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揺さぶられ日記

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うれしかったこと、悲しかったこと、怒ったことなどを書きます。
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#読書

言葉の切れ味

言葉の切れ味

これは小説『昨日のカレー、明日のパン』に出てきたセリフ。

このセリフを見て改めて思う。「言葉」を扱う仕事をやってきて、私は呪いを解く言葉をひとつでも他者に提供できたことがあるだろうかと。

同時に、妊娠出産において、たくさんの人からもらったお守りみたいな言葉の数々を思い出した。

呪いを解く言葉いちばん心に残っているのは、編集で携わっているメディアの編集長からいただいた言葉だ。

グループチャッ

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美しい女とはどういう存在か。『あちらにいる鬼』を読んで

美しい女とはどういう存在か。『あちらにいる鬼』を読んで

GW中、見事に梅雨入りしたので朝から晩までずっと本を読んでいた。

読んだのは小説5冊。

知識を得る読書も計画していたけれど、泣いたり笑ったり温かくなったり考え込んだりするうちに、気付けば物語の世界にどっぷりと漬かっていた。(とくに『朝が来る』で嗚咽号泣しすぎて、もはや外出不可能な顔面になったよ)

どれも素晴らしい本ばかりだったのだけれど、なかでも1冊、心が深くえぐられるような衝撃的な小説に

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平成を代表する歌姫は「悲しいことのすべてが、自分と向き合うためのきっかけだった」と言った

平成を代表する歌姫は「悲しいことのすべてが、自分と向き合うためのきっかけだった」と言った

ときどき見かける「新型コロナから学ぶ」とか「新型コロナが気付かせてくれた◯◯」みたいな表現に違和感を感じている。

そういう表現に至るのはなんとなくわかる。わたし自身、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛や「これまで普通にできていたこと」ができなくなったことで人に感謝したり、「普通」のありがたみに気付くことはあったから。

だけどこれは、普段当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなくなったことで

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多様性を学ぶことは、目の前のひとりを知ろうとすること

多様性を学ぶことは、目の前のひとりを知ろうとすること

先日、編集の仕事である失敗をした。
添削し終えたライターさんの原稿を最終チェックに回したところ、編集長より添削漏れの指摘をいただいたのだ。

記事はお酒のおつまみにぴったりな商品の紹介。下記の文章にコメントが入った。

添削漏れ、というより私はこの誤りに気付けなかった。我が家では夫より私の方がお酒が大好きでよく飲むし、新婚時代に飲んでいた私に「既婚者はさっさと帰れ」と言った男友達への不満をブログに

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自分の船の舵を人に握らせるな

自分の船の舵を人に握らせるな

昔、兄のように慕っていた人と手紙のやりとりをしていた時期があった。

遠いところに行ってしまった兄(のような人)に向けて、当時10代だった私が書く内容ときたら、恋愛や友達、仕事のこと。ぜーんぶ自分のことだ。彼のほうがよっぽど過酷な状況にいたのだけれど、当時の私は自分のことで頭がいっぱいで、まいど自分のことを何枚も書いては返事を心待ちにしていた。

そんな小娘の悩みに答えるのも悪くなかったのか、返事

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「共感した」と人は言うけど

「共感した」と人は言うけど

最近、ここ5年くらい。議論をする、だとか、意見を言い合う、ということが、自分の中で”気軽にできるもの”ではなくなった感覚がある。

原因ははっきりしている。SNSだ。特にTwitter。文章が大好きな私にとってTwitterは、本やブログと違って「読むぞ!」という気合い(?)や時間確保の必要がない分、気軽に、だけどいつの間にか長時間注ぎ込んでしまうツールとなっていた。恐ろしくて数えたことはないが、

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自己肯定感を上げるには、珈琲とヨガと私と夫が必要だ

自己肯定感を上げるには、珈琲とヨガと私と夫が必要だ

いつからか、珈琲がただの眠気覚ましではなくなった。心が忙しない日は特に、メインのランチよりも食後の珈琲が楽しみなことがあるほどに。

今は珈琲の香りと、温かさと、口当たりと、そのすべてを感じるひとときそのものが、私にとってなくてはならないものとなっていた。

「人それぞれ、その人にとって大切な時間がある」

そんなことに気づいたのは、ここ数年の話だ。

人よりも流されやすい上に決断が早いわたしは、

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