マガジンのカバー画像

フランス ヌーヴォー・シルクの現場から

7
フランスのヌーヴォー・シルクの現場から様々な模様をレポートします。日本人には、あまり馴染みのない最先端のコンテンポラリー・パフォーミングアーツ、舞台芸術の魅力を感じてもらえれば。
運営しているクリエイター

#演劇

サーカスの宇宙

サーカスの宇宙

禁色高度成長期と共に過ごしてきた私は、東京の下町で生まれ育った。小学生の頃までは、よく母親に連れられ、銀座や浅草に遊びに行っていた。当時は、デパートの屋上遊園地はテッパンであった。銀座は松屋、浅草は東武の屋上に遊園地があった。浅草には、現在も在る「花やしき」が当時からあった。その「花やしき」の前には、いつも大人が屯している怪しい小屋、そう、本当に掘建て小屋のような体裁の小屋が異彩を放っていた。呼び

もっとみる
コンテンポラリーアートとしてのサーカス第二章 Nouveau Cirque(ヌーヴォー・シルク)とは

コンテンポラリーアートとしてのサーカス第二章 Nouveau Cirque(ヌーヴォー・シルク)とは

第一章も併せてお読み頂ければ幸いです。

フランス 文化政策としてサーカスの再興へ70年代、フランスのサーカスは大きな危機に見舞われ、フランス政府から援助の手を差し伸べられました。当初の目的は、何か新しいものを作成することではなく、その逆でした。何世紀にも渡る長い伝統を、絶滅から救うことでした。

1978年、管轄を文化省に移されたサーカスは、ついに芸術として受け入れられ、最も重要なことは、サーカ

もっとみる
パリの現在を発信するコンテンポラリーアートの拠点 LE CENTQUATRE-PARIS

パリの現在を発信するコンテンポラリーアートの拠点 LE CENTQUATRE-PARIS

躍動的なパリのアートセンター2020年2月〜3月パリ ロックダウン寸前まで、Cent quatre-Parisのアーティスト イン レジデンスに滞在し、作品制作と10日間の劇場公演を行なってきました。
これまでに無かった、とても刺激的で、パリのアートシーンのエネルギー漲るスペースを紹介します。

パリには数多くの素敵な美術館や劇場がありますが、移民が多く、パリの比較的恵まれていない地域の近くに位

もっとみる
コンテンポラリーアートとしてのサーカス第一章 Nouveau Cirque(ヌーヴォー・シルク)とは

コンテンポラリーアートとしてのサーカス第一章 Nouveau Cirque(ヌーヴォー・シルク)とは

長文の為、六章に分けて記します。

ヌーヴォー・シルク発祥の地、フランス
他の舞台芸術の歴史は十分に文書化されていますが、サーカスの進化を描く試みは殆どありません。道化師、アクロバット、動物の曲芸のサーカスは、もはや過去の残像であり、最も進化し、画一したフランスの現場の現実は、より現代的なものへと着地しました。

フランスで発祥した新しい芸術表現ヌーヴォー・シルクとは何なのか。日本人にあまり伝えら

もっとみる