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アメリカン・ポップス・クロニクル 1960年代編 ch.3 (4)

West Coast R&B

西海岸で一番大手のレコード会社といえば、1942年にジョニー・マーサーが設立したキャピトル・レコードですが、戦後になると多くの独立レーベルが誕生してきます。モダン・レコード、アラディン・レコード、ジュークボックス・レコード(後のスペシャルティ)、インペリアル・レコードなどが、ジャズやR&Bを中心に扱い、設立されました。

西海岸のR&B専門レーベルとしては最大手となったモダン・レコードには、ジョニー・オーティスが見出したロビンズがいました。彼らは、リーバー&ストーラーのスパーク・レコードに移り、人気を集めていましたが、56年にはリーバー&ストーラー共々アトランティック・レコードに移籍して、コースターズとなり、NYに拠点を移しました。

モダン・レコードの子会社のフレア・レコードからは、リチャード・ベリーとコーネル・ガンターの2人のリードシンガーがいたフレアーズがいて、リーバー&ストーラーは彼らにも曲を書いていました。全米にランクされたのは61年になってからで、"Foot Stomping Pt. 1"が全米チャート25位、R&Bは20位でした。ソロになったリチャード・ベリーのバックコーラスを務めた女性陣はドリーマーズといいまして、後のブロッサムズのメンバーです。彼女らがスペクター・サウンドで活躍しました。


スペシャルティ・レコードでは、ロイド・プライスが"Lawdy Miss Clawdy"をR&B No.1のビッグヒットにして、兵役後57年には自身のレーベルを作り独立しました。リトル・リチャードは"Tutti Frutti"や"Long Tall Sally"、"Lucille"など、ヒット曲を連発してスペシャルティを支えていましたが、突然の引退。かわってラリー・ウィリアムスが出てきていました。そして、ゴスペル・カルテットの名門ソウル・スターラーズもこちらと契約していました。サム・クックの加入は51年で、56年にゴスペル曲"Wonderful"を下敷きにしたポップ/ソウルの"Lovable"をバンプス・ブラックウェルのプロデュースでリリースしましたが、これがオーナーのアート・ルーペの気に障り、スペシャルティから新興のキーン・レコードに移籍して、”You Send Me”がR&B、ポップともに1位を獲得しました。60年RCAに移籍後の活躍はまた機会を改めて。

インペリアル・レコードは、47年にルー・チャッドが創設。プロデューサーのデイヴ・バーソロミューのルートで、ニューオーリンズR&Bに力を入れて、ファッツ・ドミノがその代表格でした。デビュー曲"The Fat Man"はR&Bチャートで2位の大ヒット。デイヴ・バーソロミューのもう一つの功績としては、ニューオーリンズのセッション・ミュージシャンをLAに紹介したことです。サックス奏者のアルヴィン・タイラーやドラマーのアール・パーマらは欠かせない存在でした。

55年、パット・ブーンが"Ain't That A Shame"をカバーして全米No.1にした事により、オリジナルのドミノ・バージョンもポップ・チャートに初登場し、10位まで上がりました。ファッツ・ドミノはこれ以降、ニューオーリンズの顔としてポップ・チャートに定着して、インペリアル在籍時の63年までに"I'm Walkin'", "Whole Lotta Loving", "You Win Again" など35枚のシングル曲をTop 40入りさせるという活躍ぶりでした。

今回は、おさらいの意味も含めて、50年代~60年代初頭の西海岸のR&B事情を簡単にまとめてみました。次回はインペリアル・レコードからもう少し。

(2022/02/05)

ch.3

サーフビート・ゴーズ・オン (2022/01/29)
A Sunday Kind of Love (2022/02/01)
夜明け前の月光 (2022/02/03)

くよくよしないぜ (2022/02/06)

ch.2

1.シビレさせたのは誰 (2022/01/14)
2.ブロンクス・スタイル (2022/01/15)
3.ツイストが2度輝けば (2022/01/21)
4.太陽を探せ (2022/01/22)
5.1961年のNo.1 R&Bソング (2022/01/25)
6.Romancing the '60s (2022/01/27)

ch.1

1.1959年のNo.1ヒットソング (2021/12/31)
2,1960年のNo.1ヒットソング (2021/12/31)
3.1960年のヒットソング (2021/12/31)
4.インストゥルメンタル・ヒット (2022/01/04)
5.60'Sポップスの夜明け (2022/01/05)
6.R&B、ソウルミュージックの躍進 (2022/01/07)

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