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移住:南紀白浜の課題と思えるもの1:「空き家」問題ほか

2023年12月に和歌山県白浜町(南紀白浜)に移住しました。数ヶ月経ってみて感じている「町の課題」を書いてみます。課題解決に向けて微力ながら動いていきたいと思っています。非常に個人的感想/見解です。


1, 大型の「空き家」問題

かつて関西圏からの団体観光客で栄えた南紀白浜。それを受け入れる為の大型宿泊施設が沢山あったようです。バブル期には大型のリゾートマンションも林立しました。また、それに類するものとして企業や大学の保養所や研修所も沢山ありました。当然、海沿いの景色の良い立地や高台の見晴らしの良い立地に建っていました。

それが、ブームが去り、倒産/閉鎖して、廃墟となっても建物だけは放置されたままの箇所が非常に多くあります。他の地域の「個人住宅の空き家」とは全然スケールが違う「空き家」です。

中規模ホテル跡
大学のセミナーハウス跡
大型ホテル跡

よく取り上げられる鬼怒川の廃墟ホテルや越後湯沢のリゾートマンション街ほどは酷くない状況だと思いますが、やはり目立つ場所にあるので、街の雰囲気を悪くしていることは間違いないという印象です。
東南アジアの都市や南米の都市の片隅にありそうな「(植民地の宗主国によって)かつて栄えた」感が見えちゃうんですよね。

↓ 廃墟検索地図

もちろん、それを乗り越えて建て直したり、リノベーションしたりして、復活している場所も多いです。かつて多かった「大宴会場」を潰して、現在主流の少人数グループ向けの宿泊施設に変わったり、元の建物を活かして雰囲気の良いゲストハウスに変わったり。

おそらく土地の権利問題とか解体費用とか問題は山積みだと思いますが、大型の「空き家」の再活用(か更地化)の推進は必要だと思います。
実は海外資本が徐々に入ってきているという話もあります。

追記 3/5:土地の利用に関して条例などの規制が厳しく、例えば大型ホテルを新規に建てることは現状では難しく、既存の建物の再利用/リノベーションでなんとかするしかないというのが実情のようです。そうなると既存のハコは魅力が無いという判断で再開発が進まない、と。
さらにこの地域は「もともと利権を持っている」勢力が複数いて、彼らが発展/変化を望んでいないというか、現状に固執している状況もあるという説も。

2, 「観光客相手の施設や商売」と「地元民相手の施設や商売」の落差がある

↓ ここでも書きましたが、さらに詳しく。

主要産業の「観光(業)」を最優先してきた結果、「観光客相手の施設や商売」は一見充実しているものの、反面「地元民相手の施設や商売」がなおざりにされている印象です。

・「本屋」「楽器屋」「画材屋」さらに「(広義の)図書館」「美術館」のような文化的な施設がほとんど無い
・地元民が気軽に集まれる中規模なカフェなどがあまり無い
・「服屋」「古着屋」「靴屋」「眼鏡屋」などのオシャレの為の施設がほとんど無い
・飲食店は観光客相手の価格設定のところが多く、高留まり
 →ファストフードなどのナショナルチェーン店が無いので、価格競争が発生しない?
・観光客相手の温泉ホテル・旅館送迎バス(無料)はあるが、生活路線のバス料金は高め
・周囲に畑や漁港があるにもかかわらず「産直所」などが無い

地元民は「地元に無いものは隣町に行けばある」と割り切って車でいくので、「広域経済圏」が形成されていて、それで満足しているので、現状を変えようという推進力が働かないのかと思います。

↓ 白浜町を中心に見た広域南紀白浜

前項の大型の「空き家」も結局は(日銭を生み出す)「観光客相手の施設や商売」に活用出来ないかという発想の人が多くて、地味な「地元民相手の施設や商売」に活用しようという発想にいかないようです。

「(広義の)図書館」というのはメタファーで、地元民(子供含む)が情報や文化的なものに触れたり、気軽に集まって話をしたり、イベントを催したり、よくある「コミュニティセンター」のもっとちゃんとしたものというイメージ。これについてはまた別途詳しく書きます。

こういう施策って「票に結びつかない」ので、自治体の政策でも後回しにされがちですね。

*話を聞くと「いま無いものは街の全盛期にはあったが、徐々に無くなった」とのこと。ビジネス的には無くなった理由も理解出来るので、いまさら無い物ねだりなのかもしれませんが。

3, 長期滞在〜移住検討段階の人達の受け入れ場所が無い

「短期滞在の観光客(グループ)」を対象にした施設や商売を優先した結果、いま盛んに誘致活動をしている「ワーケーションなどの長期滞在者」「移住検討段階の人達(滞在体験希望者)」向けの施設やサービスが少ないなと感じます。

自発的なワーケーションの場合は、おそらくちゃんと統計も取れておらず、ホテルなどの宿泊施設でワーケーションを行いながら6〜10日間程度滞在している人達は単に「少し長めの旅行者」としてしかカウントされていないのではないかと思います。

典型的な行動パターンとして
・公共交通機関を利用して南紀白浜にやって来る
・平日昼間は宿泊先などで「ワーク」
 →この動きは見えない
・夜は宿泊先か街の飲食店を利用
・週末は近隣の観光(滞在期間中の週末は2回程度)
・わざわざレンタカーを借りて行動範囲を広げるかどうか?
という感じではないかと思います。

昼間の「ワーク」の為に使える施設は宿泊先ぐらいしかなく、コワーキングスペースを謳っている施設はある程度の期間の利用や事前予約が必要。気軽にふらっと寄って数時間使える施設は殆どありません。窓からの景色が綺麗な宿泊先は沢山あるので、その為にお金を使う、と。

「移住検討段階の人達の滞在体験」という場合を考えても、普通に旅行者として訪れると「観光地としての南紀白浜」の姿しか見えないと思われ、生活する場所としてのリサーチは自力では難しいかもしれません。自治体に支援部署があるのかどうかは今後ヒアリングしてみます。とすると、住宅購入の相談を地元の不動産業者にしながら、アドバイスをもらうか・・・

前項のように「ハブになる場所」も無いので、滞在者同士、あるいは滞在者と地元民が気軽に交流出来る場もありません。観光地のビーチをうろついていてもそういうコミュニケーションは起きないので。せいぜい「無料の屋外足湯」に浸かっている時に偶発的な会話が始まるかもしれない、という程度です。

(続きます)
*事情に詳しい方、解決策のアイディアがある方、ぜひコメントください。


なお、和歌山県全体の施策ですが、様々な情報ポータルサイトはあります。



↓ 空き家問題関連資料


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