マガジンのカバー画像

とにかくひたすら映画について語る vol.2

116
どうやらマガジンにはnote100記事しか保存できないらしいので、vol.2を作成しました。
運営しているクリエイター

#感想

【cinema】声優夫婦の甘くない生活

【cinema】声優夫婦の甘くない生活

12月18日から劇場公開の本作品。私はオンライン試写会が当たり、一足早く観ました。

1990年、ソ連からイスラエルへ移住したヴィクトルとラヤ。2人はソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦だった。第2の人生を謳歌するつもりで移住したものの、イスラエルでは声優の需要がないという現実に直面してしまう。生活のためにラヤは夫に内緒でテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮

もっとみる
【cinema】ザ・ライフルマン

【cinema】ザ・ライフルマン

世間が「鬼◯◯◯」に夢中になっている中、私はひっそりと1週間だけ上映されているラトビア映画を観てまいりました…

第一次大戦下のラトビア。ロシアに攻め入るドイツ軍と戦うため、ラトビアではライフル部隊が編成される。主人公は17歳にあと2ヶ月の少年のアルトゥルス・ワナクス。彼は冒頭で母をドイツ軍に銃殺され、志願し、兵役を一度は終えた老父と共に兵士となります。ロシア皇帝の名の下、前線で戦い続ける彼らです

もっとみる
【cinema】許された子どもたち

【cinema】許された子どもたち

こんなにも逆説的なタイトルはあるだろうか。

全く許されてもいない子どもたちのことを描いているのに。

本作はどこにでもいそうな4人組(うち1人は自分がイジメの標的になりかけているのをギリギリのところでくい止めるため、仲間にならされている)が、割り箸で作ったボーガンで、いじめの標的となっている子を殺すところが起点となる。

殺すつもりはなかった。

でも殺してしまった。

だけど殺していないと翻し

もっとみる
【cinema】レ・ミゼラブル

【cinema】レ・ミゼラブル

元々超メジャー映画を見ない私ですが、普段映画を見ない方や、メジャー中心に見る方にも、とにかく、しのごの言わずに見てくれ…!と思う映画に出合うことがあります。滅多にそんな機会はなく、でも今回この映画を見て、心底そう思いました。ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」ではありません。あの話の現代版でもございません。

舞台はパリ郊外のモンフェルメイユ。ここはどこだと思うばかりの団地群の連なる移民だらけの

もっとみる
【cinema】ザ・レセプショニスト

【cinema】ザ・レセプショニスト

全然今年に入って映画のレビューを書いていないのですが(というか今年初めてのnoteです)、昨日見た映画について少し書いてみようと思います。

「ザ・レセプショニスト」

ロンドンのマッサージサロン。違法風俗店であるその場所は、アジア出身の女性たち、そして女性経営者が家族のような人間関係を装いながらも、その実態は金とセックス、そして客による暴力に支配された偽りの空間だった。そんな店でも女性た

もっとみる
【cinema】君はひとりじゃない

【cinema】君はひとりじゃない

2017年60本目。ポーランド映画🇵🇱

いやー、してやられた。見終えてすぐの感想はそれ。日本版ポスターに騙された。

そもそもこの邦題は誤解を招く。時折流れる"You'll never walk alone"からのくだりなんだろうけど…コレ見たら、この真ん中に映ってる「天才セラピスト」の女性が如何にスゴイかっていうところが焦点になると思うだろうけど、全然そんなのではなくて。原題は、BODY。

もっとみる
【cinema】セールスマン

【cinema】セールスマン

2017年59本目。イラン映画🇮🇷

何とも後味の悪い映画。なのに変な余韻があって、未だに考え込んでいる自分がいる。「結末は語らないでください」という映画の宣伝文句はよくあるけれど、たしかに観る前に結末は知らない方がいい。とりあえず途中から息を呑んで事の成り行きを見つめるしかないから。

