花手毬

自分の中から出て来る言葉を外に出したくなりました。 いろんな世界観を表現出来れば面白い…

花手毬

自分の中から出て来る言葉を外に出したくなりました。 いろんな世界観を表現出来れば面白いな..

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七夕物語(空想編)

ここは天(あま)の国。 天(あま)の国は、刻む時に重みが無い。 どこまでも優しく指先にシルクが触れるような色無き色が広がる。 音は時を包み込む様な織姫の囁きの歌声と七…

花手毬
1か月前
1

笹舟

生まれて初めて出会う舟は笹舟 小さな指先で織りなす笹舟 幼き心を乗せて旅をする 言葉を紡ぎながら一艘 花びら一枚乗せて一艘 小石をそっと乗せて一艘 蝶々は舞を止め笹…

花手毬
1か月前
1

少年の贈り物(短編小説)

1980年代 バブル経済で傍に湧く日本経済 男女雇用機会均等法が話題となり時代は 大きく雄叫びを挙げていた。 真っ赤な口紅と統一ブームメントのロングヘア の女性が曲線美…

花手毬
1か月前
3

 丸いもの

 生まれて初めて髪を洗った時            お腹に落ちた丸い泡  猫の目に見える色がコロコロ動き          きらきら輝く丸いビー玉  小さく吹いて…

花手毬
1か月前

目に映る全て

「右」...「下」...「う..左?」 「あのね、当て物じゃあ無いですからね。」 最近すっかり検眼に時間がかかる様になった。 無意味な自分の抵抗はプロの眼を誤魔化せな…

花手毬
1か月前

挫折の取説(短編小説)

夏の始まりを待つ頃。 休日の電車の中は夏の予定を語る嬉しそうな 声が溢れている。 楽しい休日の軽やかな気持ちと、バイトに向かう 気の抜けた俺の気持ちを乗せた電車。 …

花手毬
1か月前
6

紫陽花の色に悩んだ日

母の日 お母さんがいる人はお母さんに感謝をする日 お母さんの体温を感じる事が出来ない人は お母さんを感じてみる日 母なる地球。母なる大地。 母の言葉は包まれる不思議…

花手毬
1か月前
3

母さん日記

お気に入りの瓶に水を入れ落としてしまったポトスを挿す。太陽の光が当たり綺麗だ。 瓶を見つめながら大型連休も帰省しなかった息子の事が脳裏に浮かぶ。 もう何回帰って…

花手毬
2か月前
1

子供の日

今日は5月5日。 子供や孫のいる人は子供と共にする日 子供がいない人は偶然に見かける子供を感じる日 子供が苦手な人は子供の日だから出でくる商品を 食べたり見たりする…

花手毬
2か月前
3

老化は進化とする

「ウィーン。」「ガーガーキーン」 白い小さな部屋で鳴り響く音 何度聞いても耳に障る音 「我慢。我慢。 一生自分の歯でご飯を食べる為だ。」 「はーい。終わりました…

花手毬
2か月前
5

朝の音

朝の音は季節によって変わる 朝の音は何かを伝える 朝の音に耳を澄ませる 朝の音は命の音 朝の音に鈴の音が仲間入りする春      新しい生活を始めた命の鈴の音 朝の…

花手毬
2か月前
1

言葉

祖父に見守られながら遊んだ川に自然と足がむいてしまった。 自然と言い訳をしながらも心の奥底では理由が判っている気もする。 ゆっくりと腰を下ろすな否や一羽の白い鳥…

花手毬
2か月前
1

桜の花びら

桜待ち侘びて 桜咲く 桜のカーテンが日本を覆う 桜の下で沢山の笑顔が咲く ポンポンっと音がする様に愛らしく咲く 桜の木に緑の小さな葉飾りを感じる頃 桜の花びらが終わ…

花手毬
3か月前
1

初めての舞台(小さな記憶)

「道路に出たら危ないさかいにな。        出たらあきませんで。」 「う..ん...。はい。」 「大人しい子やな。何や皆と遊ぶの嫌か。」 「いや...。......」 (ま…

花手毬
3か月前
4

 春の待ち方

冷たい風が吹く春の日。 皆が口々に桜を待つ話しをしている。 桜の気持ちはどうであろうかと想い 桜の木の下に行ってみる。 桜に問いたところで返事など無くただ眺める。 …

花手毬
3か月前
2

木蓮の花

春便りが届く頃 少しずつ日暮時が足踏みをしてくれる そんなゆったり時間は心が喜ぶ お目当てのパン屋さんで お目当てのブルーベリーの入ったベーグルを一つだけ買った。 …

花手毬
3か月前
4
七夕物語(空想編)

七夕物語(空想編)

ここは天(あま)の国。

天(あま)の国は、刻む時に重みが無い。
どこまでも優しく指先にシルクが触れるような色無き色が広がる。
音は時を包み込む様な織姫の囁きの歌声と七色の羽根を持つ鳥の囀り....

