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短編_2L入りの宇宙 1/4
先に着いたのは今日も夏生の方だった。土曜日の朝の静かな改札口、夏生は電光掲示板の時計を見上げた。6時50分を過ぎた頃だった。あと少しで集合時間だというのに、ベックスコーヒーの窓際の席に龍の姿は見当たらなかった。今日もいつもと変わらない土曜日になりそうだった。店に入ると、咲さんは相変わらずテキパキと働いていた。
「夏生くん、おはよう! 今日もバイトなの?」
「そうなんです。だいたい毎週イベントがあ
短編_パラソルの下で 1/2
海に繋がる最後の歩道を、真司は少し後ろからついてくる妻の春世とともに渡った。海沿いの国道は相変わらずの混雑で、二人は渋滞にはまって動かない車を尻目に、悠々と歩道を越えて砂浜に向かった。手にはアウトドア用のキャリーカートを曳き、その上にはグリルや炭やクーラーボックスが載っていた。
砂浜に着くと、真司は脇に挟んでいた大きなパラソルを開いた。パラソルの場所が定まると、春世も折りたたみ式の小さな机を開