パフォーミングアーツ

小田尚稔の演劇『罪と愛』イントロダクション

以下は、2020年こまばアゴラ劇場上演の、小田尚稔の演劇『罪と愛』で配布されたイントロダクションを掲載したものです。

・「独り語り」の普遍化

 小田尚稔さんの作品の特徴は、その独特の独白形式にあったと思います。舞台と客席との間の壁が取り払われ、ひとしく場が共有されることで醸成されてくる親密な空間において、ある種の私小説的な語りを展開すること。小田さんの物語の人びとは、みな具体的な地名を口にし、

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いたるところに私の死、夢みる私の死:スペースノットブランク『ラブ・ダイアローグ・ナウ』評

・概要

 『ラブ・ダイアローグ・ナウ』は兵庫県の豊岡演劇祭2020(9/12,13)、静岡県のストレンジシード静岡2020 the Park(9/21,22)、そして鳥取県の鳥の演劇祭13(9/26,27)という3つのフェスティバルを巡回した作品でした。しかし、作品は途中で大きな変更を加えられています。
 豊岡と静岡では古賀友樹さんと札内茜梨さんが出演を務めていたのに対し、鳥取ではそれまで演出を

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敵対性のアンガージュマン:毛皮族2020Tokyo『あのコのDANCE』評

・概要

 毛皮族2020Tokyo『あのコのDANCE』は2020年の9/2~7にわたって、下北沢のザ・スズナリで上演されました。上演期間中は毎日生配信が行われ、また公演終了後も記録映像がディレクターズカット版と称して有料で公開されていました。
 毛皮族とは、江本純子さんが主宰をなさっていた劇団で、セクシャル&ヴァイオレンスな表現のポップさで好評を博していましたが、2014年の1月には「離散」し

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小野彩加・中澤陽『紙風船』(作:岸田國士)評

・作品概要

 『紙風船』(作:岸田國士)は2020年10月18日に兵庫県豊岡市の江原河畔劇場で、演劇人コンクール2020の一作品として上演されました。演出は小野彩加・中澤陽さん。出演は木村巴秋・佐々木美奈さんです。
 戯曲はコンクールの方で提示された六つの作品から選ばれたもので、郊外に暮らす若い夫婦の倦怠と、そこから抜け出ようという夢想とが循環的に描かれます。目白文化村に代表されるような西洋流の

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小劇場のための感染症対策サインを無料配布します

このコロナ禍の中で公演活動を再開した劇場や施設、舞台を上演する劇団のために、感染症対策サイン=張り紙を作りました。すべて無料でダウンロードしてご使用いただけます。

演劇で食べていくことはしばらくできないかも、と思っていた

僕はグラフィックデザイナーです。演劇やダンスなど、特に小劇場と呼ばれる分野のチラシ・ポスターをデザインする機会が多く、演劇の世界では「宣伝美術」と呼ばれる仕事をしています。厳

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再生されゆく舞台 スペースノットブランク『フィジカル・カタルシス』評

 形式面の諸特徴については、すでにイントロダクションで触れました。以下の評はそちらを前提に読まれることを推奨いたします。ここでは記録映像を参考に舞台上での展開を具体的にたどりながら、少々踏み込んだ解釈を展開したいと思います。
 スペースノットブランクは同題の作品を形を変えながら幾度もクリエーションしていますが、ここで扱うのは2020年8月15~24日にこまばアゴラ劇場で行われた公演です(なお、同様

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スペースノットブランク『ラブ・ダイアローグ・ナウ』イントロダクション 当日ver.

2020年9月に3都市を回ったスペースノットブランク『ラブ・ダイアローグ・ナウ』はしかし、豊岡(12,13日)、静岡(21,22日)と鳥取(26,27日)とでは殆ど別作品になっており、したがってイントロダクションも2種類用意されることになりました。以下はその全容です。

・豊岡&静岡版

 本日は豊岡演劇祭2020フリンジ〔静岡版では ストレンジシード静岡2020 the Park〕 スペースノッ

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スペースノットブランク『フィジカル・カタルシス』イントロダクション 当日ver.

 本日はご来場いただきありがとうございます。東京はるかにという団体を主宰しております、植村朔也と申します。保存記録として製作のプロセスを見届けてきたわたくしから、簡単にイントロダクションを提供させていただきます。
 フィジカル・カタルシスは、通常ダンスとして見ることの出来るような作品ですが、まずお先に演劇の話をいたします。それは、このフィジカル・カタルシスが、ダンスや演劇といったいずれのカテゴリで

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バッコスの信女 と The Kiss

あいちトリエンナーレ2019
パフォーミングアーツ
「バッコスの信女-ホルスタインの雌」
https://aichitriennale.jp/artwork/A67.html

2019年、台風で中止になった次の日、
ボランティア担当で
チケット数えたり、誘導したりして、
終わったら控え室のモニター見てても良いよ
と言われたけど、途中だったし、
モニター越しだと理解もできなかったので
見なかった。

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徹底解剖! ストレンジシード静岡2020 the Park

・概要

 ストレンジシード静岡2020 the Park(9/21,22)は、ゴールデンウィークにコロナのあおりを受けて一度中止になった野外劇の祭典ことストレンジシード静岡が延期開催に至ったものです。そこでは、野外のみならずオンラインでの上演も含めた「OPEN AIR演劇」が試みられました。
 感染症対策のために室内での上演は行われず、また舞台にも簡単な仕切りが設けられるなど、上演形態は昨年まで

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