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アメリカン・ポップス・クロニクル 1960年代編 ch.2 (1)

シビレさせたのは誰

1960年代といいましても10年間ある訳ですから、その時その時の流行りや音楽スタイルの変化などで、ヒット曲の傾向やミュージシャンの表現方法も随分変わっていったと思います。60年代は特に激しく変動していた時期ではないでしょうか。

例えば、1950年代のロックンロールの誕生には、エルヴィス・プレスリーの登場という大きな出来事がありました。それでは、1960年代にはアメリカのポピュラー音楽史に残る大きな出来事、エルヴィスの登場に匹敵するようなエポックメイキングな出来事はあったのでしょうか。

お察しの通り、それは1964年のお正月を過ぎた頃、イギリスからやって来た4人組が全米チャートに登場します。63年12月26日、ビートルズのアメリカでの全米デビュー・シングルがキャピトル・レコードから発売されました。"I Want To Hold Your Hand"は1月18日付ビルボードHot100に45位で初登場すると、翌週は3位、そして2月1日には見事1位を獲得しました。米国におけるビートルマニアの始まりでした。

ビートルズ登場以降、多くの英国人ミュージシャンがアメリカの音楽業界に押し寄せてきます。いわゆるブリティッシュ・インヴェイジョンですね。


では、ビートルズ登場以前、アメリカ国民の一般的な英国ポピュラー音楽への認識はどのようなものだったのでしょうか。結論を言ってしまえば、ほぼ関心がない状況、見向きもしない状況だったということです。英国側からみれば、我が国同様、音楽輸入国だったということです。

実際ビートルズは「抱きしめたい」をシングル・リリースする以前に、アメリカではシカゴのヴィージェイ・レコードと契約があり、1963年2月シングル"Please Please Me"を発売しますが、ヒットはしていません。その後、ヴィージェイ・レコードの経営難もあり、発売権はフィラデルフィアのスワン・レコードに移り、9月にシングル"She Loves You"を発売しましたが、こちらも注目を集めることはありませんでした。

11月にビートルズをヘッドライナーとする初の英国ツアーが行われ、巡業各地でのファンの熱狂ぶりがアメリカにも伝わるようになってきて、米TVの3大ネットワークが取材に動くなどあり、ようやくメジャーのキャピトル・レコードが関心を持ち始め、ついに「抱きしめたい」のシングル・リリースとなった訳ですね。

1960年代のアメリカン・ポップスをビートルズの登場を境に、ビートルズ以前、そしてビートルズ以降はブリティッシュ・インヴェイジョン、後半はロック発展の時代と分けて、それぞれの音楽シーンを紹介していきます。

今回からのチャプター2以降しばらくは、ビートルズ以前、1960年から64年のアメリカン・ポップスをみていきたいと思います。

(2022/01/14)

ch.2

ブロンクス・スタイル

ch.1
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