E-2082事件

2019年6月,日本国内で実施された治験の健康成人を対象とした臨床第I相試験で,1名の被験者が治験薬の投与完了後,5日目に自死した事件があったらしい。新薬候補物質を人類に初めて投与するヒト初回投与試験(first in human trial: FIH 試験)として行われたもので、英国ロンドンの、2006年に抗ヒトCD28モノクローナル抗体TGN1412事件や、2016年の、フランスブルターニュ地方の中心都市レンヌで脂肪酸アミド加水分解酵素阻害剤 BIA10-2474での1名死亡事件(レンヌ事件)などと並び重大事件とされている。

http://cont.o.oo7.jp/48sup37/w1-w18.pdf

タイトル未設定cont.o.oo7.jp

2019年11月29日,厚生労働省は同省薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会に対し,本事案の独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下,「機構」)による調査結果を報告すると同時に,報道関係者に対し,その資料((別添1)概要版10),(別添2)調査結果報告書11),(参考)報道発表資料(7月)12))を同省のウェブサイトで公開した

ttps://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000571932.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000571933.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08131.html

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03402178

Study to Assess the Safety, Tolerability, and Pharmacokinetics of E2082 in Healthy Male Subjects - Full Text View - ClinicalTrials.govStudy to Assess the Safety, Tolerability, and Pharmacokineticclinicaltrials.gov

欧州では、事件後にガイドラインが速やかに改訂されているようなのであるが、日本は、COVID-19が始まってしまったので、なおざりになっているようだ。規制(Regulation)は、ネガティブな情報も重要な知的資産である。日本は、このような場合隠すか流すのが文化のようなのであるが、ネガティブ情報をきっちり解析し、次につなげるようにしないと、事件が繰り返される可能性もさることながら、せっかくの改良、成長の機会を逃してしまうことにもなる。責められてしまうことを考えるための防衛策なのであろうが、きっちり解明し次につなげることを称賛する空気にしたいものだ。

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