“知らない”から、知りたい(知らない/古川本舗 feat.若林希望)

街の夜に、君の声と、閉じた窓とレコードの音。
2時を過ぎて
甘い夜と、黒い猫と、想いの色。

――古川本舗『知らない』より引用

2時を過ぎた。


夜の方の。


一人でいるときの、一人の夜。


二人でいるときの、一人の夜。


大抵は、後者です。


つまり、片方は眠っていることになるけど。


もう片方は、眠っていないことになるけど。


朝と夜の狭間に落っこちて、孤独を持て余している。


「一人でいるより、二人でいる方が、寂しいんだよ」


誰の言葉だったっけ。


ところで、頭がひどくぼんやりしている。


少しでも、眠ったんだっけ?


ずっと起きているんだっけ?


どっちでもいいか。


今、一人でいることに変わりはない。


一人でいようが、二人でいようが、生涯孤独な生き物が人間です。


そして、抱えている孤独が夜に深まるのも。


そもそも。


まだ夜なのか、もう朝なのか。


わからない。


じゃあ、夜でも朝でもないのか。


結論。


半端な時間に、半端な自分。


何度も訪れた時間へ、ようこそ。


『何度も訪れた』なのに、知らないことばかりだ。


知らない感情が渦巻く時間だ。


それを、知りたいと思う。


朝を恐れているわけじゃない。


夜をさ迷いたいわけじゃない。


寂しいわけじゃ、ない。








もしかしたら、知らない方がいいのかもしれない。


知らないからこそ、この感情は親しいのかもしれない。

「今日に留まれるならそのほうがいいな」って
思うだけなら少しは見逃してもらえるかなぁ。

――古川本舗『知らない』より引用

眠っていないのなら、眠くないんだろう。


もしくは、眠りたくないんだろう。


僕は、どっちなんだろう。


誰か、教えてよ。


教えてくれなくても、いいけれど。


気付けば、人差し指と中指の先を、擦り合わせている。


タバコを吸わない人間の、タバコを吸うフリは滑稽。


でも、時々吸いたくなる。


夜と呼べばいいのか。


朝と呼べばいいのか。


きまりが悪い、こんなときに。


もしも、生まれ変わったら。


タバコを吸ってみようかな、なんて。


わざわざ死ななくてもできることを、考える。


目に見えない煙が、二本の指の間から、立ち上っていく。


この、名前の付けられない時間に。





古川本舗、活動再開。


僕“ら”の夜が、戻ってきた。


おかえり、古川本舗。


おかえり、僕“ら”の夜。


何度だって、迎えるよ。

知らない/古川本舗 feat.若林希望(2021年)

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