アメリカン・ポップス・クロニクル 1960年代編 ch.2 (6)
Romancing the '60s
<Daddy Rollin' Stone / Otis Blackwell>
時代は随分遡り、1953年のニューヨーク。オーティス・ブラックウェルの初期シングル曲です。彼はRCA~Jay Dee Recordsと契約し、数枚シングルを残しましたが、1955年頃からは作曲家に専念して活動します。
1950年代初期のチャック・ウィルスやラリー・ダーネルなどのR&Bシンガーが好みで、ソングライティングにもかなり影響を受けていました。1956年、友人のエディ・クーリーと共作した"Fever"はリトル・ウィリー・ジョンが歌い、R&B1位、全米27位のヒットとなり、最初の成功を手にしました。
エルヴィス・プレスリーに書いた"Don't Be Cruel"は、"Hound Dog"のB面として同年7月にリリース。両面ともにポップ、R&B、カントリーの3部門制覇という大記録を打ち立てました。
この「フィーバー」と同じ頃にレコーディングされ、発売された曲に"You're The Apple Of My Eyes"という曲がありました。オーティス・ブラックウェルが作曲・プロデュースを担当したこのアーティストは、ニュージャージーのThe Four Loversです。リードヴォーカルはフランキー・ヴァリ、後にThe Four Seasonsとなるグループです。
フランキー・ヴァリはニュージャージー州ニューアークの生まれで、7歳の時、母と観た若い頃のフランク・シナトラに憧れ、歌手を目指すようになりました。彼の歌手としてのキャリアのスタートは、1951年、地元のクラブで演奏していたThe Variety Trio(ニッキー・デヴィート、トミー・デヴィート、ニック・マチオチ)にゲスト・ヴォーカリストとして出演したことでした。この後、彼はトミー・デヴィートと行動を共にし、いくつかのバンドで演奏活動を行い、1953年にフランキー・ヴァリは、デビュー・シングルとなる"My Mother's Eyes"をフランキー・ヴァレイ名義でリリースしました。
1956年にフランキー・ヴァリとトミー・デヴィートのバンドはRCAのオーデションを受け、フォー・ラバーズとしてデビューし、先程の"You're The Apple On My Eye"が全米62位のヒットとなりました。フォー・ラバーズとしては7枚のシングルと1枚のアルバムを残し、エド・サリヴァン・ショーにも出演しましたが、デビュー曲を上回る成績は残せませんでした。
しかし、1958年に彼らは、フィラデルフィアのスワン・レコードで名を挙げていたプロデューサーのボブ・クリューと出会い、フォー・ラバーズは3年間のアーティスト契約を結びました。メンバーにも入替があり、ベースのニック・マッシ、アレンジャーのチャーリー・カレロ、そして優れたソングライターであるボブ・ゴーディオが加わり、演奏活動も活発になり、いよいよ60年代に向けての次なるステップを迎えようとしていました。
1960年、The Four LoversはThe Four Seasonsに生まれ変わり、ボブ・クリューが新しく設立したBob Crewe Productionと契約しました。翌61年、ゴーン・レコードからフォー・シーズンズとしてのデビュー・シングル"Spanish Lace"/"Bermuda"がリリースされましたが、ビルボードHot100にチャートされませんでした。ボブ・クリューの仕事のサポートをするという、裏方仕事がまた続くことになりました。
1962年、ボブ・クリューは前作の失敗を繰り返さぬようにと、Vee-Jay Recordsと新しく契約し、ボブ・ゴーディオはフランキー・ヴァリの持つバリトンからファルセットまでの驚異的な音域を表現できる曲作りに励みます。そして、その年の夏に新曲"Sherry"がリリースされました。
62年8月25日付け全米チャート65位で初登場すると、22位、11位、そして登場4週目でNo.1を獲得し、5週間首位をキープする大ヒットとなりました。同年10月に続くシングル"Big Girls Don't Cryをリリースすると、こちらも11月17日首位に立つと5週連続、さらに翌63年1月には"Walk Like a Man"をリリースして、3月2日に首位にと、なんと3曲連続全米No.1となる偉業を達成しました。
この後も彼らの勢いは止まらず、"Candy Girl"が3位、"Dawn (Go Away)"も3位、そして"Rag Doll"がまたしても1位と、アメリカにビートルズが登場して、ブリティッシュ・インベイジョンが起こっても、彼らは屈することなくヒットを出し続ける、素晴らしグループに成長していきました。
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