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医薬・医療技術研究開発

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#知財

TRIPS WAIVER

Reto M. Hilty et al, Covid 19 and the Role of Intellectual Property: Position Statement of the Max Planck Institute for Innovation and Competition https://www.ip.mpg.de/en/nc/research/research-news/co

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知財マーケットは成立するか

週末、米国で主催されている勉強会に参加する機会があり、IP Exchange Marketについての議論があった。当方も21世紀に入って弁理士になりたての頃に日本版のMarket設立に参画したことがあったが、文化が違いすぎていて、時機も尚早すぎた(いまでもそうかも)ので、途中で立ち消えになった。ただ、その時に得た知識や経験を活かし当時はまだ特許事務所では(いまでもそうかも)誰も扱っていなかった知財

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知財制度の考察

下記セミナーにパネリストとして参画しました。

http://www.tmd.ac.jp/tlo/information/event/2020/jinzaiyosei_tokubetu.pdf

恩師からのお誘いだったのですが、抗生物質を研究していて、法務修士を修了した実務家であり、TRIPSとも関係深い活動もしているので、まさに、時機を得たテーマにしゃべることができました。

そこで気づいたのは

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戦略と戦術

知財案件のサポートをしていると、話が食い違うことがよくある。戦略の話をしているのに、戦術の細かい議論を持ちかけられることなどだ。

あくまでも一つの視点ではあるがWikipediaでは「戦略とは、一般的に特定の目的を達成するために長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術、科学である」、「戦術とは、作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術であ

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E-2082事件

2019年6月,日本国内で実施された治験の健康成人を対象とした臨床第I相試験で,1名の被験者が治験薬の投与完了後,5日目に自死した事件があったらしい。新薬候補物質を人類に初めて投与するヒト初回投与試験(first in human trial: FIH 試験)として行われたもので、英国ロンドンの、2006年に抗ヒトCD28モノクローナル抗体TGN1412事件や、2016年の、フランスブルターニュ地

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再審査期間と使用成績評価期間

医薬品にある再審査期間は事実上のデータ保護権として作用していますが、医療機器で導入された使用成績評価期間は、再審査期間とは意味合いが違うこととなった。PMSとの関係で、医療機器では、事実上の参入阻止期間にはなっていないが、新規性による。ということのようです。

新医療機器が、既承認の医療機器(使用成績評価の調査期間中のものを除く。)と構造、使用方法、効果又は性能が明らかに異なる医療機器と言えればよ

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医療機器の承認・認証審査基準と知財審査・評価

Clinical performance臨床性能

Clinical efficacy臨床的有効性

Clinical effectiveness実社会での有効性

医療機器の審査における基準。性能は実施可能要件、臨床的有効性は進歩性の要件、実社会は産業上利用可能性に類似する概念と思われる。あるいはefficacyとeffectivenessは、進歩性の両輪と考えてもよいかもしれない。

規制と知

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