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エッセイ

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日々思うことをあれこれと
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2023年9月の記事一覧

フリーダムな牢獄

様々な禁忌を合法化したら、世の中はつまらなくなるのだろうなと草で逮捕されたミュージシャンのニュースを見て思った。

私は性的な画像のモザイクについて考えるが、海外では存在しないことの多いらしいアレが、日本ではなぜ掛けられているのかを思う。警察利権だの、天下り団体のためだの、法律がだのはあるけれど、概念としての猥褻を取り払ったら、ただの体の一部だから、ある意味では聖域や神域を作っているんだろうなと。

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普通を殺したら平和になるの?

ホストの朝、胃痛と眩暈、耳に残るノイズとやけに刺さる太陽の睨み。それが夜職の朝を迎える日常であるとしたら、月曜日から金曜日までの公務員的ルーティンな日常とそれは同じではない。

生きている限りは迎える朝と夜。流れる1秒にはなんら変わりがなく、起きていようが眠っていようが、愛し合っていても憎しみあっていても、殺し合っていてもそれは変わらないのだ。

それなのに、世間は標準値や平均値としての【普通】を

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アナログとCDの亡霊👻

いまはアーティストのアルバム発売日とサブスクの配信日がほとんど同時で、レコード店のフラゲが可能か否かで若干のラグがあるかどうかくらいの差しかなくなってしまったように思う。

シングルのリリースは枚数特典でチェキやサインが発生する声優やらアイドルは別として、配信のみ(YouTubeなどのPV解禁含む)のケースもだいぶ増えてきた。昔のバンドのようにシングルがアルバムに入らないなんてケースでもリカバリー

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ラーメンに沈む

酒を飲まなくてもラーメンが食べたくなる時はあって、飲み会のシメを免罪符にラーメンを食べることを正当化する類のアルコールに任せた暴挙とは違う、カロリーと塩分と油分に向き合う態度でラーメンを食べてきました。

チャーシューは薄切りなのに、しっかりと肉の味がするものであり、気持ち程度のネギが逆に良いアクセントになっている京都ラーメンの有名店。人生で初めての味だったけど、また関西に旅したら行きたいと思った

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正解を委ねる

俺間違ってる?とキレぎみに話す人を見て、それを相手に問う時点で自分が正しいと思っているのだろうし、自分の感情に社会の物差しの後押しがなければ不安になってしまうくらいなら、何も言わなければいいのになと気持ちは醒める一方の昨日。

話を聞いてみると、【普通は】と一般的にという単語が何度も繰り返されていた。社会通念上だとか一般常識ではという意味らしいが、プライベートにまで規範通りにしかやれないというのは

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人と住めない

親類と旅行をしているのだが、相手がリアルジャイアンかつ、気分屋なので普通の話が成立しない。フェアに語るなら、あちらも私の理屈っぽさにはストレスを蓄積させていることであろう。

昔々、当時の彼女と山形に旅行に行った際には付き合いたてということもあったが、あまり喧嘩しなかった。思えば彼女はずっと大人で、私が甘えていたのだな。ボロボロにぶつかりあって砕けてしまったけれど、申し訳ない気持ちがある。彼女には

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ドキュメンタリーは嘘をつく

ドキュメンタリーで語られる無名の人の人生。無医村にやってきた新任の先生だったり、心を病んでひきこもりを数十年続けている人だったり様々だ。

無機質なカメラをもって、撮影者は動画を回し、やがて撮影者の意図で切って貼ってを繰り返したのちにドキュメンタリーは完成する。個人の映像でありながら、誰かの作品へと移り変わるわけだ。

ドキュメンタリーは事実のみを映すわけではないと言うことを前提にしないと、自分が

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クラゲが見る月

ショッキングな話題を流した後に、ショックを受けた方はこちらにお電話とアリバイ的に番号を数秒映してすぐに消すメディアのやり口にうんざりしている。少し昔に続きはWebでと己の宣伝力に見切りをつけたCMが流れていたが、テレビの首の締まり方も、そろそろ呼吸困難が近いのかもしれないね。

サッカー中継以外でテレビはほとんど見なくなってしまった。だから、ニュースを見ようと、たまたまつけた場面での判断ではあるが

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敬老の日に思うこと

敬老の日。敬うべき先達であって欲しい方々を【老害】と揶揄したり嫌う空気があるのもまた事実。世代間格差や、社会保障費の報道で高齢者を悪者扱いするから、なおさらその傾向が強くなる。

ある社会学者は、年寄りは集団自決しろといった論旨の発言をして話題になったが、まさか自分が大人になってから新たな姥捨みたいな思想を見聞きするようになるとは思わなかった。これが貧しさや、衰退の象徴なんだろうか、、、、。

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苦手な言葉

推しという言葉があまり得意ではない。嫌悪感があるわけではないし、推しは推せるうちに推せみたいな新時代の標語じみたものは好きなのだけれど、自分の大切で応援したり追いかけている存在を推しと呼ぶことが苦手なのだ。

例えば売春行為を援助交際と言い換えたり、パパ活と名付けることで、なんとなくそれらをカジュアルなものに見せかける手法がある。それは整形の前にプチをつけることで入口としてのハードルを下げる呪術に

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記憶の岸辺に咲かないで

京極夏彦【鵼の碑】を読み終える。
或るものと在るものについての小説だと私は思ったが、正解か否かはどうでもよく、一晩寝て胸に濾過されずに残っているものを受け止めれば良いと思っている。

長時間、一冊の本と向き合ったのは随分と久しぶりで、完結したり、長期連載中の漫画を最初から読み直したり、読んでみるということはたまにあるけれど、こと一作品として小説を読み進めるということは久しぶりだった。

つまらない

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100日目の告白

文章を公に晒すということは、全裸で道を歩く事よりも恥ずかしい行為と考える人がいる。確かに、全裸は表皮でしかないが、文章は内面や脳髄の中の神経の結びつきの産物までを見せてしまうのだから、その観点ではえげつないことこのうえなし。

死骸の山の後に咲く花が、想像を超えるような美しいものであることもありえるし、醜聞や愛憎の果てに見出した感情が新しい芸術を生み出す可能性もあるから、単純な、きれいときたないの

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セルフ人生

朝方、コンビニのレジは無人であった。ホルモンチャーハンとハニーラテを手に、無人化・機械化の波はここまで進んだのだなと思った。なにせ、店員がいないだけで、セルフレジへの案内は何もない。空気を読めと言わんばかりに無人の店内と私とホルモンチャーハンとハニーラテが、、、。

近頃は人手不足+経費削減のためか、ファミリーレストランでもロボが食事を運んでくる店が増えた。配膳ではなく、あくまでも運搬であり、最終

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活字中毒の末路

活字があまり頭に入ってこない週間、、、。再来週には京極夏彦さんの【鵼の碑】が17年ぶりのシリーズ新作として発売されるから、それまでには抜け出したいが、意識してなんとかなる類のものではないからな。

気が塞いでいるからではないかと考えたが、生まれてこの方、気鬱でない時期の方が短く、また気鬱の嵐の中で波間の板のように活字は私を幾度も救ってくれたから、必ずしもメンタルの問題だけではないのかもしれない。

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