マガジンのカバー画像

書評

5
運営しているクリエイター

#社会主義

【書評】『連続革命と毛沢東思想 文化大革命と九全大会以後』菅沼正久[1969] 非実在(永久)革命論

菅沼正久[1969]『連続革命と毛沢東思想』三一書房.評価:☆★★★★

 いきなり冒頭から、

という文章で始まる、1969年7月15日発行の文化大革命礼賛本である。新左翼系の理論書を取り揃えていた三一新書(三一書房)の一冊だ。
 著者の菅沼正久の当時の肩書は、奥付によれば、本州大学助教授、協同組合経営研究所研究員、中国研究所所員。親中派の御用学者によるプロパガンダ本と言ってしまえばそれまでだし

もっとみる

【書評】『アナキズムとキリスト教』ジャック・エリュール[2021]

エリュール,ジャック[2021]『アナキズムとキリスト教』新教出版社編集部訳,新教出版社.評価:☆☆☆★★

 キリスト教的思惟の奥深さを思い知らされる一冊だ。あるいは、「根深さを」というべきだろうか。
 著者は、1930年代の「非順応主義」と呼ばれる運動を経て、プロテスタント神学の立場から「キリスト教アナキズム」というべき特異な思想を展開するに至ったフランスの知識人、ジャック・エリュールだ。
 

もっとみる