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アメリカン・ポップス・クロニクル Extra Edition British Pop #04

アラン・クラークは、1942年4月5日、イギリス・ランカシャー州サルフォードに生まれました。グラハム・ナッシュは、1942年2月2日、イギリス・ランカシャー州ブラックプールに生まれました。2人は幼なじみで、若い頃マンチェスターでセミプロとしてデュオを結成して活動していて、トゥー・ティーンズ、レヴィンズ、ガイトーンズ、フォートーンズ、リッキー・アンド・デーン・ヤングなどと名乗っていました。

そこに、1942年2月3日、イギリス・ランカシャー州バーンリー生まれのエリック・ヘイドック、そしてヴィック・スティール、さらにはドン・ラスボーンが加わり、1962年12月、ホリーズの原形が出来上がりました。

1963年1月、ホリーズはリバプールのキャバーン・クラブに出演し、そこでビートルズの最初のセッションのプロデュースに関わっていたパーロフォン・レコードのアシスタント・プロデューサー、ロン・リチャーズの目に留まり、オーデションを受ける事を勧められました。

その際、スティールはプロのミュージシャンになる事を望まず、グループを離れました。その代わりに、リッキー・ショウ・アンド・ザ・ドルフィンズで活動していたトニー・ヒックス(1945年12月16日、イギリス・ランカシャー州ネルソン生まれ)が加わりました。

アラン・クラーク(リード・ヴォーカル、リズム・ギター)、グラハム・ナッシュ(ヴォーカル、リズム・ギター)、エリック・ヘイドック(ベース)、ドン・ラスボーン(ドラムス)、トニー・ヒックス(リード・ギター、ヴォーカル)、これがホリーズのメンバーとなり、パーロフォン・レコードと契約して、デビュー・シングルはコースターズのカバー曲で、"(Ain't That) Just Like Me"/"Serchin'"は、英国シングル・チャートで25位を記録しました。

63年暮れまで、ファースト・アルバムのレコーディングを行い、64年初頭にデビューアルバム『Stay with The Hollies』をリリース、全英2位のヒット作になりました。丁度その頃、ドラマーのラスボーンはロード・マネージャーとなり、ボビー・エリオット(1942年12月8日、イギリス、ランカシャー州バーンリー生まれ)が後任となりました。

バンドはイギリス全土で優れたライブ・パフォーマンスを行い、彼らの最初の2枚のアルバムには、彼らのライブ・アクトの大部分が収録され、両アルバムともイギリスのチャートに長く居座るようになっていました。

シングルでは、ドリス・トロイのカバー曲"Just One Look"が全英2位、初のオリジナル・シングルの"Here I Go Again"は全英4位と、ヒットを連発して、既に彼らのトレードマークである高揚するハーモニーが聴かれる楽曲で、クラーク、ナッシュ、ヒックスの歌声は、ポピュラー音楽界で最も特徴的なサウンドを作り上げていました。

キャリアが進むにつれ、クラーク、ヒックス、ナッシュのトリオは強力なソングライター・チームに成長しいき、当初はチェスター・マンとL・ランズフォードのペンネーム使い、自分たちのシングルB面のほとんどを書いていました。

65年のサード・アルバム『Hollies』では、彼らの作品の収録も増えて、人口過剰をテーマにした"Too Many People"では、彼らの才能が存分に発揮されていました。

シングルでは、65年の"I'm Alive"で初の全英1位を獲得し、数週間のうちにグラハム・グールドマン作の高揚感あふれるシンプルな"Look Through Any Window"がそれに続き、全英4位とヒットが続きました。その年のクリスマス・シーズンには、ジョージ・ハリソン作の"If I Needed Someone"をリリースしましたが、20位止まりで失速しましたが、66年の初頭には"I Can't Let Go"が全英2位と巻き返し、この曲は高鳴るハーモニーと並外れた力強いギター・ワークを組み合わせた、彼らの最高のレコーディングのひとつになりました。

66年4月、メンバーチェンジがあり、ベーシストのエリック・ヘイドックに代わり、ドルフィンズ時代にヒックスと同僚だったバーニー・カルバート(1942年9月16日、イギリス、ランカシャー州ネルソン生まれ)が加入しました。

グラハム・グールドマン作の"Bus Stop"が全英5位、全米5位、エキゾチックな"Stop Stop Stop"は全英2位に輝き、全米は7位に、ポップな"On A Carousel"が全英4位、全米は11位、"Carrie-Anne"は全英3位、全米9位と、すべてイギリスのトップ5ヒットとなり、アメリカのビルボードチャートの主要トップ10ヒットにも輝きました。

