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「君の願いはちゃんと叶うよ」(魔法の料理~君から君へ~/BUMP OF CHICKEN)

大きくなるんだ 伝えたいから
上手に話して 知って欲しいから
何て言えばいい 何もわからない

「頭おかしいんじゃないの?」


何て言えば、


「お前の心が弱いから、そうなるんだろ」


何て言えば、よかったんだ。


子どもは、友達を選べない。小学校に上がる前から、友達にはグループがあった。自分がどれにいるのか、時々変わったけど、ぼくはいつも一番下の人間だった。


他の子に嫌われていた自覚はある。たとえば、ぼくが嬉しかったことを話しても、何がおかしいのか、よく嘲笑された。今でも、理由はわからない。


悲しかったけど、きっとぼくの方がおかしいんだと思った。変でおかしくてみっともない子。両親に、そう言われてきた。子どもの頃から、大人になっても、20年以上ずっと。それでもぼくは、両親が好きだった。


けれど、大人になって、初めての職場で鬱病になって。ぼくは、両親に罵られて。


おかしいな。あたたかいことばが欲しかったのに。おかしいな。20年以上、いい子でいたはずだったのに。そうか。やっぱり、おかしいのはぼくの方なのか。


その頃のぼくは、だんだん泣けなくなっていた。両親に怒鳴られたときに泣いたら、さらに怒鳴られたから。


ぼくには、「泣いていい」と言ってくれる人がいなかった。

いつか全部わかる ずっと先の事
疑いたいのもわかる 君だからわかる

何度も職場を変えた。どんな場所でも、いい子を演じた。必要ないのに。学習しないぼくは、その度に体を壊した。


もう、しんでもいいんじゃないか。だって、20年以上何も変わらない。でも、しねなかった。しんだように生きながら、月日が過ぎた。


3年前、パートナーに出会った。


しなない理由が、ふいにできた。


仕事を頑張りたくなった。


でも、また体を壊した。


しばらくして、ぼくは働くのを諦めた。


働かなくなって、2年になる。


しなないためだけど、それはそれで苦痛だった。


1年前、近所に古本屋ができて、通うようになった。


それをきっかけに、知人が増えた。


1年後の今、ぼくには友人がいる。


嬉しかったことを話して、話してくれて。泣いても、怒鳴ったりしない。ぼくのことを尊重してくれて、ぼくは友人達を尊敬している。


1年前まで、考えられなかったこと。


ぼくは、もうすぐ29歳になる。


29年生きて、願っていたことが、29年目にやっと叶った。


遅いよ、と思う。


でも、本当に嬉しい。

君の願いはちゃんと叶うよ 大人になった君が言う

子どもの頃は、言えなかったこと。


大人になって、諦めかけたこと。


子どものぼくへ。


君が欲しかったものが、今ここにあるよ。

魔法の料理~君から君へ~ - BUMP OF CHICKEN(2010年)

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