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決定的な存在の不在ーデ・キリコのメタフィジカルな旅
◼︎イタリア広場シリーズ
まずは、一番印象的だったイタリア広場シリーズに注目したいと思います。記載している絵は、すべてデ・キリコ展公式HPからの引用になります。
フィレンツェにある、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂や街並みを見てみると絵本の中にいるような、建物がはりぼてのような印象を受けます。
線形で幾何学的な建物の重なり、その建物の影が織りなす陰影。キリコにもおそらく、背景の空と一体
”サイバーパンク:エッジランナーズ”から考えるー容赦のない存在と余剰
▫️”サイバーパンク:エッジランナーズ”とは
久しぶりにアニメを見たので、”Sonny boy”に続き”サイバーパンク:エッジランナーズ”の感想を書いて見ようと思います。アニメを見終わったら大体、”I Really Want to Stay at Your House”を一週間は無限リピートすることになると思いますが、まだ見たことないよという人もぜひNetflix公式の1時間耐久AMVをご覧くだ
真なるものは全体ではないー”ヒューマンカインド”から考える新たな全体
▫️真なるものは全体である?
今まで「真なるものは全体である」という言葉が好きだった。それはヘーゲルが意図した理解とはおそらく異なっている。
ヘーゲルは「個々人の最高の義務は国家の成員であることである」というように、国家という全体=真なるものという。ここには個々人よりも国家(全体)を優先する思想がある。
個人的に「真なるものは全体である」というヘーゲルの言葉を、人にはさまざまな側面や見え方があり
『君たちはどう生きるか』ーシュールレアリスムから考えるジブリ
◾️シュールレアリスムとの出会い
去年の7月にポーラ美術館にいった際や、今年の1月に国立西洋美術でピカソを見てから、シュールレアリスムが気になっていたため、巌谷國士さんの『シュールレアリスムとは何か』を手に取りました。『シュールレアリスムとは何か』は、「シュールレアリスム」「メルヘン」「ユートピア」の3部構成になっており、特に「シュールレアリスム」の中では、アンドレ・ブルトンの自動記述を中心に、現
よくある歴史と未来の相似形
両手の思考ー自分と他者の分かちがたいつながり
■フランス現代思想
「構造主義」を唱えたことで有名なレヴィ=ストロース、その後「脱構築(デコンストルクシオン)」という考え方を打ち出したジャック・デリダ、「脱領土化」や「リゾーム」など様々な新しい概念を考えだしたドゥルーズとガタリ、「パノプティコン」という新たな支配関係を明らかにしたミシェル・フーコーなどがフランス現代思想のスターたちです。レヴィナスやアーレントもこの系譜に近いのかもしれません。