1966年のアルバム『For Certain Because』では全曲クラーク、ナッシュ、ヒックスのトリオによる楽曲制作を行い、ペンネームを使いませんでした。またすでに、このアルバムでプログレッシブな雰囲気を漂わせていたために「フラワー・パワー」の流行に乗るのは比較的早かったといえます。次の67年のアルバム『Evolution』では、アルバムのために書き下ろされた曲で構成されていて、シングル・カットの無い作品になりました。

同じ年リリースのアルバム『Butterfly』では、効果音を多用し、オーケストラの導入など、サージェント・ペパーズに影響を受けた作風で、意欲的な作品でしたが、イギリスでもアメリカでもチャート入りを果たすことができませんでした。

このアルバムは、クラーク、ナッシュ、ヒックスというそれまで結束していたチームから、2つの異なるタイプの曲が生まれたことを示すものでありました。一方はクラークの影響を受けた曲"Charley And Fred"、もう一方は"Butterfly"のような明らかにナッシュの作曲によるものでした。ナッシュはより野心的な路線をとって、ブラスとストリングスを使った想像力に富んだ曲"King Midas In Reverse"で完璧に浮き彫りにされましたが、全英18位、全米51位と残念な結果になりました。

67年、アルバム『Hollies Sing Dylan』の企画中に、ナッシュはクロスビー・スティルス & ナッシュへの移籍を発表しました。ナッシュは以前からグループの仲間とは距離を置き、アメリカ西海岸の文化、ライフスタイル、音楽に没頭していました。

ナッシュの後任には、エスコーツのテリー・シルヴェスター(1947年1月8日、イギリス・リバプール生まれ)が選ばれました。クラークは20年来の友人の脱退に打ちのめされていましたが、ホリーズの続投を決意して、信頼できる『Hollies Sing Hollies』と、全英トップ5のヒット曲"Sorry Suzanne"(#03)や大成功を収めた"He Ain't Heavy, He's My Brother"(#03)など7曲のヒットを出した後、クラークはソロ活動のために脱退することを決意しました。

ヒックスはグループの存続に努め、クラークは何度か復帰し、出入りしましたが、変わらずグループを抜けずにいたのはヒックスでした。

ホリーズが1964年から67年にかけて録音した7枚のアルバムは、実に素晴らしい質の高いポップ・ミュージックでした。彼らの巧みに作られた高揚感のあるハーモニーの曲は、60年代のポップ・シーンから生まれた最高の音楽のひとつを代表している事に間違いありません。

(2022/07/31)

Extra Edition British Pop #01 (2022/07/04)
Extra Edition British Pop #02 (2022/07/11)
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ch.7

Sunshine Pop (2022/05/05)
Genius Producer #01 (2022/05/09)
Blue Eyed Soul (2022/05/16)
Genius Producer #02 (2022/05/24)
Songwriters Series #05 (2022/06/07)
Genius Producer #03 (2022/06/16)

ch.6

1.Songwriters Series #01 (2022/03/19)
2.Songwriters Series #02 (2022/03/26)
3.Songwriters Series #03 (2022/03/31)
4.Songwriters Series #04 (2022/04/05)
5.A&M Records (2022/04/11)
6.Folk Rock 1965-69 (2022/04/17)

ch.5

1.The Boy I Love (2022/03/03)
2.Flip and Nitty (2022/03/06)
3.Tedesco and Pitman (2022/03/08)
4.Twilight Time (2022/03/10)
5.This Could Be The Night (2022/03/12)
6.1964年のNo.1ヒットソング (2022/03/15)

ch.4

1.ビートにしびれて (2022/02/13)
2.Power Blues & Sophisticated Soul (2022/02/18)
3.I'll Go Crazy (2022/02/20)
4.Do You Wanna Go With Me (2022/02/23)
5.I Got Lucky (2022/02/25)
6.The Lovin' Touch (2022/02/28)

ch.3

1.サーフビート・ゴーズ・オン (2022/01/29)
2.A Sunday Kind of Love (2022/02/01)
3.夜明け前の月光 (2022/02/03)
4.West Coast R&B (2022/02/05)
5.くよくよしないぜ (2022/02/06)
6.誰にも奪えぬこの想い (2022/02/10)

ch.2

1.シビレさせたのは誰 (2022/01/14)
2.ブロンクス・スタイル (2022/01/15)
3.ツイストが2度輝けば (2022/01/21)
4.太陽を探せ (2022/01/22)
5.1961年のNo.1 R&Bソング (2022/01/25)
6.Romancing the '60s (2022/01/27)

ch.1

1.1959年のNo.1ヒットソング (2021/12/31)
2,1960年のNo.1ヒットソング (2021/12/31)
3.1960年のヒットソング (2021/12/31)
4.インストゥルメンタル・ヒット (2022/01/04)
5.60'Sポップスの夜明け (2022/01/05)
6.R&B、ソウルミュージックの躍進 (2022/01/07)

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