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#青春小説
空虚な目をして何を思う
何故、自分自身に満足できないのだろうか。
ベッドの上に身体を預け、ぼんやりと考えてしまった。考えてしまったら最後、僕は設問を解くために腐っている脳みそを動かして答えを探してしまう。泥沼に嵌まったような時間だ。精神的にも追い込まれる。考えている間は設問にばかりに意識がいく。無意識で緊張する身体はこわばっていく。結果的に疲弊して、せっかくの休日が過ぎ去ってしまうことを分かっていながら、僕は答えの見
グラウンドの中心を見つめて~青年編~
「まさか、こんなことになるとは思わなかったよ」
真夏の横浜スタジアムのマウンドの上で、奏多と正対して亮太はこぼした。
「オレは、そうは思わなかったけど?」
あっけらかんと、ここにいることは当たり前だと言わんばかりの表情で、奏多が口にした言葉は疑問文であった。まるで、その先に隠した何かを触ってほしいと訴えているように亮太の目には映った。
「さすがだよ」
亮太は敢えて触れることなく、奏多の後方で
グラウンドの中心を見つめて~思春期編~
[いよいよだな」
そう呟いて亮太は三塁側のベンチでストレッチをしている奏多を見つめた。奏多は、防具を着た背番号二番と談笑をしている。それがなんだか気に入らなかった。
お互いの意思で選んだ道で、再び交わることになった現実は亮太を高揚させ、いつも以上にアドレナリンが脳内から放出され、全身に通っていくのを自覚していた。しかし、それと同時に奏多のボールを受けるのが自分でないことへのやるせなさと相手捕手