天(あま)の国は忙しい。
天(あま)にふわりふわりと昇って来る想う恋心。
織姫は想いを受け取り星に変え果ての無い宇宙へ放つ。
人を想う心は輝く星に姿を変え天に広がり輝き照らす光となる。

 「姫様、

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笹舟

笹舟

生まれて初めて出会う舟は笹舟
小さな指先で織りなす笹舟
幼き心を乗せて旅をする

言葉を紡ぎながら一艘
花びら一枚乗せて一艘
小石をそっと乗せて一艘

蝶々は舞を止め笹舟にとまる
蜻は笹舟には乗れまいと側を飛ぶ
アメンボは弾けながら航路を譲る

大きな石の間に出来た小波に乗り
沈まず進む姿を魅せる

小川が陽の光を纏い輝き
豊かな水と緑の香り
幼き心が手をたたき喜ぶ笹舟の旅

少年の贈り物(短編小説)

少年の贈り物(短編小説)

1980年代
バブル経済で傍に湧く日本経済
男女雇用機会均等法が話題となり時代は
大きく雄叫びを挙げていた。
真っ赤な口紅と統一ブームメントのロングヘア
の女性が曲線美を誇らしげに惜しみなく魅せる
時代。世に出す高価な品が着々と準備されていた。

 「おーい、伊達さんこっち来て〜」

期待も違和感も無く淡々と手招きに向かった。

「あのさ、山口さんが体調崩して暫く休暇
          する事に

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 丸いもの

 丸いもの

 生まれて初めて髪を洗った時
           お腹に落ちた丸い泡

 猫の目に見える色がコロコロ動き
         きらきら輝く丸いビー玉

 小さく吹いてもゆっくり吹いても出てくる
     七色の輝きをもつ丸いシャボン玉

 腹もち約束の丸いお餅とお団子

 受け止め合う度に心が通う丸いボール

 時代を照らし続けている丸い豆電球

 仲良く使うと約束した丸い硬貨

 漆黒の夜空に染

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目に映る全て

目に映る全て

「右」...「下」...「う..左?」

「あのね、当て物じゃあ無いですからね。」

最近すっかり検眼に時間がかかる様になった。
無意味な自分の抵抗はプロの眼を誤魔化せない。
それでもついつい正解を求めて目を見開く。

 「はい、力抜いて。上見て、下見て...」

 「良いですね。異常無し。綺麗ですよ。」

この嬉しい瞬間に小さくガッツポーズ。

 「ところで、この前購入したカラーコンタクト

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挫折の取説(短編小説)

挫折の取説(短編小説)

夏の始まりを待つ頃。
休日の電車の中は夏の予定を語る嬉しそうな
声が溢れている。
楽しい休日の軽やかな気持ちと、バイトに向かう
気の抜けた俺の気持ちを乗せた電車。

耳で気配を拾いながら何時もの様に携帯を出す。
ついでにガムを取り出し口に放り込んだ。
携帯の画面に太陽の光が差し込んで見え難い。
自分勝手には調整出来ない車中の日除に目を移した。一瞬、急に車中の風景に時が止まった感覚に
襲われる。

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紫陽花の色に悩んだ日

紫陽花の色に悩んだ日

母の日
お母さんがいる人はお母さんに感謝をする日
お母さんの体温を感じる事が出来ない人は
お母さんを感じてみる日

母なる地球。母なる大地。
母の言葉は包まれる不思議な一文字。

自分にも母が居てる。
数日前から意識は母の日にフォーカスされて
いた。文字に起こしたい気持ちも消えず彷徨った
が書けなかった。

彷徨う心の理由は、自分の誕生と共に発病した
母と自分の絆の真ん中には常に病気があった。

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母さん日記

母さん日記

お気に入りの瓶に水を入れ落としてしまったポトスを挿す。太陽の光が当たり綺麗だ。
瓶を見つめながら大型連休も帰省しなかった息子の事が脳裏に浮かぶ。

もう何回帰って来ないのだろうか...
心に空く極小の穴は早急に塞いでおかないと特大の穴になってしまう。
手当として昔残してくれた優しさを包帯にする。

数年前の巣立つ日の事....

