マガジンのカバー画像

目目、耳耳

168
感想文。
運営しているクリエイター

#音楽

美しき、百“希”夜行(夜天/女王蜂)

今、『先が見える人』と『先が見えない人』は、どちらの方が多いんだろう。

終わりが見えないなんちゃらウイルスに、もしかしたら明日起こるかもしれない震災に。

行きたい場所へ、行けない。

誰かに会いたいのに、会えない。

ピリピリした現実。

あっちを向いても、こっちを向いても、一寸先は闇。

自分のこともそうだけど、自分が好きな人達も。

たとえば、好きなミュージシャンのこと。

僕の大好きなバ

もっとみる
「君の願いはちゃんと叶うよ」(魔法の料理~君から君へ~/BUMP OF CHICKEN)

「君の願いはちゃんと叶うよ」(魔法の料理~君から君へ~/BUMP OF CHICKEN)

大きくなるんだ 伝えたいから
上手に話して 知って欲しいから
何て言えばいい 何もわからない

「頭おかしいんじゃないの?」

何て言えば、

「お前の心が弱いから、そうなるんだろ」

何て言えば、よかったんだ。

子どもは、友達を選べない。小学校に上がる前から、友達にはグループがあった。自分がどれにいるのか、時々変わったけど、ぼくはいつも一番下の人間だった。

他の子に嫌われていた自覚はある。た

もっとみる

。。。(Q/Light Dance/幽栖)

1.Q - 女王蜂(2017年)記憶から迫り上がるものがある。それも、記憶には違いない。けれど、化石になっていたもの。二度と思い出したくないもの。それがなくては、ぼくはぼくにはなれなかったけど。同時に、二度と経験したくないもの。その日の気分、そんなもので叱責されたこと。ぼくがぼくであるだけで、気味悪がられたこと。自分で自分をころそうとしたこと。全て、石になって頭の中を転げ落ちる。あのころ。あのころ

もっとみる
夜を纏う、“寂しさ”と生きる――『小さな灯りと鉛筆で描いた線と』に寄せて

夜を纏う、“寂しさ”と生きる――『小さな灯りと鉛筆で描いた線と』に寄せて

どこへも行けない“寂しさ”がある。それは、剥がそうとしても、振りほどこうとしても、付いて離れない。途方もない諦念と共に、肩の上にのしかかる。呼吸もままならない。“寂しさ”は、別の“寂しさ”を吸い込んで、さらに重くなる。どうしようもない。

膨れた“寂しさ”は、暗闇だ。目が慣れることはない。自分の姿もろくに見えない。恐れを遠ざけるには、目を閉じること。なにも見えない。なにも聞こえない。“寂しさ”は、

もっとみる

6月9日、スタートダッシュ(ヴァリアス・アーティスト)

ロックが好きなのに、ロックがわからないぼくによる、「ロックンロール #とは

始まり、始まり。

1.ROCKSTEADY - ストレイテナーたとえば、ロックは道標。

進むべきか。

留まるべきか。

そんなとき。

Q.ぼくは、どちらを選べばいいんだろう。

A.選べないなら、どちらも選べばいいだろう。

たとえ、道を歪めそうになっても。

そっと、前へ向き直してくれる。

2.Pizza

もっとみる

雨の上に居たいボクのプレイリスト(ヴァリアス・アーティスト)

雨が好き。

でも、嫌い。

眺める分は、いいんだけど。

雨は低気圧なので。

低気圧は、ぼくをいじめてくるので。

折衷案。

見下ろすくらいが、丁度いい。

雨の上から。

1.In Darlington - Doctrine Doctrineぱちぱち、ぱちぱち。

雨音かもしれない。

拍手かもしれない。

祝福されているのか。

煙たがられているのか。

ぼくは、何もわからないので。

もっとみる

生きを擦って、(猿上がりシティーポップ/秋山 黄色)

