建築士設計製図試験|「事務所ビル」本試験の講評と解答例の閲覧

1.設計の自由度を高める出題⎯ 試験内容の見直し時の言葉その①⎯平成21年試験内容の見直し時の公表内容にあった「設計の自由度を高める出題」という言葉に、改めて注目してみます。昨年は例外になりますが、平成23年以降、構造種別は全て「自由」として出題されてきています。「自由」とは言いつつ、無柱空間が求められた平成22年の標準解答例①の構造種別が「鉄筋コンクリート造(一部プレストレストコンクリート梁)」

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令和4年一級建築士設計製図試験|事務所ビルの計画で、法令への不適合を炙り出す用途地域の指定は?

令和4年一級建築士設計製図試験|事務所ビルの計画で、法令への不適合を炙り出す用途地域の指定は?

設計条件における用途地域の指定により、建築できる用途が制限され、道路斜線の勾配や指定建蔽率などが決まってきます。
試験問題とはいえ、建築基準法上、事務所ビルが建築できない用途地域を指定してくることはありえないはずです。(仮にあったとしたら、計画すること自体が法第48条への不適合となりますので、白紙の答案のみが正解などということになりかねません。)

第一種住居地域の指定が、平成30年の試験以降、4

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令和4年一級建築士設計製図試験|掴みどころがないようでありそうな『事務所ビル』

令和4年一級建築士設計製図試験|掴みどころがないようでありそうな『事務所ビル』

ポンっと単純に用途だけを示す課題名の公表の仕方は、今年が3年目になりますが、今しばらく続くものと予想します。
「今しばらく」というのは、設計課題になり得る用途が無限にあるわけではないので、今の用途だけを示す路線が続けられる限りはという意味で使っています。

平成21年『貸事務所ビル(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸スペースを計画する。 )』は、公表時、階数こそ不明でしたが、要求図書

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一級建築士学科試験|免許申請等に係る都道府県経由事務を廃止する建築士法改正

一級建築士学科試験|免許申請等に係る都道府県経由事務を廃止する建築士法改正

「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第11次地方分権一括法)が令和3年8月26日から施行されています。

第11次一括法により建築士法が改められ、一級建築士の免許申請等に係る都道府県経由事務が廃止されました。学科試験においては、この改正内容は令和4年からの適用となります。

1.旧法第10条の3を削除した建築士法の改正により、下記の規定(都道府

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一級建築士学科試験|公立小学校等を特別特定建築物に追加したバリアフリー法の術

一級建築士学科試験|公立小学校等を特別特定建築物に追加したバリアフリー法の術

公立小学校等のバリアフリー化を進めるため、「建築物移動等円滑化基準」への適合義務がある「特別特定建築物」に、公立小学校等を追加する「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」が、令和2年10月2日に交付されていました。

これが令和3年4月1日より施行されており、令和4年試験からの適用となりますので、以下に、まとめておきます。

余談になりますが、バリアフリー法

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一級建築士学科試験|令和3年4月1日施行まで2年がかりの改正建築物省エネ法

一級建築士学科試験|令和3年4月1日施行まで2年がかりの改正建築物省エネ法

令和元年5月17日に公布されていた「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律」のうち、6か月以内施行の部分は令和元年11月16日から施行されていました。
残りの2年以内施行の部分が令和3年4月1日から施行されましたので、一通り出揃ったところでの令和4年試験からの適用となります。
以下に、一連の内容を整理しておきます。

1.特定建築物についての基準適合義務改正前は非住宅部分

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一級建築士学科試験|デジタル社会の形成に伴う建築士法改正による押印義務の廃止

一級建築士学科試験|デジタル社会の形成に伴う建築士法改正による押印義務の廃止

デジタル社会の形成に伴い、押印等に係る制度が見直され、建築士法や宅地建物取引業法が改正されています。
改正建築士法については、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」に伴って令和3年9月1日からの施行となっています。

1.押印義務の廃止①建築士法における押印義務の廃止

法第20条第1項
一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、設計を行つた場合においては、その設計図書に一級建

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令和3年一級建築士設計製図試験|「集合住宅」本試験の講評と解答例の閲覧

令和3年一級建築士設計製図試験|「集合住宅」本試験の講評と解答例の閲覧

1.予想を裏切っていく問題文の非定型化路線あるはずのものがなくなった!!
平成29年、問題用紙から突然敷地図が消えたときも(敷地図兼下書用紙に図示)、受験者は戸惑いを覚えたと思います。
今回は、問題用紙の「2.建築物」から「床面積の合計」が消えています!!
旧試験最後となる平成20年は上限値のみで例外になりますが、平成になってからの「床面積の合計」は、下限値と上限値がずっと示されてきていました。

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令和3年一級建築士設計製図試験|建築基準法が求める採光が試される集合住宅の敷地の周辺条件

令和3年一級建築士設計製図試験|建築基準法が求める採光が試される集合住宅の敷地の周辺条件

今回の課題名公表時の唯一の(注)書きは以下になり、昨年はなかったのに、今年はあるのが「採光」ということになります。

(注)建築基準法令等に適合した建築物の計画(採光、建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)とする。

1.窓の採光に有効な部分の面積住宅の居室の場合、窓の採光に有効な部分の面積を、居室の床面積に対し1/7以上確保して、建築基準法第28条第1項に適

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