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アメリカン・ポップス・クロニクル Folk Rock 1965-69

The Byrds

The Byrdsは1964年にロサンゼルスで結成され、ファースト・シングルはボブ・ディラン作曲の "Mr. Tambourine Man"、フォークロックのスタイルを確立して、全米1位を獲得しました。"Turn! Turn! Turn!"は59年ピート・シーガーが発表した曲で、この曲も全米1位と、彼らのイメージを決定づけました。リッケンバッカーの12弦ギターがトレードマークのロジャー・マッギンを中心に、ジーン・クラーク、デヴィッド・クロスビー、クリス・ヒルマン、マイケル・クラークがオリジナル・メンバー。サイケデリック・ムーブメントを経て、メンバーも大幅に入れ替わり、グラム・パーソンズを迎えたアルバム『Sweetheart Of The Rodeo』では、カントリーロックの先駆者として彼らの名を高めました。

The Turtles

65年、サーフロックバンドのCrossfiresが発展して、Tyrtles(ビートルズやバーズに倣って、綴りを変えたもの)、結局Turtlesに落ち着きました。彼らもデビューシングルはディランのカバーで、"It Ain't Me Babe"が全米10位を記録しています。P. F. スローン&スティーヴ・バリが書いた3枚目のシングル"You Baby"は全米20位のヒット曲。最大のヒットは、アラン・ゴードン/ゲイリー・ボナー作で、67年リリースの"Happy Together"で、全米1位に輝いて、彼らの代表曲になりました。

Lovin' Spoonful

The Lovin' Spoonfulは、ジョン・セバスチャンを中心に結成され、65年のデビューシングル"Do You Believe in Magic"は全米9位を記録したヒット曲でした。翌66年リリースの"Daydream"は全米2位、"Summer in the City"は全米1位とヒット曲が続きました。フォークロックに止まらず、グッドタイムミュージック、サンシャインポップを上手く取り入れたグループでした。フォークロック・グループという観点では、彼らの前身グループのザ・マグワンプスが重要でしょう。メンバーは、ジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキー、後にカリフォルニアでママス&パパスを結成するキャス・エリオットとデニー・ドハーティがいて、64年にアルバムを1枚録音していました。

The Cyrkle

The Cyrkleは、トム・ドーズ、ドン・ダンネマン、マーティー・フリードの3人がロンデルズという名で活動していた頃、ブライアン・エプスタインに見いだされ、マネージメントされたグループです。66年夏には、ビートルズの全米ツアーのオープニング・アクトを務めました。彼らの最大のヒット曲は、66年の"Red Rubber Ball"で、プロデュースはジョン・サイモン、ポール・サイモンとブルース・ウッドリーが作曲して、全米2位まで上がりました。続く"Turn-Down Day"は全米16位と好調で、ポップ/ロック・バンドとして、優しく繊細なハーモニーが特徴のグループです。

Simon & Garfunkel 

ポール・サイモンの名前がでてきたので、彼らにも触れておかなくてはいけません。ニューヨークはフォレストヒルズ出身の2人は、幼い頃に知り合い、早いうちから作曲活動を始めていました。エヴァリー・ブラザースを目指してデュオのトム&ジェリーを結成して、57年15歳の頃に"Hey Schoolgirl"をリリースしました。この曲は全米49位で、この後シングルを2枚出しましたが、成功には至らず、学業に戻りました。63年、2人は再びデュオを組み、コロンビア・レコードのスタッフ・プロデューサー、トム・ウィルソンに認められ、『Wednesday Morning, 3 A.M.』でアルバム・デビューしました。彼らがブレイクしたのは、これから2年後、アルバム収録の"The Sound of Silence"にエレクトリック・ギターとドラムがオーバーダビングされ、シングル・リリース、全米1位を獲得して、一躍人気のフォークロック・デュオになりました。

Barry McGuire

60年代半ばの西海岸、カリフォルニア・サウンドはどう変化していったのでしょうか。ブルース&テリーの"Summer Means Fun" そのままに、青い空と海で楽しい夏を満喫しよう、といった内容の楽曲が主流だったのが、当時のアメリカの世相、ベトナム戦争への介入などが若者達にも影響を与え、それまでサーフ・ミュージックを作っていたP. F. スローンも、バリー・マクガイアに"Eve Of Destruction"という曲を書きました。邦題の「明日なき世界」破滅の前夜が表すように、暗い時代を反映した歌詞の楽曲が、全米1位を獲得していました。この曲は、ポップスの歌詞の重要性を再認識させて、メッセージ・ロックのきっかけとなった曲でした。