辛うじて息を吸って吐いている
青酸なんとかだったら終わりって
笑えるね

「息を吸って」と変換しようとしたら、「生きを擦って」とまったく使ったことのないことばになった。

「擦り減りながら生きている」ってこと? PCにまで、そんなことを言われるようになったのか。

「笑えないな」と思いながら、笑っている。

好きが高じて 儚さって知っている
檻の中
俺によく似た奴が笑う

一生なんて言えるほど生き

もっとみる

“知らない”から、知りたい(知らない/古川本舗 feat.若林希望)

街の夜に、君の声と、閉じた窓とレコードの音。
2時を過ぎて
甘い夜と、黒い猫と、想いの色。

――古川本舗『知らない』より引用

2時を過ぎた。

夜の方の。

一人でいるときの、一人の夜。

二人でいるときの、一人の夜。

大抵は、後者です。

つまり、片方は眠っていることになるけど。

もう片方は、眠っていないことになるけど。

朝と夜の狭間に落っこちて、孤独を持て余している。

「一人でいる

もっとみる

想い続けた10年に、(twilight 10th Anniversary Deluxe Edition/haruka nakamura)

twilight
①(日の出前・日没後の)薄明かり;夕方,たそがれどき;微光
③ぼんやりした意識状態

――ジーニアス英和辞典 第4版より引用

何がきっかけだったんだろう。haruka nakamuraを、そして『twilight』を知ったのは。

ただ、Amazonで収録曲を試聴した瞬間、すっかり虜になってしまったことは覚えている。自分が知らなかった音楽、知らなかった世界……。

2010年発

もっとみる

本を読むなら、こんな風に(music for fuzkue/nensow)

“ソレ”は、鼓動から始まる。

本当のところはわからないけど、たぶんそうだと思う。

本を開くとき、

本を聞くとき、

そのとき、何かが生まれるのは、たしかだから。

“ソレ”は、『music for fuzkue』。

『本を読む音』。



本を読むときは、沈黙の中で。

そんな人も、いるかもしれないけど。

ぼくは、できれば音の中にいたい。

音の中にいる方が、安心できるから。

もっとみる

.CALL.あの日の記憶(『.CALLC.』&『.CALLV.』/古川本舗)

2015年9月20日。

東京は新宿FACE。

公演「.CALL.」

ぼくは、その場にいた。

そして、同年12月4日。

ラストライブ「.RESPONSE.」

ぼくは、見届けることができなかったけど。

古川本舗、活動終了。

彼の旅は、終わりを告げた。

語る言葉一つ持たず、君がもし今も、
僕や、僕らの事を忘れてしまおうとしていても。

――『バンドワゴン』より引用

あれから、早5年。

もっとみる

Happy Birthday,Avu Maria(HBD/女王蜂)

Q.本日、12月25日は何の日ですか?

A.クリスマス。すなわち、イエス・キリストの誕生日です。

Q.不正解です。

実際のところ、正確な日付は不明らしい。そして、クリスマスはそもそもキリストの生誕を祝福する日であって、イコール誕生日ではないらしい。

(まあ、日本人でいちいちそんなこと気にしている人は、あまりいないだろう。たぶん。)

何が言いたいかといえば、12月25日はロックバンド・女王

もっとみる

それは、誰にも等しく(Merry Christmas/BUMP OF CHICKEN)

クリスマスには、特別なことがしたくなる。

一人で暮らしていたときは、特にそうだった。

神さまは信じていないから、手を合わせることもないのだけど。(そもそも、イエス・キリストには合掌しないものなんだろうか。)

でも。

ケンタッキーのバーレルが入っているだろう紙袋を抱えている人。

腕からぶら下げたビニール袋から、ラッピングされたプレゼントがのぞいている人。

そんな、通りすがりの人達を見かけ

もっとみる

痛くて、青くて、痛い(拝啓。皆さま/plenty)

久しぶりにplentyを聴いている。

バンドが解散して3年(2017年)、ボーカルの江沼郁弥がソロ活動を始めて2年が経った(2018年)。

そして、1st Album『拝啓。皆さま』がリリースされてからは、10年以上(2009年)。

彼らの存在を知ったとき、ぼくは高校生だった。当時、熱心に購読していた『ROCKIN'ON JAPAN』で、まだ無名だった彼らは、異例と言える扱いで取り上げられて

もっとみる