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障碍から無碍へ(電動車椅子でGO!ほか)

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障碍と無碍について考えてきたこと。 電動車椅子ユーザーとなって、見えてきたこと。
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2018年11月の記事一覧

電動車椅子でGO!(19)先人の礎の上に

 障碍者問題総合誌「そよ風のように街に出よう」がこの夏、91号で終刊した。最後まで編集長を務めた河野秀忠さんはそれを見届けるようにして九月初めに七四歳で亡くなった。
 この雑誌が創刊した一九七九年、私はまだ大学生であった。タイトルにも中身にも大きな共感を覚えた。その後教員になった私は養護学級や病院内学級も担任した。そして五三歳の時、心室細動の後遺症で自らが車椅子ユーザーとなった。
 この間に街のバ

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電動車椅子でGO!(18)エントランス

 工ントランスにちょっとした段があるだけで車椅子ユーザーはその店を避ける場合が多い。初めからそこが目的だったのであれば、人の助けを得てでも入るが、どこかでお昼ご飯でも…と探している時なら、エントランスに段のある店はわざわざ選ばない。
 ところが、エントランスに段のある飲食店などは意外に多いのである。殆どの場合は必要というよリもデザインの問題である。だが、そのせいでけっこう多くの客を逃していることに

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電動車椅子でGO!(17)通路の確保

 通路の確保について、立って歩く人間が体を横にして通られるなら十分と考えてもらうと、車椅子に乗っている人間にはとても困ったことになる。
 お店などで通路に商品を並べるとその間を車椅子は通られないので見に行けないし、売上げにもならないことを意識していただけるとありがたい。また書店などで本の入れ替えのためのカートが通路に置きっぱなしだとやはり通られない。
 銀行や郵便局などでも、 宣伝パンフを並べた台

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電動車椅子でGO!(16)案内板があれば

 どんな大自然の奥地でも、遺跡の内部でも、電動車椅子でアクセス可能な遊歩道がなければならないとは、 私は考えてはいない。けれどもほんのちょっとした工夫で車椅子にもアクセス可能ならば、やはり行ってみたい気持ちはあるのだ。
 ある観光地でお土産屋さんに「この道から車椅子で岬まで行けますか」と尋ねた。 「わからない」と言われた。無理なのかな?と思い、別ルー トを選んだ。ところがその途中に階段があった。ほ

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電動車椅子でGO!(15)バイク止め

 遊歩道や公園の入リロに、バイク止めが設置されていることがある。
 バイクが乗リ上げて我が物顔に走り回るのは私も反対である。歩行者は間をすり抜けて簡単に通ることが二できる。
 だが、車椅子にとっては時にこれが大敵。車椅子はU字型の細い道をぐるりと回って通るという設計だ。しかし、そのU字部分が狭かったり、その部分にも棒状の妨害物が立っていたりする。切り返しに高度なテクニックが必要だったり、人の援助が

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電動車椅子でGO!(14)バッテリー充電

 バッテリーの充電は電動車椅子にとって死活問題だ。状況や動き方にもよるので一回の充電で何キロ動けるとか、 何分走れるとかは、パンフレットにも明記していない。
 僕の実感では、駅まで行って電車で出かけて行き先でたとえばじっと映画なんかを見て戻るだけなら十分余る。でもアミュー ズメソトパークや動物園など出かけ先でも動き回るなら家に帰リ着くか心許ない状態になる。
 インジケーターは五つ点灯して満タンだが

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電動車椅子でGO!(13)ユニバーサルデザイン

 建築をユニバーサルデザインにしようとするとき、車椅子を実際に使用している人にしかわからないような点が見落とされていることは多い。
 すべての歩道や店の入り口などの段差を車椅子が上り下りできるようにスムースな坂にしておくのは基本中の基本である。だが、最近つくられた歩道でもできていないことが多々ある。
 ホテルに時々バリアフリールー ムが設けられていることがある。 部屋床とお風呂・トイレに段差がない

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電動車椅子でGO!(12)船 飛行機 鉄道

 「電動車椅子でも締めずに旅行する」がモットーだ。
 今のところお気に入りなのは、 船だ。大きなフェリーは飛行機の乗降口のような通路でフロントのある階にすっと入れる。船内はエレべーターで移動でき、レストランやショーを見に行くにも不便はない。
 飛行機は速いのが取り柄だが、 折りたたんだサイズやバッテリー の種類などかなり細かく事前に届ける必要がある。バッテリーは火災防止のためか特別なボックスに収納

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電動車椅子でGO!(11)障碍という言葉

 今回は車椅子を離れて言葉の問題について述べたい。障害という字だが、障がいと書く人もいるし、言葉にこだわっても仕方ないので障害のままでいいという人もいる。
 しかし、それ以前の問題として、 日本語としてどうなのか。もともと日本語では障礙、または障碍が正しい漢字だった。仏教用語なので呉音で「しょうげ」と読む習わしだった。だが、明治時代に漢音で読むのが流行しはじめ、「しょうがい」と読むようになった。い

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電動車椅子でGO!(10)バリアフリー

 バリアフリー自体をテーマにしたイベントには、なるべく行かないようにしている。なぜなら、そこに障碍者が集まることがバリアフリー ゃないと思うからだ。自分の行きたい所へ行き、そこでバリアを感じずに過ごせたら、それこそがバリアフリーだろう。
 先日は、台湾日本交流会に参加した。以前は会場についてあらかじめ間い合わせることも多かったが、最近は行ってしまえば何とかなると感じるようになった。この日の会場も階

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電動車椅子でGO!(9)エレベーター

 車椅子にとってエレべーターは命だ。駅ではエレべーターで移動できる経路が最低一本は確保されている必要がある。ただ、それだけではあまりにも遠回りになる場合もある。 また地下鉄のエレべーターで地上に出られることで足れりとして、私鉄の方はエレべーターなしで済ませているターミナルもある。そこもとても遠回りになる。バギーや大きいトランクの方も同じではないかと思う。
 ところで、エレべーターを降りるとき、気を

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