短編_2L入りの宇宙 1/4
先に着いたのは今日も夏生の方だった。土曜日の朝の静かな改札口、夏生は電光掲示板の時計を見上げた。6時50分を過ぎた頃だった。あと少しで集合時間だというのに、ベックスコーヒーの窓際の席に龍の姿は見当たらなかった。今日もいつもと変わらない土曜日になりそうだった。店に入ると、咲さんは相変わらずテキパキと働いていた。
「夏生くん、おはよう! 今日もバイトなの?」
「そうなんです。だいたい毎週イベントがあるので」
「朝から働くね。龍くんは?」
「あいつは今日も寝坊です」
「まったく」