私が映画を見る前に知っていたあらすじは以下のとおり。

夫婦ともにとある劇団に所属し、今度は「あるセー

もっとみる
【cinema】セント・オブ・ウーマン/夢の香り

【cinema】セント・オブ・ウーマン/夢の香り

2017年58本目。午前十時の映画祭にて。

なぜだかよくわからないけど、私の中の何かが、これは観た方がいい、観に行った方がいいと言い続けていて、休みの日は二度寝推進派の私が、それをせずに観に行ったもの。

既視感がありまくりなのは、80年代後半から90年代にかけてのアメリカンムービーが、こぞってスクール物、とりわけ私立校のライフスタイルをとり上げて映画化していたからかなぁと思います。そして、なん

もっとみる
【cinema】しあわせな人生の選択

【cinema】しあわせな人生の選択

2017年57本目。(10/13時点であと19本書き上げないといけない。しかし、これから私は映画祭三昧になるので、多分きっと今年も書き上げられないと思う…)

さて。この邦題はダメだってことをまずは最初に言っておきたい。こんなまどろっこしいタイトルにしなければいいのに。そこまでしなくても見たい人は見たいよ。

いや、原題はですね、主人公の一人、フリアンが飼っているワンちゃんの名前なんですね。トルー

もっとみる
【cinema】ナショナルシアターライブ 深く青い海

【cinema】ナショナルシアターライブ 深く青い海

2017年56本目。

ヒロインのへスターはガスの匂いが充満するロンドンのアパートの一室で倒れているところを同じアパートの住人や管理人に発見される。へスターは判事の夫の元を離れ、若い元パイロットのフレディと駆け落ちし、同棲していた。だが彼女の心は決して満たされず、孤独の思いに沈んでいた。彼女の愛に十分応えられないフレディ、アパートを訪れる夫ウィリアム・コリヤー卿、同じアパートの元医師ミラーらが

もっとみる
【cinema】残像

【cinema】残像

2017年55本目。ポーランド映画。

「灰とダイヤモンド」などの抵抗3部作で知られるポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の遺作で、社会主義政権による圧政に不屈の精神で立ち向かった実在の前衛画家ブワディスワフ・ストゥシェミンスキの生涯を描いた伝記ドラマ。第2次世界大戦後、ソビエト連邦の影響下にあるポーランド。全体主義による圧政が敷かれる中、画家のストゥシェミンスキはカンディンスキーやシャガー

もっとみる
【cinema】ありがとう、トニ・エルドマン

【cinema】ありがとう、トニ・エルドマン

2017年54本目。ドイツ映画。

この映画の感想が書きたくて、書きたくて、堪らなかったのに、ずっと溜め込んでいて、今やっと手をつけることができた。

正反対の性格の父娘が織り成す交流をユーモラスに描き、ドイツで大ヒットを記録したヒューマンドラマ。陽気で悪ふざけが大好きなドイツ人男性ヴィンフリートは、ルーマニアで暮らす娘イネスとの関係に悩んでいた。コンサルタント会社で働くイネスは、たまに会って

もっとみる
【cinema】T2 トレインスポッティング

【cinema】T2 トレインスポッティング

2017年53本目。

やっとここまでたどり着けたというような感じ。T2。元祖トレスポファンが待ち望んでいた彼らのその後。私は、その20年を経ての年月をどう感じたかというより、ただただ見ていて心弾むってこういうことか…!というのを純粋に感じられたように思う。このT2を観るために、前作をついこないだ映画館で見たので、永年ファンだった皆さんには負けるけれども、やっぱりいいものはいいよね!

199

もっとみる
【cinema】検事、弁護人、父そして息子

【cinema】検事、弁護人、父そして息子

2017年52本目。EUフィルムデーズ9本目。ブルガリア映画🇧🇬(とあるけど、ブルガリアは出てこない。製作国の一つがあくまでブルガリアなだけの映画。多分監督がブルガリアの人)

オランダ・ハーグにある旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷。ボスニア紛争の司令官だった男の戦争犯罪を問う裁判で2人の法律家が相対峙する。弁護人ミハイルは、これまで被告人に対する告発をすべて退けてきた。一方、被告人の有罪を確

もっとみる