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建築基準法等についての改正の考え方や解説など
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一級建築士学科試験|免許申請等に係る都道府県経由事務を廃止する建築士法改正

一級建築士学科試験|免許申請等に係る都道府県経由事務を廃止する建築士法改正

「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第11次地方分権一括法)が令和3年8月26日から施行されています。

第11次一括法により建築士法が改められ、一級建築士の免許申請等に係る都道府県経由事務が廃止されました。学科試験においては、この改正内容は令和4年からの適用となります。

1.旧法第10条の3を削除した建築士法の改正により、下記の規定(都道府

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一級建築士学科試験|公立小学校等を特別特定建築物に追加したバリアフリー法の術

一級建築士学科試験|公立小学校等を特別特定建築物に追加したバリアフリー法の術

公立小学校等のバリアフリー化を進めるため、「建築物移動等円滑化基準」への適合義務がある「特別特定建築物」に、公立小学校等を追加する「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」が、令和2年10月2日に交付されていました。

これが令和3年4月1日より施行されており、令和4年試験からの適用となりますので、以下に、まとめておきます。

余談になりますが、バリアフリー法

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一級建築士学科試験|令和3年4月1日施行まで2年がかりの改正建築物省エネ法

一級建築士学科試験|令和3年4月1日施行まで2年がかりの改正建築物省エネ法

令和元年5月17日に公布されていた「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律」のうち、6か月以内施行の部分は令和元年11月16日から施行されていました。
残りの2年以内施行の部分が令和3年4月1日から施行されましたので、一通り出揃ったところでの令和4年試験からの適用となります。
以下に、一連の内容を整理しておきます。

1.特定建築物についての基準適合義務改正前は非住宅部分

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一級建築士学科試験|デジタル社会の形成に伴う建築士法改正による押印義務の廃止

一級建築士学科試験|デジタル社会の形成に伴う建築士法改正による押印義務の廃止

デジタル社会の形成に伴い、押印等に係る制度が見直され、建築士法や宅地建物取引業法が改正されています。
改正建築士法については、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」に伴って令和3年9月1日からの施行となっています。

1.押印義務の廃止①建築士法における押印義務の廃止

法第20条第1項
一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、設計を行つた場合においては、その設計図書に一級建

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一級建築士学科試験|改正建築基準法第53条と第61条の延焼防止についての相関関係を辿ってみる

一級建築士学科試験|改正建築基準法第53条と第61条の延焼防止についての相関関係を辿ってみる

改正建築基準法第53条「建蔽率」と第61条「防火地域及び準防火地域内の建築物」の相関関係を辿るために、ひとまず準耐火建築物のことは置いといて、耐火建築物に絞ってみていきます。

1.建蔽率の制限における耐火建築物等法第53条第3項第一号イにおいて、「耐火建築物等」を「耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物」と定義しています。

ここで法の委任先となるのが令第

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一級建築士学科試験|通常の出題と異なる法規の解説文のような問題文の記述の仕方

一級建築士学科試験|通常の出題と異なる法規の解説文のような問題文の記述の仕方

令和2年一級建築士学科試験から適用されるようになった改正建築基準法に基づき、早速、令和2年の本試験で出題された問題のうち、特異といえる問題文の記述の仕方について考察してみます。

1.まず法第61条の改正について旧法第61条においては、防火地域内の建築物に対し、その規模に応じて、「耐火建築物としなければならない」、「耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない」などと構造方法を制限していました。

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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令に新設の区画避難安全検証法

一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令に新設の区画避難安全検証法

令和2年4⽉1⽇施⾏の改正建築基準法施⾏令--令和3年の学科試験から適⽤される法令--のうち、令第128条の6についての内容になります。

従来からある「階避難安全検証法」と「全館避難安全検証法」に加え、建築物の区画部分に対して適用する「区画避難安全検証法」が新設されました。

1.建築物の「区画部分」<令第128条の6第1項> 
居室その他の建築物の部分で、準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第

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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における無窓居室の取り扱い

一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における無窓居室の取り扱い

令和2年4⽉1⽇施⾏の改正建築基準法施⾏令--令和3年の学科試験から適⽤される法令--のうち、令第111条についての内容になります。

1.無窓居室としての取り扱い<令第111条第1項>
法第35条の3(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室(避難階又は避難階の直上階若しくは

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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令において異種用途区画を不要とする要件

一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令において異種用途区画を不要とする要件

令和2年4⽉1⽇施⾏の改正建築基準法施⾏令--令和3年の学科試験から適⽤される法令--のうち、令第112条第18項についての内容になります。

1.異種用途区画が不要建築基準法施行令第112条第18項の改正により、以下の通り、「ただし書き」が加えられたことで、令和2年国土交通省告示第250号で定める基準に該当する場合は、異種用途区画--建築物の一部が「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」に

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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令に新設の「空間部分」による面積区画

一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令に新設の「空間部分」による面積区画

令和2年4月1日施行の改正建築基準法施行令--令和3年の学科試験から適用される法令--のうち、新設された令第112条第3項についての内容になります。

1.空間部分による面積区画、そして竪穴区画<令第112条第3項>
主要構造部を耐火構造とした建築物の2以上の部分が当該建築物の吹抜きとなっている部分その他の一定の規模以上の空間が確保されている部分(以下この項において「空間部分」という。)に接する場

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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における内装制限の適用除外要件とその出題

一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における内装制限の適用除外要件とその出題

令和2年4月1日施行の改正建築基準法施行令のうち、令第128条の5第7項の「内装制限」の適用除外の要件とその出題のされ方について、まとめておきます。令和3年の学科試験から適用される法令になります。

1.令第128条の5第7項の改正内容<改正前>
前各項の規定は、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のもの及び第126条の3の規定に適合する排煙設備を設けた建

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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における2以上の直通階段の設置基準

一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における2以上の直通階段の設置基準

令和2年4月1日施行の改正建築基準法施行令のうち、令第121条の「2以上の直通階段を設ける場合」について、まとめておきます。令和3年の学科試験から適用される法令になります。

1.2以上の直通階段の従来からの設置基準令第121条
第1項
 第四号
 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供す

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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における「敷地内の通路」の幅員の合理化

一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における「敷地内の通路」の幅員の合理化

令和2年4月1日施行の改正建築基準法施行令のうち、令第128条の「敷地内の避難上必要な通路」について、まとめておきます。令和3年の学科試験から適用される法令になります。

1.令第128条の改正<改正前の令第128条>
敷地内には、第123条第2項の屋外に設ける避難階段及び第125条第1項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m以上の通路を設けなければならない。
<改正後の令第

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一級建築士学科試験と設計製図試験|バリアフリー法上の要求と多機能トイレのあり方の見直し

一級建築士学科試験と設計製図試験|バリアフリー法上の要求と多機能トイレのあり方の見直し

<見出し画像>出典:高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(平成29年3月 国土交通省)

1.バリアフリー法高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令における「建築物移動等円滑化基準」のうち、第14条が便所についての規定になり、以下の通りとなっています。

(便所)
第14条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する便所を設ける場合には、その

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