2021年9月の記事一覧
Postal code(404 Not Found)
「あと三回、遅刻をくり返したら許さないからね」
彼女はずいぶんと譲歩してくれたと思う。あと三回。これは一回目で残りの回数を意識させ、二回目で罪悪感を抱かせる。三回目は許されないことを頭に入れておけば、おそらくまた遅刻するであろうぼくに対する脅しとしては十分に役割を果たした。
「わかってるから大丈夫。そもそもぼくは、困らせたくて遅刻しているわけじゃないんだ」
「わたしを怒らせるためでしょ?」
「
アクアリウム・ハイウェイ
「アメフラシは体を触ると紫色の汁を噴出します」
打ち付けられた雨がフロントガラスに流れを作り、流れ落ち続けている。ずっと向こうはレインコートの外側を眺めたようにぼやけ、無造作に設置された街灯がなにかしらの星座を形づくっているように見えた。
少し素敵なものだったから彼女に教えようかと思ったのだけど、気まぐれにいろいろな動物を紹介する自然のドキュメンタリー作品にくぎ付けになっていたのでやめておいた。