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#エッセイ
物語は続く|金銭的自立と金銭的孤立
このエッセイは2022年3月4日開催『月の正夢』で発売されたエッセイ集に掲載されています。
西村亮哉くんから「月の正夢に向けて、大切な人との気づきをテーマにエッセイを書いてほしい」と頼まれた。
彼とは、四年前に『物語は続く』と名付けられた企画で共演して以来、お互いが必要だと感じるその時々で関わり続けている。
彼は、私にとって大切な人で、彼にとっても、私は大切な人だと思う。
今回は、彼との
はやく30歳になりたい
はやく30歳になりたい。
こう言うと、大抵の人は驚き、「女性なら、音楽をするなら、若い方が良くない?」「年齢を重ねるの怖くない?」と、聞く。
何者にもなれないのなら、ずっと子どものままでいたいと思うこともある。
でも、はやく30歳になりたい。
信頼する人に「今も可愛いけど、30歳になったらもっと可愛くなってると思う」と言われたことの、答え合わせをしたい。
忘れないよう、ゾロ目
密やかに、寂しさを糧にする
小さな男の子が、大きいリュックを背負って歩いている姿を見ると、泣きそうになってしまう。
多分、弟と重ねてしまうから。
小学2年生からサッカーを習い始めた弟。
上半身よりも大きいリュックを背負って練習へ向かう姿を、私含め家族で見守っていた。
そんな弟は、高校に入ってサッカーをやめることを決めた。
事情はさておき、やめることを監督へ伝えた日、「本当にやめるってなるとやっぱり、涙が出た」
育てられる私から、育てる私になるまで
幼い私は、母に厳しく育てられた。
食事の仕方、友人との遊び方、目上の人との関わり方、様々なことで怒られた。
決してやんちゃな女の子だったわけではない。
読書が大好きで、一日に食べるお菓子の数やテレビを見る時間を決めて守るような、背の順で一番前になることへ責任感を覚えるような、サンタさんの存在を少しも疑うことのないような、そんな女の子だった。
(母に「サンタさんって親なんだよ」と言われる小