 「何してるの?」
肩から斜め掛けをした鞄から財布をゴソゴソと探して

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子供の日

子供の日

今日は5月5日。

子供や孫のいる人は子供と共にする日
子供がいない人は偶然に見かける子供を感じる日
子供が苦手な人は子供の日だから出でくる商品を
食べたり見たりする日

羊水で泳いだその後に
急に大人になった人などいない
皆、子供の日があったのだ

子供の日をどんな日に仕上げるかも
連休明けの成長になる気がする

仕事に向かう道すがら自転車に乗った親子を
見かけた。
何度も愛らしいお母さんの髪が

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老化は進化とする

老化は進化とする

「ウィーン。」「ガーガーキーン」

白い小さな部屋で鳴り響く音
何度聞いても耳に障る音

「我慢。我慢。
一生自分の歯でご飯を食べる為だ。」

「はーい。終わりましたよ〜。」
「綺麗になりましたね〜。」
繊細な作業を軽快な声かけをしながら
仕上げる尊敬すべき人の声かけでホッとする。

「ありがとうございました。」
「あの...先生に質問をしたいのですが....」

頭の上で大きな風を感じた。先

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朝の音

朝の音

朝の音は季節によって変わる
朝の音は何かを伝える

朝の音に耳を澄ませる
朝の音は命の音

朝の音に鈴の音が仲間入りする春
     新しい生活を始めた命の鈴の音
朝の音が楽しみになる

言葉

言葉

祖父に見守られながら遊んだ川に自然と足がむいてしまった。
自然と言い訳をしながらも心の奥底では理由が判っている気もする。

ゆっくりと腰を下ろすな否や一羽の白い鳥が美しい羽根を広げて舞い降りて来た。
人慣れしているのか余りにも近い距離と目線をしっかりと合わせて来る様子に驚いた。

瞬間に頭へ映るイメージは高級ホテルの優秀なベルマン。
嫌味の無い気高さに荷物を預ける安心感がある

見透かされている。

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桜の花びら

桜の花びら

桜待ち侘びて
桜咲く

桜のカーテンが日本を覆う
桜の下で沢山の笑顔が咲く
ポンポンっと音がする様に愛らしく咲く

桜の木に緑の小さな葉飾りを感じる頃
桜の花びらが終わりを繋ぐ

柔らかな小風に躍る様に舞い
真新しい制服の肩に留まり
ベンチに腰かける人の横に降り
配達荷物を抱え働く人の手に忍び留まり

段数の多い階段を見上げた光景は
階段を上がる事に心が躍る様な
踏む事を躊躇う様な
登りたい気持ち

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初めての舞台(小さな記憶)

初めての舞台(小さな記憶)

「道路に出たら危ないさかいにな。
       出たらあきませんで。」

「う..ん...。はい。」

「大人しい子やな。何や皆と遊ぶの嫌か。」

「いや...。......」
(まさか、意地悪されるとは言えんな...)

京都の昔ながらの日本家屋と長い路地。
着物姿を貫く凛とした祖母と孫である少女
の会話が響く。

「お酒を配達してくれはるから、
     来たら言うてな。 ほなな。」

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 春の待ち方

 春の待ち方

冷たい風が吹く春の日。
皆が口々に桜を待つ話しをしている。

桜の気持ちはどうであろうかと想い
桜の木の下に行ってみる。
桜に問いたところで返事など無くただ眺める。

桜が喜びの音を奏でる様に咲くと命達は喜ぶ。
桜の帯が日本を包む頃には命達の喜びは
満開となる。

全ての壁を超えて与えられる喜びは奇跡の風景。
命達は、喜びに溢れるからこそ咲く姿を待つ。
改めてその奇跡に感謝をする。

立ち去る前に

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木蓮の花

木蓮の花

春便りが届く頃
少しずつ日暮時が足踏みをしてくれる
そんなゆったり時間は心が喜ぶ

お目当てのパン屋さんで
お目当てのブルーベリーの入ったベーグルを一つだけ買った。
そのベーグルを公園で元気に遊ぶ子供達の姿を
見ながら、3口の摘み食いをする事をお昼間に決定していた。

公園に近づくと雨上がりだった事に気が付く。
お昼間は忘れてしまう程の小雨だった。
霧の様な小雨も降ったり止んだりすれば
木々に沢山

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