Mamas & Papas

Scott McKenzie

バリー・マクガイアのバックコーラスとして活動を始めたのが、ママス&パパスです。元々彼らはニューヨークでフォークソングを歌うグループを作っていて、そんな彼らが西海岸の暖かい土地カリフォルニアに思いを馳せて作ったのが、大ヒットした"California Dreamin'"「夢のカリフォルニア」でした。そういう意味で、彼らは当時生まれつつあったウェストコースト・ロックの開拓者であり、花飾りを身につけて西海岸を目指したヒッピーたちの先駆者でもあったのです。

1967年の6月にはカリフォルニアで「音楽と愛と平和」を掲げたモンタレー・ポップ・フェスティバルが開催され、ヒッピーを中心におよそ20万人が参加しました。ママス&パパスのジョン・フィリップスが書いて、スコット・マッケンジーが歌った"San Francisco"「花のサンフランシスコ」は、このイベントのテーマソングでした。フラワー・ムーブメントは最盛期を迎え、この年の夏は“サマー・オブ・ラヴ”と呼ばれました。

Jefferson Airplane

ここまでは、どちらかと言えば優しい音楽が中心だったフォークロック・サウンドですが、時代とともに徐々に荒っぽい曲調になっていき、特にサンフランシスコではバンドが多く出てきまして、シスコ・サウンドとも呼ばれていましたが、その代表的バンドがこのジェファーソン・エアプレインでした。サイケデリック・ロックのエアプレインからジェファーソン・スターシップ、スターシップと名前とともにスタイルも変わっていきました。

Moby Grape

ジェファーソン・エアプレインではドラマーだったスキップ・スペンスが、脱退後に加わったグループがモビー・グレープで、彼はここではリード・ヴォーカルと本来のギターを担当していました。この頃になってくると、作られる曲はテレビやラジオのサイズには合わなくなってきて、ライブ向き、コンサート向きの曲になってきて、野外コンサートが段々行われるようになってきて、ジェファーソン・エアプレイン、そしてこのモビー・グレープもモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演していました。

Buffalo Springfield

スティーヴン・スティルス、リッチー・フューレイ、ニール・ヤング、デューイ・マーティン、ブルース・パーマーの5人が1966年にロスアンゼルスで結成したバンドがBuffalo Springfieldでした。ロックンロール、フォークロック、カントリーロック、R&B、西海岸特有のコーラス・ワークを兼ね備えた、ルーツ・ロックを独自の解釈で表現した彼らは、活動期間約2年と短いながらも、類い稀な才能がぶつかり合う緊張感と、そこから生まれる迫力は彼らならではの稀有な作品を残しています。

70年代はすぐそこまで来ています。彼らの活動は、Poco、マナサス、CSN、CSN&Yへと受け継がれていきました。

(2022/04/17)

Songwriters Series #01 (2022/03/19)
Songwriters Series #02 (2022/03/26)
Songwriters Series #03 (2022/03/31)
Songwriters Series #04 (2022/04/05)
A&M Records (2022/04/11)

ch.1

1.1959年のNo.1ヒットソング (2021/12/31)
2,1960年のNo.1ヒットソング (2021/12/31)
3.1960年のヒットソング (2021/12/31)
4.インストゥルメンタル・ヒット (2022/01/04)
5.60'Sポップスの夜明け (2022/01/05)
6.R&B、ソウルミュージックの躍進 (2022/01/07)

ch.2

1.シビレさせたのは誰 (2022/01/14)
2.ブロンクス・スタイル (2022/01/15)
3.ツイストが2度輝けば (2022/01/21)
4.太陽を探せ (2022/01/22)
5.1961年のNo.1 R&Bソング (2022/01/25)
6.Romancing the '60s (2022/01/27)

ch.3

1.サーフビート・ゴーズ・オン (2022/01/29)
2.A Sunday Kind of Love (2022/02/01)
3.夜明け前の月光 (2022/02/03)
4.West Coast R&B (2022/02/05)
5.くよくよしないぜ (2022/02/06)
6.誰にも奪えぬこの想い (2022/02/10)

ch.4

1.ビートにしびれて (2022/02/13)
2.Power Blues & Sophisticated Soul (2022/02/18)
3.I'll Go Crazy (2022/02/20)
4.Do You Wanna Go With Me (2022/02/23)
5.I Got Lucky (2022/02/25)
6.The Lovin' Touch (2022/02/28)

ch.5

1.The Boy I Love (2022/03/03)
2.Flip and Nitty (2022/03/06)
3.Tedesco and Pitman (2022/03/08)
4.Twilight Time (2022/03/10)
5.This Could Be The Night (2022/03/12)
6.1964年のNo.1ヒットソング (2022/03/15)

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